【編集長の視点】日本エム・ディ・エムはもみ合いも新規取引契約締結と2Q業績の上方修正が相乗して高値を意識

編集長の視点

日本エム・ディ・エム<7600>(東1)は、3円高の630円と変わらずを含めて7営業日続伸して始ったあと、7円安と下ぶれ前週末31日終値を挟んでもみ合っている。きょう3日の日経平均株価が、81円安と反落してスタートしたことから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が交錯している。ただ同社は、今年7月27日に新規取引契約の締結を発表したのに続き、同30日には今3月期第2四半期(2Q)累計業績を上方修正、相次いだ好材料が相乗しディフェンシブ関連の下値買いは根強く、2月2日につけた年初来高値659円への意識は高まっている。引き続き、国内証券が同社株の投資判断を新規に最高位の「アウトパフォーム」に格付けし目標株価を670円としたことも、サポート材料視されている。

■自社製品比率が84%に上昇し売上原価低減もオンして2Q累計業績を上方修正

新規取引契約は、ベルギーのMaterialise社と同社が開発した3D技術を用いた人工股関節置換術に使用する患者毎の手術器械を対象としている。同製品のターゲットとする人工股関節市場は、約600億円と整形外科市場でも最も大きく、同製品を2017年から順次、販売することを予定、多様化する顧客ニーズに対応、同社が現在、推進している中期経営計画で注力製品としている人工股関節製品の販売を拡大させる。

一方、2Q累計業績の上方修正は、同時発表の今期第1四半期(1Q)業績が、日本国内で人工関節製品、骨接合材料製品が堅調に推移し、米国でも人工関節製品が順調で、自社製品売上高比率が、前年同期の79.8%から84.0%にアップしたことなどから、前年同期比15.7%増収、41.8%経常増益、62.2%純益と続伸して着地、売上原価が計画値を下回り、医療工具の購買抑制などで減価償却費も計画値を下回ることを要因としている。2Q累計業績の数値は、売り上げを期初予想の据え置きとしたが、経常利益を1億5000万円、純利益を8000万円それぞれ引き上げ、純利益は、2億円(前年同期比7.3%減)と減益率を縮小させる。

今3月期通期業績は期初予想を据え置き、売り上げ133億円(前期比12.2%増)、経常利益12億円(同10.4%増)、純利益7億円(前期は3億9100万円の赤字)と予想、売り上げ、経常利益は2ケタの続伸となるとともに、純利益は、前期に増加計上した法人税等調整額が平準化して黒字転換する。年間配当は、6円(前期実績5円)と増配を予定している。

■昨年11月高値抜けからは2006年9月高値800円も射程圏に

株価は、Materialise社との取引契約発表で600円台を奪回し、2Q累計業績の上方修正で上値を追い、7月9日につけた年初来安値483円からの底上げを鮮明化している。年初来高値抜けから昨年11月高値698円が意識され、これを上抜くと2006年9月高値800円が射程圏に入ってこよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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