神鋼商事は23年3月期1Q大幅増益で2Q累計予想を上方修正、通期も上振れの可能性

(決算速報)
 神鋼商事<8075>(東証プライム)は8月3日の取引時間中に23年3月期第1四半期連結業績を発表した。半導体不足による自動車減産の影響があったが、市況上昇効果で大幅増収増益だった。そして第2四半期累計予想を上方修正した。通期予想は不透明感を考慮して据え置いたが、通期も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は好業績を評価して年初来高値を更新した。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期1Q大幅増益で2Q累計予想を上方修正

 23年3月期第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比23.7%増の1409億39百万円、営業利益が65.0%増の34億37百万円、経常利益が72.3%増の40億09百万円、親会社株主帰属四半期純利益が72.9%増の31億05百万円だった。

 半導体不足による自動車減産の影響があったが、市況上昇効果で大幅増収増益だった。営業外収益では持分法投資利益が3億48百万円増加(前年同期は1億90百万円、今期は5億38百万円)し、営業外費用ではデリバティブ評価損3億19百万円を計上した。また為替差損益が改善(前年同期は差損1億30百万円、今期は差益2億56百万円)した。特別利益では固定資産売却益4億11百万円、投資有価証券売却益1億15百万円を計上した。

 セグメント別利益(経常利益)は、鉄鋼が価格上昇で40.6%増の16億80百万円、鉄鋼原料が神戸製鋼所向け取扱量増加や価格上昇で348.3%増の3億27百万円、非鉄金属が中国のアルミコイルセンターや新たに子会社化した半導体・イオン注入装置ユニット製造会社の好調で4.3%増の11億46百万円、機械・情報が建設機械部品などの好調で3億15百万円(前年同期は64百万円の損失)、溶材が価格上昇や連結子会社における前年度の事業譲受などで197.0%増の1億37百万円、その他(不動産賃貸事業等)が4億02百万円(同22百万円の損失)だった。

 第1四半期の好調を受けて第2四半期累計連結業績予想を上方修正し、売上高が前年同期比23.6%増の2770億円、営業利益が29.7%増の53億円、経常利益が31.5%増の60億円、親会社株主帰属四半期純利益が16.6%増の45億円とした。前回予想に比べて売上高を140億円、営業利益を8億円、経常利益を7億円、親会社株主帰属四半期純利益を10億円、それぞれ上方修正した。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比9.2%増の5400億円、営業利益が3.5%減の97億円、経常利益が9.0%増の106億円、親会社株主帰属当期純利益が1.4%減の70億円としている。取扱高増加(過去最高)で経常増益(過去最高)予想としている。配当予想も据え置いて5円減配の240円(第2四半期末120円、期末120円)としている。

 通期のセグメント別利益(経常利益)計画は、鉄鋼が鋼材価格上昇などで11億円増加の52億円、鉄鋼原料が原料炭価格上昇などで4億円増加の11億円、非鉄金属が取扱数量増加(6億円増益)だが運賃等の販管費増加(10億円減益)などで5億円減少の25億円、機械・情報が連結範囲変更の影響(2億円減益)などで3億円減少の13億円、溶材が事業譲受による溶接材料取扱数量増加(1億円増益)などで2億円増加の5億円としている。

 不透明感を考慮して通期小幅経常増益予想を据え置いたが、通期も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は好業績を評価して年初来高値を更新した。指標面の割安感も評価材料だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。8月3日の終値は3940円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS790円00銭で算出)は約5倍、今期予想配当利回り(会社予想の240円で算出)は約6.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS7107円83銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約349億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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