松田産業は23年3月期予想を上方修正、さらに再上振れの可能性

(決算速報)
 松田産業<7456>(東証プライム)は8月10日の取引時間終了後に23年3月期第1四半期連結業績を発表した。貴金属関連事業、食品関連事業とも概ね好調に推移して計画を上回ったため、第2四半期累計および通期の連結業績予想を上方修正した。貴金属関連事業における先行き下振れリスクを考慮して下期の予想を下方修正の形としているが保守的な印象が強い。通期会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお自己株式消却(8月22日付で自己株式200万株を消却予定)も発表している。株価は年初来安値圏でモミ合う形だが下値固め完了感を強めている。上方修正を好感して出直りを期待したい。

■23年3月期連結業績予想を上方修正、さらに再上振れの可能性

 23年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比25.8%増の881億92百万円、営業利益が1.8%増の42億63百万円、経常利益が3.9%増の44億79百万円、親会社株主帰属四半期純利益が3.4%増の30億89百万円だった。前年の市況高騰の反動や成長投資の影響などで全体として小幅増益にとどまったが、貴金属関連事業、食品関連事業とも概ね好調に推移して計画を上回った。

 貴金属関連事業は、売上高が28.5%増の639億24百万円、セグメント利益(営業利益)が2.4%増の34億92百万円だった。貴金属リサイクルの取扱量および産業廃棄物処理受託が増加し、貴金属製品の販売量も増加した。貴金属相場の上昇も寄与した。

 食品関連事業は、売上高が19.1%増の242億88百万円、セグメント利益が1.0%減の7億71百万円だった。水産品、農産品の販売量が増加した。利益面では前年の一部商品の市況高騰の反動で微減益だった。

 期初時点では、23年3月期は貴金属相場の変動による利益影響を見込めないとして、不透明感や成長投資などを考慮して減益予想としていたが、第1四半期が計画を上回ったため第2四半期累計および通期予想を上方修正した。

 修正後の通期連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.2%増の3000億円、営業利益が0.9%増の128億円、経常利益が3.2%減の133億円、そして親会社株主帰属当期純利益が2.7%減の93億円としている。配当予想は据え置いて22年3月期比2円増配の48円(第2四半期末24円、期末24円)としている。

 前回予想に対して、第2四半期累計予想は売上高を220億円、営業利益を24億円、経常利益を25億円、親会社株主帰属当期純利益を17億円それぞれ上方修正した。通期予想は売上高を200億円、営業利益を18億円、経常利益を19億円、親会社株主帰属当期純利益を13億円それぞれ上方修正した。下期を下方修正した形である。

 これは貴金属関連事業において、第3四半期以降の半導体・デバイス業界の生産状況について、需給バランスに応じた在庫調整など先行き下振れリスクを考慮し、第3四半期以降の取扱量・販売量が当初見通しを下回る見込みとしたためである。食品関連事業については第2四半期以降も期初計画通りに推移する見込みとしている。ただし保守的な印象が強い。通期会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は下値固め完了

 株価は反発力が鈍く年初来安値圏でモミ合う形だが下値固め完了感を強めている。上方修正を好感して出直りを期待したい。8月10日の終値は2001円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS356円51銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の48円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2848円19銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約578億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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