家庭用「コメまわり」食材の販売好調 |
日本国内における米食回帰と外食比率の低下から、カレーやお茶漬けなど「コメまわり」食材の売り上げが好調である。レトルト及びルウカレー大手のエスビー食品<2805>は、今年4月及び5月のレトルトカレーの売り上げが、前年同月に比べ2ケタ増となった。ルウカレーも前年比9%増を記録、5月までで年間売り上げ目標の7割を既に達成するなど、米食回帰が追い風となっている。
またカレー最大手のハウス食品<2810>も同様に、カレー関連が好調で、今年8月18日からレトルトカレー15商品について10グラム減らし、実質の値上げに踏み切るものの、販売価格は据え置いたままであることから、実際の販売数量、売り上げの落ち込みはないものと見ている。
その他江崎グリコ<2206>もルウカレーの「熟カレー」が好調なほか、中村屋<2204>も今月16日、従来のレトルトカレーの半分以下の少量タイプ「ちょっと食べたいミニカリー」の発売を予定しており、追い風に乗って、さらなる売り上げアップを目指す。
またふりかけ、お茶漬けもご飯とセットで食される商品であるうえ、近年の物価高騰に伴う食費切り詰め傾向から、販売が好調である。最大手の永谷園<2899>は、主力であるお茶漬け商品の売り上げが、今年2月から4月までの間で、前年比30%増と大幅に売り上げが増加、同様にデビューから今年で20年になる「おとなのふりかけ」は、もはやブランドを確立しており、安定した売り上げを誇る商品となっている。大森屋<2917>も味付けのりや焼きのりが回復傾向にあり、お茶漬けやふりかけ商品の販売回復が期待される。
その他米食に関わるレトルト食品を手掛ける企業として、カップ味噌汁を手掛ける前述の永谷園<2899>、米食に欠かせない納豆を手掛ける旭松食品<2911>や、子会社が手掛ける協和醗酵工業<4151>も需要の伸びが期待出来る。またレトルト米飯を手掛ける東洋水産<2875>、佐藤食品工業<2814>にも注目したい。
米食のおかず用調味料も伸びる |
米食は、ただご飯だけ出せばよいというものではなく、基本的にご飯に見合った「おかず」が必要となる。家庭での米食のウエイトが高くなればなるほど、そのおかずの調理回数も増加し、結果として調味料の使用頻度が上がると考えられる。
米食のおかずにとって欠かせないものが、醤油・味噌・みりん等である。醤油生産のキッコーマン<2801>、ジャパン・フード&リカー・アライアンス<2538>、ユタカフーズ<2806>、味噌ではマルサンアイ<2551>が代表的企業である。また、だしやみりんも、おかずを作るにあたって重要な調味料である。「ほんだし」ブランドで有名な味の素<2802>は、同ブランドがデビューして37年目の今年の秋、大幅なリニューアルをし、さらなるシェアアップを目指しているほか、やはり、だしやつゆを手掛けるユタカフーズ<2806>、焼津水産化学工業<2812>、アリアケジャパン<2815>も需要の伸びが期待される。また、みりんでは「タカラ本みりん」ブランドで有名な宝ホールディングス<2531>が要注目である。
米食に欠かせない飲料や和え物 |
もう一つ米食に欠かせないもの、それは「お茶」である。代表的企業として伊藤園<2593>が挙げられるほか、ダイドードリンコ<2590>、子会社が日本茶飲料を手掛けるサッポロホールディングス<2501>、アサヒビール<2502>、キリンホールディングス<2503>も日本茶飲料の伸びが期待される。また、米食の和え物として、代表的な豆腐を手掛ける数少ない上場企業である篠崎屋<2926>も、大豆の高騰が気がかりではあるが、海外での豆腐ニーズが増加しているほか、味噌汁の代表的な具であることもあり、業績への貢献が期待される。
西洋文化の流入で、戦後需要は漸減傾向が続いたが、小麦の高騰という事態に直面し、国内で自給可能で、価格の安定している「コメ」が改めて見直され始めている。元来日本人は米食文化の民族であり、今後も大崩することはまず考えられない。それどころか、海外では日本食ブームが起こっており、先に述べた小麦の高騰も手伝って「コメ」の需要が増加しているほどである。
国内での復活、海外でのニーズ増加という流れの中、「コメ」及び「コメまわり」商品の需要は堅調な伸びを示すことが考えられ、しばらく注目していきたい。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.07 |特集