エイトレッドは目先的な売り一巡、23年3月期も2桁増益で連続増配予想

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 エイトレッド<3969>(東証スタンダード)はワークフローシステムの開発・販売およびクラウドサービスを展開し、社内文書電子化のリーディングカンパニーである。5月19日にはX-point Cloudの最新版「X-point Cloud V3.1.01」をリリースした。23年3月期も導入企業数の増加やクラウドサービスの拡大などで2桁増益予想、そして連続増配予想としている。DXの流れも背景として、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して決算発表を機に急反落の形となったが、目先的な売りが一巡し、好業績を評価して出直りを期待したい。

■ワークフローシステムの開発・販売

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>の連結子会社で、ワークフローシステム(ソフトウェア)の開発・販売およびクラウドサービスを展開している。

 ワークフローシステムとは、企業における稟議書、経費精算申請書、各種届け出書など、稟議・申請から承認・決裁に至る事務工程(ワークフロー)を電子化(システム化)するソフトウェア製品である。

 ワークフローシステムを導入することによって、業務プロセスの効率化(作業工数削減や時間短縮)、ペーパーレス化によるコスト削減(用紙・印刷・郵送・保管に係るコストの削減)、内部統制の強化(意思決定プロセスや承認日時のデータ化・可視化)などのメリットが得られる。

 主力製品は、大手・中堅企業向けパッケージ型のAgileWorks、小規模企業向けクラウド型のX-point Cloudである。21年4月にはX-point Cloudのメジャーバージョンアップ版をリリースした。さらに5月19日にはX-point Cloudの最新版「X-point Cloud V3.1.01」をリリースした。

 なおクラウド型のX-point Cloudへの移行により、以前の主力製品であった小・中規模企業向けのパッケージ型X-pointは、22年3月に新規ライセンス販売を終了した。この後、25年3月に通常サポート終了、27年3月に延長サポート・追加ライセンス販売終了予定である。AgileWorksへのアップセル、またはX-point Cloudへの移行を促進する。

 22年3月期の製品別売上高はAgileWorksが10.4%増の9億85百万円、クラウドサービスX-point Cloudが23.1%増の7億39百万円だった。いずれも大幅伸長している。X-pointは新規ライセンス販売が終了して9.9%減の3億87百万円だった。なお全体の導入企業数は累計3500社以上に達している。

■社内文書電子化のリーディングカンパニー

 社内文書(申請書・稟議書)電子化のリーディングカンパニーである。複数の市場調査レポートで、X-point Cloudがワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。

 アイ・ティ・アールの「ITR Market View:RPA/OCR/BPM市場2021」では、AgileWorksの伸長も寄与してワークフロー市場における20年度ベンダー別売上金額シェア1位、X-point CloudがSaaS型ワークフロー市場ベンダー別売上金額で16年度から6年連続シェア1位を獲得した。

 富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス新市場2021年版」においては、X-point CloudがSaaSワークフロー市場占有率推移(金額)で2015年度から6年連続シェア1位(2020年度実績シェア21.7%)を獲得した。

 デロイト トーマツ ミック経済研究所の「コラボレーション・モバイル管理ソフトの市場展望2021年度版」では、X-point CloudがSaaS・ASP型ワークフロー市場シェア(出荷金額)で10年連続トップシェアとなった。この結果、X-point Cloudは複数の市場調査レポートにおいて、2020年度の出荷金額/売上金額の実績でSaaS型ワークフロー市場シェアNO.1を獲得した。

 テクノ・システム・リサーチが22年1月に発行した「2021年SaaS型ワークフロー市場データ」では、X-point Cloudが全体市場シェア24.5%で1位を獲得した。

 MS―Japanが運営するビジネスメディア「Manegy」が実施した「Manegy Award 2021」では、X-point CloudとAgileWorksが総務部門で優秀賞を受賞した。

 アイティクラウド「ITreview Grid Award 2022 Spring」では、AgileWorksおよびX-point Cloudが、ワークフロー部門において最高位の「LEADER」を受賞した。

■開発特化型企業

 事業戦略の基本は、日本型業務プロセスに適した製品によって他社製品との差別化を図る、導入企業ごとの個別カスタマイズを行わずに開発コストを抑制する、開発に特化して販売パートナー企業(販売代理店)を活用するとしている。販売パートナーは大手SIerなどで構成され、全国に営業網を構築している。

■ワークフローシステム「デジタル申請・稟議書」市場は拡大基調

 同社の調査(21年12月公表、中小企業経営者185名を対象とした東京都の中小企業におけるDX実態調査)によると、57.3%の企業が「DXを推進できていない」と回答したが、このうちの44.4%が「今後DXを推進したい」と回答している。なお現在導入しているツールはオンライン会議・テレワークが42.7%、グループウェアが38.9%、チャットツールなどが31.9%だった。

 電子文書を導入せずに、依然として紙・手書きベースで事務処理を行っている企業が多いが、今後は中堅・中小企業においても、業務効率化を実現するワークフローシステム「デジタル申請・稟議書」の導入が加速し、市場は拡大基調が予想される。

 こうした事業環境に対応し、AgileWorksとX-point Cloudを2本柱として、カバレッジ拡張や他社サービスとの連携を強化しながら売上拡大を推進する方針だ。

 22年1月にはワークフローの認知度向上に向けて、中小企業のチカラが運営する「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」に参画し、同プロジェクト公式アンバサダーの郷ひろみ氏を起用したPR活動を開始した。また毎月26日を「フローの日」と定め、マーケットリサーチ等を活用した情報のマンスリー発信も開始する。

 22年3月にはクラウド型のX-point Cloudについて、ウェブ上で外部のクラウドサービスと連携できる機能を公開すると発表した。顧客の利便性向上を目指すとともに、認知度向上や新たなサービス・市場創出につなげるとしている。

 また22年3月には、ワークフロー総研が実施した「ITreview」会員向けワークフローシステム導入に関するリサーチ結果を公表している。7割以上の企業が「ワークフローシステム」を認知し、約7割の企業が「ワークフローシステム」を導入済みという結果だった。

■22年3月期2桁増益・増配、23年3月期も2桁増益で連続増配予想

 22年3月期業績(非連結、収益認識会計基準適用だが損益への影響なし)は、売上高が21年3月期比9.8%増の21億13百万円、営業利益が15.9%増の9億07百万円、経常利益が14.9%増の9億08百万円、当期純利益が12.8%増の6億04百万円だった。配当は21年3月期比2円増配の22円(第2四半期末11円、期末11円)とした。

 テレワークや在宅勤務等によるワークフロー需要の拡大、新規販売パートナーの開拓、ワークフローソフトウェアの機能強化などで、主力製品の導入企業数が順調に増加して増収・2桁増益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が4億89百万円で営業利益が2億04百万円、第2四半期は売上高が5億40百万円で営業利益が2億64百万円、第3四半期は売上高が5億37百万円で営業利益が2億07百万円、第4四半期は売上高が5億47百万円で営業利益が2億32百万円だった。

 23年3月期の業績(非連結)予想は売上高が22年3月期比10.7%増の23億40百万円、営業利益が10.7%増の10億05百万円、経常利益が10.6%増の10億05百万円、当期純利益が14.5%増の6億92百万円としている。配当予想は22年3月期比2円増配の24円(第2四半期末12円、期末12円)としている。連続増配である。

 製品別売上高の計画はAgileWorksが15.4%増の11億37百万円、クラウドサービスX-point Cloudが19.6%増の8億84百万円、X-pointが18.0%減の3億18百万円としている。

 売上面では、パッケージ型のX-pointがクラウドサービスへの移行に伴って22年3月に新規ライセンス販売を終了したため減少するが、2本柱であるAgileWorksとX-point Cloudの導入企業数が増加して、全体で2桁増収を見込んでいる。利益面では、売上拡大やサポート体制強化に伴う人員の増加、製品機能強化のためのソフトウェア償却費の増加、クラウドサービス拡大に伴うクラウドインフラコストの増加などを見込むが、増収効果で吸収して2桁増益予想としている。DXの流れも背景として、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は9月末と3月末の年2回

 株主優待制度は年2回、毎年9月末および3月末時点の株主を対象として、保有株式数に応じてオリジナルQuoカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は目先的な売り一巡

 株価は地合い悪化も影響して決算発表を機に急反落の形となったが、目先的な売りが一巡し、好業績を評価して出直りを期待したい。5月19日の終値は1934円、今期予想PER(会社予想のEPS92円53銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の24円で算出)は約1.2%、前期実績PBR(前期実績のBPS471円66銭で算出)は約4.1倍、時価総額は約145億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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