【編集長の視点】トリケミカルは業績上方修正・連続最高純益を見直し下げ過ぎ修正

■戻り高値2920円を目指す

 トリケミカル研究所<4369>(東証プライム)は、今年8月31日に発表した今2023年1月期業績の上方修正で、純利益が、前期の過去最高を大幅に連続更新することを見直し下げ過ぎ修正買いが再燃している。株価水準が、ファンダメンタルズ的に13.4倍と東証プライム市場平均をやや下回り、テクニカル的にも25日移動平均線から9%超もマイナスかい離していることが買い手掛かりとなっている。

■最先端半導体向けに絶縁膜材料の需要が旺盛で円安進行も寄与

 同社の今2023年1月期業績は、同時発表の今期第2四半期(2022年2月~6月期、2Q)累計業績が、期初予想を上ぶれて着地したのに合わせて上方修正された。売り上げを期初予想の据え置きとしたが、営業利益を2億2100万円、経常利益を9億1800万円、純利益を6億9300万円それぞれ引き上げ、売り上げ136億円(前期比17.5%増)、営業利益36億2100万円(同21.7%増)、経常利益66億4800万円(同25.6%増)、純利益51億9300万円(同26.8%増)と続伸を見込み、純利益は、前期の過去最高(40億9500万円)を大幅に連続更新する。最先端半導体向けに絶縁膜材料などの需要が旺盛で、韓国関係会社の業績も想定を上回り、為替レートが、1ドル=123.30円と期初想定の1ドル=110円より円安で推移したことなどが要因となった。

 ただ今回の業績上方修正は、下期の為替変動が急激でエネルギー・原材料価格の上昇も懸念されることから下期業績は期初予想の据え置きと予想し、2Q累計業績の上ぶれ着地分だけを上乗せしている。このうち足元の為替レートを取っても、さらに1ドル=143円台と円安が進んでおり、為替が1円変動すると営業利益が3000万円変動する為替感応度からも業績の再上方修正の可能性が残る。

■PERは市場平均を下回り25日線から9%超の下方かい離と売られ過ぎ

 株価は、今期業績の続伸・連続増配予想で2920円の戻り高値をつけ、今期第1四半期の好決算でも2858円と高値反応したが、米国の長期金利上昇でハイテク株が売られたことにツレ安して年初来安値2026円に突っ込んだ。同安値から売られ過ぎ修正で2526円までリバウンドしたが、米長期金利の再上昇、ハイテク株安のなか今期業績の上方修正にも反応せず、一部国内証券の投資判断・目標株価引き下げも重なり下値模索の動きを続けてきた。PERは13.4倍と東証プライム市場平均をやや下回り、25日線から9%超のマイナスかい離と下げ過ぎを示唆しており、突っ込み買いから直近の2500円台を回復し、戻り高値2920円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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