最近、「結婚への回帰」がみられるようになっている。年間単位で見れば、婚姻数は減少傾向を辿っているものの、月別では2005年6月をボトムに回復に転じている。
厚生省「人口動態統計」によれば、年間での結婚件数は、1970年(昭和45年)から1974年(昭和49年)まで100〜110万組が5年間続いた。それ以降は減少に転じ、1987年(昭和62年)に69万6000組まで減少し現在まで70万組台で推移。直近は2005年(平成17年)で71万4000組(2004年=72万組)と再び70万組を割る可能性が強まっていた。それが、2005年6月をボトムに回復傾向にあるという。
振り返ってみると、婚姻数と景気にはかなり強い関係があるようで、1970年といえば、大阪千里丘陵で「日本万博」が開催されるなど、日本の景気絶好調の時期だった。その後はオイルショックなどもあって昭和40年代のような高度経済は終焉。しかも、社会が「成長」から「楽しみ」を求めるようになり、「集団」(家庭)から「個」の時代を迎え、男女とも結婚より独身で生活する傾向が強まった。少しでも独身生活を楽しみたいということで、平成16年の初婚年齢平均は夫29.6歳、妻27.8歳。とくに、都道府県別では東京都が夫30.9歳、妻28.9歳と、共に東京都の晩婚化が目立つ。都会の若い男女ほど、「自分の能力を高め、やりたいことをやる」という傾向が強い。
家具、インテリアなど新居需要見込めば巨大なマーケット、関連銘柄に脚光 |
ここに来て、婚姻数が増える傾向にあるのは、結婚を遅らせていた人、とくに女性側の出産という年齢面からの制約から結婚に踏み切る人が増えていることがある。一方、サブプライム問題などから景気は悪化の方向に向かっており、景気の側面からは婚姻数にはマイナスとして作用するが、「家庭の良さも見直されている。とくに、最近の社会が食糧問題など、生きるための基本的なところが大切にされるようになっており、夫婦で力を合わせて生きることの大切さが見直されている」こともあるようだ。
当然、ブライダルビジネスにはプラスだ。結婚費用は、もちろんピンキリだが、婚約指輪から挙式、披露宴、新婚旅行など、ある調査によると全国平均で約370万円、首都圏では380万円という。仮に年75万組で平均380万円とすれば年間約3兆円の規模。これに、新居や家具、インテリア、電気製品等を含めると巨大なブライダル市場になり、関連銘柄が注目されてくる。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.15 |特集