【株式市場特集】コンテナ船建造ラッシュで主機関(舶用エンジン)などの受注が好調な舶用機器株に注目

 海運業界の好業績は、大手3社に止まらない。不定期船事業のドライカーゴ、ケミカルタンカーなどを展開する海運会社にまで及び、すでにNSユナイテッド海運<9110>(東証プライム)、飯野海運<9119>(東証プライム)が、今3月期業績を上方修正し増配を発表した。海運株が、主流としたら支流と伏流水は、どこのセグメントか?インスピレーションを発揮しなければならないが、今週の当特集では、第2候補の支流株としてコンテナ船貨物や代替輸送の航空貨物を取り扱う国際複合輸送会社(フォワーダー)、第3候補の伏流水株としてコンテナ船建造ラッシュで主機関(舶用エンジン)などの受注が好調な舶用機器株に注目することにした。すでに海運株と同様に業績を上方修正済みの銘柄のほか、これから決算発表を予定している銘柄も多く、この動向をウオッチしつつ、仕掛けどころを探りたい。

■複合輸送株はすでに6社が上方修正し高値でもなお低PER・PBR

 支流株の国際複合輸送株は、すでに6社が今期業績を上方修正済みである。時系列的にあげると4月28に今12月期業績を上方修正した内外トランスライン<9384>(東証プライム)を皮切りに、同じく12月期業績を上方修正したNIPPON EXPRESSホールディングス<NXHD、9147>(東証プライム)、今2月期業績を上方修正したエーアイテイー<9381>(東証プライム)、今3月期業績を上方修正した三菱倉庫<9301>(東証プライム)、三井倉庫ホールディングス<9302>(東証プライム)、日新<9066>(東証プライム)と続く。このうちNXHDは、8月10日に第2四半期決算の発表を予定し、上方修正値を上ぶれて着地した第2四半期決算を発表した内外トランスは、12月期通期業績予想を精査中としている。

 株価は、三菱倉庫、三井倉庫が揃って上場来高値を更新するなど歓迎高となったが、PERはそれぞれ12倍台、5倍台、PBRは1倍割れ、配当利回りに至っては増配を発表した三井倉庫は5.20%と割安である。残りの7社も低PER・PBR水準に放置されており、主流株の海運株への追撃態勢を整えよう。

■舶用機器株は海洋環境規制をチャンスに業績も上ぶれアピール

 伏流水の舶用機器株では業績推移が、三者三様である。三菱化工機<6331>(東証プライム)とイーグル工業<6486>(東証プライム)は、海洋環境規制強化関連の舶用機器・システムが好調に推移しているとして今3月期業績を上方修正した。ダイハツディーゼル<6023>(東証スタンダード)は、コンテナ船の世界的な建造ラッシュで舶用エンジンの受注が好調に推移し、今3月期第1四半期(1Q)の純利益が、前年同期比2.3倍と大きく伸び、阪神内燃機工業<6018>(東証スタンダード)も、部分品・修理工事の寄与による1QのV字回復業績を発表した。ジャパンエンジンコーポレーション<Jエンジン、6016>(東証スタンダード)の1Q業績は、2ケタ減益で着地したが、これは脱炭素のアンモニア・水素燃料エンジンの開発・製造が本格化するための投資負担が一部響いている。赤坂鉄工所<6022>(東証スタンダード)は、今週10日に今期1Q業績を発表予定だが、前期にロシア向けの主機関の納入が不透明化したとして棚卸資産の評価損を計上しているだけに業績開示状況が注目される。

 株価は、これも三者三様となっている。業績を上方修正した三菱化工機とイーグル工業は、年初につけた年初来高値を窺い、ダイハツディーゼルは、7月につけた年初来安値から底上げ中である。Jエンジンは下値を探り、赤坂鉄工は、年初来安値水準で売り買いともマバラとなっている。ただ共通しているのは赤坂鉄工と阪神内熱機以外は、PERが5倍~9倍、PBRは5社とも0・2倍~0.5倍と割り負け、配当利回りもイーグル工業の4.8%、三菱化工機の3.3%などバリュー株特性をみせているだけに前向き対処も一考余地がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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