【どう見るこの株】東芝は戻り一巡感から下げに転じる、まだ嵐の前の静けさ、大量の信用買残がポイント

東芝<6502>(東1・売買単位1000株)は戻り一巡感から再び下げに転じてきた。不正経理問題は1500億円超の利益減額修正の見通しから決算上ではほぼ織込んだとみられるが、上場維持の有無はこれからで大量の信用買残がどう作用するかがポイントといえるだろう。

<Q>東芝の株価は再び下げてきたようだが。

<A>29日(水)は17円70銭安の365円50銭で引けている。去る、7月16日に年初来安値となる361円20銭まで下げ、21日には407円50銭まで戻したが、25日線を上回ることができなかったことから上値限界感から処分売りとなっている。

<Q>信用買残が多いといわれるが。

<A>信用買残が多い最大の理由は、多くの名門優良株がフシとされていた2007年高値を次々と上抜く中で同社株は07年高値1185円に対し4.5~5.0合目にとどまっていたため出遅れ感から、「いずれ上がる」という期待で信用取引を交え買われていた。

<Q>信用買いの投げは予想されるか。

<A>買いの平均コストは450円程度とみられる。まだ、今の株価水準なら買い方としては持ちこたえられる水準といえるだろう。むしろ、買方の中にはナンピン買いしている動きもあるようだ。ただ、仮に300円へ接近するような展開になれば追証の発生も予想され株価の動きはあわただしくなるのではないだろうか。今は嵐の前の静けさかといえるかもしれない。

<Q>不正経理問題は表面化したので株価的には出尽くしではないのか。

<A>約1500億円超の利益減額見通しで決算的には出尽くしとみていいだろう。しかし、毀損された信用等の影響をどう見るかという点では未知数だ。とくに、不正経理処理の間にファイナンス(資金調達)をやっていたことが詐欺行為に当るのではないかと報道されていることがある。もしも詐欺と認定されれば上場を維持することは難しくなる心配がある。仮に、上場廃止となれば信用買残は処分売りということも予想される。

<Q>下値の目処は。

<A>推定平均買いコスト450円から3割下げの315円で下げ止まるかどうかだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■古典計算の限界を超えたシミュレーションを実現、5~10年以内の産業応用を視野に  理化学研究所は…
  2. ■ヤンマー開発の給餌システム、尾鷲物産の現場で実装  FOOD & LIFE COMPANIES(…
  3. ■北海道大樹町で飛行、安全性と着地精度を実証  ホンダ<7267>(東証プライム)の研究開発部門で…
2025年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ピックアップ記事

  1. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  2. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…
  3. ■5月訪日客数が過去最高、6月も好調持続の見込みで市場活況  足元のインバウンド需要は、好調に推移…
  4. ■インバウンド関連株は「トランプ関税」のリーチ圏外で小型割安株特性を発揮  「たかが1%、されど1…
  5. ■内需株に広がる「トランプ・ディール」回避の波  東京電力ホールディングス<9501>(東証プライ…
  6. ■日米関税交渉、7月9日に運命の日「90日猶予」迫る潮目  「三日、三月、三年」とは、潮目、変わり…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る