トレジャー・ファクトリーは年初来高値更新の展開、既存店売上好調で23年2月期も収益拡大基調

 トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)はリユースショップを複数業態で全国展開し、成長戦略として生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。23年2月期は既存店売上が前期並みの想定だが、積極的な新規出店などで増収増益予想、そして連続増配予想としている。22年5月の既存店売上高は9ヶ月連続前年比プラスと好調が続いている。会社予想に上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来高値更新の展開だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。なお7月13日に23年2月期第1四半期決算発表を予定している。

■リユースショップを複数業態で全国展開

 総合リユース業態トレジャー・ファクトリーや服飾専門リユース業態トレファクスタイルを主力として、リユースショップを複数業態で首都圏・直営店中心に全国展開している。

 さらに周辺事業・新規事業としてBtoBライブネットオークション事業、引越・買取サービスのトレファク引越事業、不用品買取だけでなく不動産売買・仲介も行うトレファク不動産事業、終活・生前整理サービスのレガシー事業、ドレスやブラックフォーマルをレンタルするECレンタル事業「Cariru」なども展開している。生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指し、マルチブランドの業態展開による販売力やマルチチャネルによる仕入力を強みとしている。

 19年1月にはシステム開発のデジタルクエストを子会社化、20年2月にはAIアプリのXZ(クローゼット)運営のSTANDING OVATIONと資本業務提携、20年10月には静岡県内でリユースショップ直営店12店舗を展開するピックアップジャパンを子会社化した。22年2月には子会社トレファクテクノロジーズを設立してデジタルクエストのシステム開発受託事業を承継した。メディアコンテンツ事業が残るデジタルクエストについては外部第三者への株式売却を検討する。

 海外はタイ(16年3月進出)のバンコクで3店舗を展開している。21年4月には台湾に現地法人を設立した。

 22年4月末時点の店舗数は、グループ合計224店舗(タイ3店舗含むトレジャー・ファクトリー76店舗、トレファクスタイル64店舗、トレファクスポーツ6店舗、ユーズレット8店舗、トレファクマーケット1店舗、ブランドコレクト5店舗、子会社のカインドオル36店舗、ゴルフキッズ15店舗、ピックアップ13店舗)となっている。このうち直営店は192店舗である。

 なお収益面では引越シーズンにあたる第1四半期(3月~5月)の利益率が高く、第2四半期(6月~8月)の構成比が小さい季節特性がある。

■新規出店やM&Aで成長加速

 中期経営計画では目標値に、25年2月期売上高310億円、経常利益15.8億円、経常利益率5.1%、親会社株主帰属当期純利益10.5億円を掲げている。当面の配当性向目標は30%以上としている。

 基本方針はリユース事業の成長、新規事業への投資、海外市場での成長、M&Aによる成長、DX投資による成長を掲げている。SDGsを推進するとともに、さらなる成長が見込まれるリユース市場において、グループ一体となって年平均売上成長率10%の継続と利益の安定成長を目指す方針だ。

 リユース事業の成長では、グループ全体で複数業態を組み合わせて年間20~30店ペースの出店を継続し、リユースのネットワークを拡大する。さらに多店舗体制構築に向けた採用・教育の強化、更なる新業態開発、グループのリユース会社の収益改善を推進する。

 新規事業への投資では、物流拠点拡張によるBtoBライブネットオークション事業の本格展開、買取と引越をセットで行う独自の買取引越事業の成長加速、レンタル事業への継続投資を推進する。

 海外事業では、タイ事業(21年11月期に単年度黒字化)の利益体制の構築と新規出店、および台湾への進出を推進する。M&Aでは、既存事業とのシナジー効果や新たな収益事業につながるM&Aを積極的に検討する。DX投資では、自社システム部門およびシステム子会社の開発力を活用し、業務効率化、査定効率化、新たな買取機会・販売機会創出などを推進する。

 22年2月期は過去最高となる17店舗を新規出店した。総合リユース業態トレジャー・ファクトリーは関東・関西・中部にバランス良く出店している。服飾専門リユース業態トレファクスタイルは大型商業施設からの誘致が増加しており、21年10月にはイオンモールNagoya Noritake Garden(名古屋市)に名古屋則武新町店をオープンした。さらに初の買取専門店(東京都・買取センター広尾店、東京都・表参道2号店)も出店して高額アイテムの仕入を強化している。

 リアル×WEBによる深化では、自社ECサイトの出品数増加に伴ってEC売上比率が上昇基調である。22年2月期のEC売上比率(連結ベース)は14.5%となり、21年2月期比1.1ポイント上昇した。さらにBtoBライブネットオークション事業を、店頭、ECに続く第3の販売チャネルに育成する方針で、店舗数拡大やオークション事業強化に対応した物流機能強化のため関東および関西の物流センターを増設する。

 M&A・アライアンスでは、22年2月に終活・生前整理分野「Regacy」において、相続対策プラットフォームの「はなまる手帳」を運営するはなまる手帳と業務提携した。

 22年3月にはALBERT<3906>と共同で、EC出品のために撮影した衣類画像から必要な情報をAIが自動入力する「クロスキャナ」を開発し、トレファク店舗での本格導入を開始した。EC出品業務にかかる「ささげ作業」の大幅な効率化を図り、システム導入前との比較でEC出品点数の10%増加を目指す。

■プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編ではプライム市場を選択し、プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画で掲げた各種取組を推進し、業績目標の達成、株主還元の拡充、コーポレートガバナンスの充実などによって継続的に企業価値の向上(時価総額の増大)を図り、25年2月期末までにプライム市場上場維持基準への適合を目指すとしている。

 22年5月開催の第27回定時株主総会から、東京証券取引所の関連会社であるICJが運営する「機関投資家向け議決権電子行使プラットフォーム」に参加した。第26回定時株主総会から個人株主の議決権行使の選択肢を増やすためインターネットを利用した議決権行使を導入しており、国内外の機関投資家に対しても議決権を行使しやすい環境を整備した。また定款を変更し、将来的に株主総会の開催方法の選択肢の一つとしてバーチャルオンリー株主総会の開催も可能にした。

■23年2月期増収増益・連続増配予想

 23年2月期連結業績予想は売上高が22年2月期比8.9%増の253億98百万円、営業利益が10.3%増の10億98百万円、経常利益が5.5%増の11億12百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.5%増の7億42百万円としている。配当予想は22年2月期比3円増配の20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。

 増収増益で連続増配予想としている。既存店売上(単体ベース)は前年並みの想定としている。さらに積極的な成長投資で費用が増加するが、過去最高水準の新規出店(20店舗~25店舗)に加えて、システム開発体制やDXへの取り組みを強化してリユースビジネスの成長を加速させる方針だ。23年2月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

 月次売上(単体直営店の店舗売上、前年同月比速報値)を見ると、22年5月は全店が119.1%、既存店が105.7%だった。ゴールデンウィークの人出回復や気温の上昇で夏物衣料が好調に推移し、生活家電、生活雑貨、ホビー用品も堅調だった。既存店売上は21年9月から9ヶ月連続の前年比プラスと好調が続いている。なお3~5月の新規出店は6店舗となった。

■株主優待制度は2月末の株主対象

 株主優待制度は毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。

■株価は年初来高値更新の展開

 株価は年初来高値更新の展開だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。6月30日の終値は1219円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS66円76銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS424円66銭で算出)は約2.9倍、そして時価総額は約141億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る