【どう見るこの株】セントラル総合開発は23年3月期2桁増益予想で中期成長も期待

どう見るこの株

セントラル総合開発<3238>(東証スタンダード)は、ファミリータイプの自社ブランド分譲マンション「クレア」シリーズを主力に、不動産販売事業および不動産賃貸・管理事業を展開している。2030年に向けた長期経営計画では、住まい・まちづくり・くらしに重要な役割を担うマンションデベロッパーとして、実需への対応、対象エリアの拡大、SDGsの視点を踏まえながら、持続的な成長を実現することを目指している。23年3月期は分譲マンションの販売契約が順調に進捗して増収・2桁増益予想としている。積極的な事業展開で中期成長も期待したい。株価は地合い悪化も影響して上値が重く、小幅レンジでモミ合う形だが、徐々に下値を切り上げている。指標面の割安感も評価材料であり、モミ合いから上放れて上値を試す展開を期待したい。

■自社ブランド分譲マンション「クレア」シリーズが主力

ファミリータイプの自社ブランド分譲マンション「クレア」シリーズを主力に、分譲マンション・戸建住宅およびビル等の販売を行う不動産販売事業、オフィスビル等の賃貸やビル・マンション等の管理を行う不動産賃貸・管理事業、その他事業(保険代理事業)を展開している。

分譲マンションの企画から保守管理までグループ一貫体制で、ファミリータイプからコンパクトタイプまで、住まう人々のライフスタイル・価値観、住環境・社会環境の変化に適応し、高品質のマンションを提供している。事業エリアは首都圏を中心に全国展開し、特に地方圏への展開を積極化している。そして1994年のマンションデベロッパー事業開始以来の累計供給戸数(竣工ベース、持分戸数)は22年3月期末時点で1万9147戸となった。

22年3月期のセグメント別業績は、不動産販売事業の売上高(外部顧客への売上高)が21年3月期比13.5%増の257億15百万円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が16.7%増の17億85百万円、不動産賃貸・管理事業の売上高が6.8%増の35億74百万円で利益が5.4%増の4億86百万円、その他事業の売上高が11.7%減の33百万円で利益が25.0%減の11百万円、共通部門経費が▲10億96百万円(21年3月期は▲8億49百万円)だった。

22年3月期の不動産販売事業の竣工は合計14物件・684戸(首都圏3物件・198戸、地方圏11物件・486戸で、エリア初進出が岩手県盛岡市、富山県富山市、大分県大分市、長崎県長崎市の4物件、持分は合計684戸)だった。不動産賃貸事業の竣工は2物件・93戸(千葉県船橋市、千葉県松戸市)だった。

なお収益は物件竣工・引渡の増減や期ズレなどによって変動する可能性がある。また、売上は物件引渡を基準に計上する一方、各種経費(人件費、広告宣伝費、販売事務所運営費など)は発生基準で計上するため、四半期別に見ると売上・利益とも物件引渡が集中する第4四半期(1月~3月)の構成比が高い季節要因がある。

■九電工と資本業務提携してシナジー創出

21年6月に九電工<1959>と資本業務提携した。そして九電工が第1位株主(22年9月30日現在の自己株式を除く発行済株式総数に対する所有株式数の割合20.3%)となり、同社は九電工の持分法適用関連会社となっている。

業務提携の面ではシナジー創出に向けて、マンション分譲事業における連携(用地情報の共有、九電工の信用力を活かした資金調達、施工および設備工事に係る施工先の安定化、工事コストの削減、販売委託による人的資源の適正配分など)、商品開発におけるノウハウの活用(九電工が有する環境面に配慮した技術ノウハウ・設備仕様を活用した分譲マンションの企画、環境に配慮した設備導入によるブランド価値向上など)、再開発・大規模開発案件への協力と参画(特に九州エリアで九電工が推進する再開発・複合開発案件への参画による収益率が高い事業機会の獲得、九州エリア以外での九電工とのJVを前提とした大規模案件への参画、財務体質強化による大規模案件への参入など)、不動産管理および修繕分野における連携(太陽光パネルやEVに対応する受電設備等に関する九電工の技術・最新設備の活用など)、人材交流(ビジネスノウハウの共有、九電工のブランド力による採用強化など)を推進している。

22年7月には九電工との共同事業による新築分譲マンション共同ブランド「クレアネクスト」を立ち上げた。第1弾はクレアネクスト古国府ザ・タワー(大分市古国府一丁目、地上18階建・総戸数68戸、24年1月下旬竣工・24年2月下旬引渡予定)となる。環境への影響を配慮した低炭素の実現と、万が一に備えた安全・安心の設計・設備の充実を両立させたタワーレジデンスである。

■長期経営計画

同社は、住まい・まちづくり・くらしに重要な役割を担うマンションデベロッパーとして、実需への対応、対象エリアの拡大、SDGsの視点を踏まえながら、持続的な成長を実現することを目指している。

そして22年5月に策定・公表した長期経営計画「PLAN2030 -CLARE CHALLENGE」では、キーワードに「変化に適応した住まいの提供」「街街の魅力・活力の共創」「持続的な成長の実現」を掲げ、成長に向けた各種施策に挑戦することで企業価値の向上を目指すとしている。

目標数値としては、2030年度(31年3月期)に、進出都市数(累計)100都市、分譲マンション供給戸数(単年、竣工ベース持分戸数)1100戸、賃貸マンション供給戸数(累計、通年稼働ベース)1100戸、売上高450億円~470億円、営業利益33億円~38億円、営業利益率7~8%、ROE10%以上を掲げている。22年3月期の実績は進出都市数(累計)73都市、分譲マンション供給戸数(単年、竣工ベース持分戸数)684戸、賃貸マンション供給戸数(累計、通年稼働ベース)36戸、売上高293億14百万円、営業利益11億86百万円、営業利益率4.0%、ROE8.1%だった。

長期経営計画「PLAN2030」の重点方針としては、新たなエリアへの進出、大型物件・複合型物件への積極的な参画、安定収益源の拡充、環境配慮・多様な付加価値への取り組みを推進し、こうした取り組みを支えるための業務基盤・財務基盤の充実も推進する方針だ。SDGsへの取り組みとしては、EV車充電設備の導入や太陽光パネル設置マンションの供給なども推進する。

なお、中期経営計画(23年3月期~25年3月期)の目標値としては、最終年度25年3月期の売上高340億円、営業利益16億70百万円、経常利益12億50百万円、親会社株主帰属当期純利益8億20百万円、ROE8.3%を掲げている。

■23年3月期2桁増益予想で中期成長も期待

23年3月期の連結業績予想は売上高が22年3月期比3.0%増の302億円、営業利益が18.0%増の14億円、経常利益が18.8%増の11億円、親会社株主帰属当期純利益が11.1%増の7億円としている。配当予想は22年3月期比3円増配の15円(期末一括)としている。

不動産販売事業において分譲マンションの販売契約が順調に進捗し、増収・2桁増益予想としている。セグメント別の計画は、不動産販売事業の売上高(外部顧客への売上高)が22年3月期比3.2%増の265億38百万円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が9.2%増の19億50百万円、不動産賃貸・管理事業の売上高が1.8%増の36億30百万円で利益が1.2%増の4億92百万円、その他事業の売上高が3.9%減の32百万円で利益が30.7%減の8百万円、共通部門経費が▲10億50百万円(22年3月期は▲10億96百万円)としている。

不動産販売事業の竣工(予定)は、合計12物件・638戸(首都圏2物件・96戸、地方圏10物件・542戸で、エリア初進出が栃木県宇都宮市、長野県上田市、香川県高松市の3物件、持分は合計635戸)としている。22年3月期の実績は合計14物件・684戸(首都圏3物件・198戸、地方圏11物件・486戸で、エリア初進出が岩手県盛岡市、富山県富山市、大分県大分市、長崎県長崎市の4物件、持分は合計684戸)だった。不動産賃貸事業の竣工(予定)は2物件・76戸(大阪府大阪市、鹿児島県鹿児島市)としている。

第2四半期累計は、売上高が前年同期比6.2%増の98億31百万円、営業利益が52百万円の赤字(前年同期は3億76百万円の赤字)、経常利益が1億89百万円の赤字(同5億09百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が1億50百万円の赤字(同3億62百万円の赤字)だった。

物件竣工・引渡が集中する第4四半期の構成比が高い収益特性のため第2四半期累計段階で各利益は赤字だが、売買契約が計画より順調に進捗したため期初計画(売上高97億円、営業利益3億50百万円の赤字、経常利益5億円の赤字、親会社株主帰属四半期純利益3億70百万円の赤字)を上回り、前年同期との比較では経費抑制も寄与して各利益の赤字が縮小して着地した。物件竣工・引渡は4物件・317戸(前年同期は4物件・240戸)だった。

不動産販売事業は売上高が前年同期比6.9%増の80億07百万円で利益(全社費用等調整前営業利益)が1億67百万円(前年同期は62百万円の赤字)、不動産賃貸・管理事業は売上高が3.4%増の18億08百万円で利益が14.5%増の2億67百万円、その他事業は売上高が19百万円(同18百万円)で利益が7百万円(同7百万円)、共通部門経費は▲4億94百万円(同▲5億55百万円)だった。

なお四半期別に見ると、第1四半期は竣工1物件、売上高45億28百万円、営業利益75百万円の赤字、第2四半期は竣工3物件、売上高53億03百万円、営業利益23百万円の黒字だった。

通期の増収・2桁増益予想を据え置いている。第4四半期の構成比が高い収益特性だが、第2四半期累計が計画を上回って着地したことを勘案すれば、通期予想の達成は可能と考えられる。

24年3月期の不動産販売事業の竣工(予定)は、合計19物件・823戸(首都圏5物件・168戸、地方圏14物件・655戸で、エリア初進出が福島県郡山市、兵庫県川西市の2物件、持分は合計797戸)で、不動産賃貸事業の竣工(予定)は1物件・55戸(茨城県水戸市)としている。積極的な事業展開で中期成長も期待したい。

■株価はモミ合い上放れ期待

株価は地合い悪化も影響して上値が重く、小幅レンジでモミ合う形だが、徐々に下値を切り上げている。指標面の割安感も評価材料であり、モミ合いから上放れて上値を試す展開を期待したい。1月24日の終値は499円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS73円07銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS871円71銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約48億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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