アステナホールディングスは22年11月期減益着地、23年11月期減益予想

(決算速報)
 アステナホールディングス<8095>(東証プライム)は1月13日の取引時間終了後に22年11月期連結業績を発表した。原材料価格高騰なども影響して前回予想を下回り、減益で着地した。そして23年11月期も原材料価格などの不透明感を考慮して減益予想としている。なお新規事業として有機米事業および森林事業の開始を発表した。また中期経営計画(ローリング方式)では25年11月期の目標値を大幅増収増益の計画とした。積極的な事業展開で中期成長を期待したい。株価は地合い悪化も影響して反発力が鈍く、昨年来安値圏の小幅レンジでモミ合う形だ。目先的には23年11月期減益予想を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、高配当利回りや低PBRも評価材料であり、下値限定的だろう。

■22年11月期減益着地、23年11月期減益予想

 22年11月期連結業績(収益認識会計基準適用のため前期比増減率は非記載、売上高が従来の方法と比較して減少するが営業利益以下への影響は軽微)は、売上高が496億36百万円(収益認識会計基準適用前の21年11月期は723億22百万円)、営業利益が8億19百万円(同22億33百万円)、経常利益が8億87百万円(同24億20百万円)、親会社株主帰属当期純利益が5億79百万円(同17億36百万円)だった。配当は21年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)とした。

 原材料価格高騰なども影響して前回予想(22年7月13日付で利益を下方修正、売上高500億円、営業利益10億円、経常利益10億円、親会社株主帰属当期純利益11億円)を下回り、減益で着地した。特別利益には固定資産売却益6億95百万円、投資有価証券売却益2億61百万円、特別損失には投資有価証券評価損3億03百万円などを計上した。収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が227億53百万円減少、売上原価が226億55百万円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益がそれぞれ28百万円減少している。

 ファインケミカル事業は売上高が146億30百万円(同229億33百万円)で営業利益(調整前)が2億48百万円(同13億86百万円)だった。大幅減益だった。医薬品原料分野は堅調だったが、医薬品CDMO分野が事業環境の変化などの影響で弱含みだった。

 HBC・食品事業は売上高が139億70百万円(同282億38百万円)で営業利益が1億41百万円(同3億43百万円の赤字)だった。黒字転換した。化粧品通販分野の堅調推移、一般用医薬品を主体とする卸売分野における不採算取引の是正、韓国コスメ関連や自社ブランドのシートマスク「ピュレア」の好調、食品原料分野における大口顧客の獲得なども寄与した。

 医薬事業は売上高が117億54百万円(同124億52百万円)で営業利益が3億92百万円(同9億08百万円)だった。大幅減益だった。売上面は堅調だが各種コスト高騰が影響した。岩城製薬佐倉工場において、欧州からの輸入機器の納期が遅延し、注射設備の竣工が約2ヶ月延期となったことも影響した。なお、国内初となる抗真菌薬ジェネリック新製品の発売に向けたマーケティング活動、キノファーマとの共同開発・商業化契約、美容医療ブランドホルダー機能移管に伴う自社新製品開発などは順調に進捗した。

 化学品事業は売上高が92億78百万円(同86億97百万円)で営業利益が1億56百万円の赤字(同3億83百万円の黒字)だった。大幅減益だった。表面処理設備分野は好調だったが、表面処理薬品分野は電子部品・半導体向けを中心に販売が低調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が122億85百万円で営業利益が6億30百万円、第2四半期は売上高が126億49百万円で営業利益が90百万円、第3四半期は売上高が119億94百万円で営業利益が2億94百万円の赤字、第4四半期は売上高が127億08百万円で営業利益が3億93百万円だった。第3四半期がボトムとなった可能性がありそうだ。

 23年11月期連結業績予想は、売上高が22年11月期比3.8%増の515億円、営業利益が12.2%減の7億20百万円、経常利益が53.8%減の4億10百万円、親会社株主帰属当期純利益が98.3%減の10百万円としている。配当予想は22年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。

 原材料価格などの不透明感を考慮して減益予想としている。なお新規事業として有機米事業および森林事業の開始を発表した。また中期経営計画(ローリング方式)では25年11月期の目標値を大幅増収増益の計画(売上高593億円、営業利益22億円、ROE5.6%)とした。積極的な事業展開で中期成長を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は地合い悪化も影響して反発力が鈍く、昨年来安値圏の小幅レンジでモミ合う形だ。目先的には23年11月期減益予想を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、高配当利回りや低PBRも支援材料であり、下値限定的だろう。1月13日の終値は426円、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約4.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS685円24銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約174億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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