【株式市場特集】グロース株の一角で市場人気の圏外に置かれていた半導体関連株に注目

 今週の当特集は、グロース株の一角でこのところ市場人気の圏外に置かれていた半導体関連株に注目することにした。業績発表が先行スタートした米国市場では、主力ハイテク株が決算動向により株価上昇と急落が交錯し明暗マチマチとなってきたが、前週末28日にはアップル、インテルが決算好感で大幅高しており、フィラデルフィア半導体株指数も、3.98%高と3日ぶりに急反発したからだ。

 東京市場でも、四半期決算の発表に絡んで半導体関連株は悲喜こもごもの株価推移となった。キヤノン<7751>(東証プライム)は、3回目の業績修正が前2回の上方修正と異なり一部下方修正となってことで急落し、日東電工<6988>(東証プライム)も、第2四半期業績が今年7月の上方修正値を下ぶれて着地したことで大きく売られた。一方、勝ち組では、業績を上方修正したイビデン<4062>(東証プライム)が、東証プライム市場の値上がり率ランキングの第3位にランクインし、7月の上方修正値を上ぶれて着地した第2四半期業績を発表した新光電気工業<6967>(東証プライム)が、同第11位と買われた。また信越化学工業<4063>(東証プライム)は、業績を上方修正し一時290円高したものの、大引けではマイナスと続落した。

 以上の株価動向から次の問題は、きょう週明けにギャップアップしてスタートするのが有力な半導体関連株のどの銘柄をターゲットとするかである。高PER株もグロース株として投資許容範囲内となるが、仮に11月のFOMCの結果がWSJ紙の観測報道と異なり曲がり屋となるケースもあると想定すれば、バリュー株寄りの関連株が望ましい。さらに決算発表もいよいよピークを迎えるタイミングを考慮すれば、業績を上方修正する可能性のある銘柄の優先順位が高い。このスクリーニング条件を充足する銘柄として今年7月~8月に今期業績を上方修正した割安株が第1候補となり、四半期決算の発表日をウオッチしつつ先取り買いも一考余地がありそうだ。

■まず業績上方修正済み銘柄の四半期決算発表で2回目動向をウオッチ

 割安半導体株でまず注目は、今年7月~8月に今期業績の1回目の上方修正をした銘柄で早くも2回目の上方修正に踏み切った銘柄である。エンプラス<6961>(東証プライム)は、7月29日の1回目の上方修正に続き10月25日に2回目の上方修正を発表し、PERは7.9倍と割安である。SCREENホールディングス<7735>(東証プライム)は、前記の新光電工と同じケースで、10月28日に発表した第2四半期業績が今年7月26日の上方修正値を上ぶれて着地しており、PERは7.7倍と割安である。

 7月~8月に今期業績を上方修正し今週以降に四半期決算の発表が予定されている割安半導体株ベスト15は、PER5.6倍の栄電子<7567>(東証スタンダード)を筆頭に巴川製紙所<3878>(東証スタンダード)、フェローテックホールディングス<6890>(東証スタンダード)、ダイトロン<7609>(東証プライム)、住友化学<4005>(東証プライム)、山一電機<6941>(東証プライム)、ホシデン<6804>(東証プライム)、ヤマハ発動機<7272>(東証プライム)、関東電化工業<4047>(東証プライム)、日本マイクロニクス<6871>(東証プライム)、旭有機材<4216>(東証プライム)、AGC<5201>(東証プライム)、タツモ<6266>(東証プライム)、堀場製作所<6856>(東証プライム)、トーカロ<3433>(東証プライム)と続き、第15位のトーカロのPERは9.4倍である。

■直近上方修正銘柄に業績修正・増配のクラスターの半導体商社株も浮上

 今年9月以降、前週末28日までに業績を上方修正した割安株をあげると低PER順に5.4倍のローツェ<6323>(東証プライム)をトップにテセック<6337>(東証スタンダード)、日本特殊陶業<5334>(東証プライム)、カーリットホールディングス<4275>(東証プライム)、野村マイクロ・サイエンス<6254>(東証プライム)と続き、野村サイエンスのPERは8.8倍である。

 業績の上方修正と増配のクラスターとなっているのが、半導体商社株である。すでに今期業績を2回上方修正済みのグローセル<9995>(東証プライム)のほか、コード番号順にエレマテック<2715>(東証プライム)、東京エレクトロン デバイス<2760>(東証プライム)、マクニカ<3132>(東証プライム)、協栄産業<6973>(東証スタンダード)、佐鳥電機<7420>(東証プライム)、伯東<7433>(東証プライム)、菱洋エレクトロ<8068>(東証プライム)、菱電商事<8084>(東証プライム)、リョーサン<8140>(東証プライム)、三信電気<8150>(東証プライム)、加賀電子<8154>(東証プライム)などとなり選り取り見取りである。
(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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