【株式市場特集】業績上方修正・増配ラッシュにフォーカス、かでも12月期決算会社に注目

 今週の当特集は、業績上方修正・増配ラッシュにフォーカスすることにしたが、なかでも12月期決算会社に注目することにした。12月期の決算期末まであと約1カ月、増配銘柄の配当権利を取れば、債券投資の所有期間利回り的な感覚からすれば投資資金効率がより高まることになる。また株価面でも、今期末と前期末を比較した高安は、株主の最も注目するところで、会社経営者の株高政策にプレッシャーとなるはずだからだ。

 例えば、タムロン<7740>(東証プライム)は、今年11月2日に今12月期業績の上方修正を発表したが、これに次いで11月22日に今期配当の2回目の増配を発表し、年間配当は過去最高の115円とする二の矢を放ち、株価は、前週末25日に年初来高値まで買い進まれた。またやや古い今年7月、8月のケースでは、キヤノン<7751>(東証プライム)は、今12月期の2回目の上方修正したが株価がマイナス評価に終わったことから、1800万株(発行済み株式数の1.7%)、500億円の自己株式取得を発表、8月31日までに早期取得を終了した。期末接近のなかこうした株主優遇策の期待が高まることも想定される。

 12月期業績を上方修正し、配当を増配した銘柄は、すでにタムロンのように年初来高値まで買われ助走に弾みをつけ離陸を開始している先行例も少なくないが、なお低PER・高配当利回りと割り負けている銘柄も多く、先発銘柄、後発銘柄が呼応して、師走相場のターゲット銘柄の一角で存在感を発揮する展開も想定される。

■利回りトップのJTは全銘柄ランキングの第16位に位置し高配当銘柄をリード

 業績を上方修正するとともに配当も増配して高利回り株と評価される12月期決算会社のトップは、JT<2914>(東証プライム)である。年間配当を150円から180円に増配し、年間配当利回りは6.63%に達し、全市場全銘柄の高配当利回りランキングの第16位になる。次いで全市場順位第51位のノーリツ鋼機<7744>(東証プライム)以下、ミズホメディー<4595>(東証スタンダード)、ニチリン<5184>(東証スタンダード)、クレステック<7812>(東証スタンダード・6月期決算)、グローバル・リンク・マネジメント<3486>(東証プライム)、内外トランスライン<9384>(東証プライム)、ヒューリック<3003>(東証プライム)、前記のタムロン、堀場製作所<6856>(東証プライム)、GMOリサーチ<3695>(東証グロース)と続き、GMOリサーチの年間配当利回りは、3.05%と3%を上回る。

 業績は上方修正し配当は従来予想の据え置きとした12月期決算会社でも高配当銘柄は多く、NIPPON EXPRESSホールディングス<9147>(東証プライム)の4.93%を筆頭にヤマハ発動機<7272>(東証プライム)、マーキュアホールディングス<7347>(東証プライム)、ブリヂストン<5108>(東証プライム)などが、やはり年間配当利回り3%を超える。

■低PERではノーリツ鋼機が1倍を割り5~8倍台銘柄も多彩

 業績の上方修正により低PER化がより鮮明になった12月期決算会社の断トツは、前記のノーリツ鋼機である。外貨建ての金融資産に換算差益が第3四半期に73億3400万円発生したことから12月期通期純利益を1026億円から1038億円(前期比20.2倍)に引き上げ、これを増配原資とするとともにPER評価も実に0.90倍と大幅割安となった。これに続くのがPER4.1倍のアップルインターナショナル<2788>(東証スタンダード)以下、PER5倍、6倍の銘柄で増配銘柄の一部もダブるが、YKT<2693>(東証スタンダード)、コンバム<6265>(東証スタンダード)、ホットリンク<3680>(東証グロース)、クレステック、MRT<6034>(東証グロース)、NIPPON EXPRESSホールディングス、ミズホメディ、NISSHA<7915>(東証プライム)、ニチリン、ロードスターキャピタル<3482>(東証プライム)となり、すでに年初来高値更新と助走を開始した銘柄も目立つ。なおNISSHAは、業績の上方修正と増配、自己株式取得を同時発表している。

 PER7倍、8倍台ではルックホールディングス<8029>(東証スタンダード)、ヤマハ発動機、グローバルリンク、リリカラ<9827>(東証スタンダード)、OATアグリオ<4979>(東証プライム)、日華化学<4463>(東証プライム)、TRUCK-ONE<3047>(福証Qボード)、マーキュアホールディングスと続いて多彩で、マーキュアホールディングスのPERは8.77倍と市場平均を大きく下回る。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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