日経平均９０００円の意味について

■空売りの売り方には最後の砦

日経平均が５月１日（金）に一時９０１７円までありました。これで、４月１０日の９０６８円、１３日の９０２４円、１６日の９０３０円に続いて４度目です。「３度目の正直」はありますが、４度目の正直は聞いたことがありません。９０００円にはどのような意味があるのですか。

移動平均線は知ってるね。

ええ、知ってますわ。週足なら１３週線、２６線があって、株価が移動平均線を上に抜けば買い、切れば売りでしょ。

そう。既に、日経平均は１３週線を３月１９日、２６週線を３月２７日に抜いて買い転換している。実は、四季報・株価ＣＤ−ＲＯＭには、もうひとつ重要な３９週線があるんだ。１３週線、２６週線との関係では時々ダマシがあるけど、３９週線はほとんどダマシがない、信頼性の高いものなんだ。その３９週線がちょうど９０００円どころにある。株価がこの３９週線を抜くと、空売りをしている売り方は総崩れとなってしまう。売り方の砦が９０００円ということなんだ。

そうですか。もし、株価が３９週線を抜くと日経平均はどこまで上昇するのですか。

そうだね。１万円を突破して１万１８００〜１万２０００円の可能性が強まると思われる。

買い方にとって、９０００円の砦を破る背景はどのようなことですか。


■相場には２つの視点が大切

そうだね、株には、２つの視点がある。ひとつは、先行きが、「今より良くなるか悪くなるか」と言うことがある。今より、さらに悪くなると予想されるなら買い方より売り方が優勢となって相場は下がる。今より良くなると判断されるなら、買い方が優勢になる。

３月頃までは、日経平均は７０００円を割って底抜けになると思われていました。それが、あの２０カ国の金融サミットで世界が一致して金融不安を押さえ込み、景気を浮揚させることで一致しましたね。あの会議で、「これ以上は悪くならない。むしろ先行きは良くなる」という見通しに変わったということですか。

夫；そうだね。月の満ち欠けと同じなんだ。欠ければ、次は満ちる順番といえる。これ以上、経済・景気が悪くならないなら、良くなるという見方が広がって日経平均は７０００円から９０００円まで戻してきた。

あなたが日経平均は１万２０００円もあり得るというのは、多くの方が予想しているより、もっと実体は良くなるということですか。

夫；そう思うよ。たとえば、最近、日本では週末の高速道路料金を引き下げたことで、一斉に多くの人が外出するようなった。自宅に引きこもっていることに皆さんが嫌になっていた。同じように、きっかけさえあれば、産業界でも一気に活動が上向く可能性はある。この点がまだ相場には十分に織り込まれているとは思えないんだ。

じゃあ、相場を見るときの、もう一つの視点はなんですか。

「シコリ」の有無だと思っている。シコリとは上値で高値つかみとなっている株がどのくらい残っているかなんだ。人間と同じで、食べ過ぎると胃もたれして消化するまで時間がかかる。人気となった銘柄ほど上値にシコリが残っている。

シコリが多いことと、最初の視点の「今より良くなるか」ということと、どのような関係があるのですか。

「今より良くなる」といっても、全ての銘柄には通用しないということで出てくるんだ。。本来は、マーケット全体が「今より良くなる」なら、すべての銘柄が同じような上昇となっていいはずだけど、シコリがある場合は違いが出てくる。たとえば、輸出関連では代表的なところでは自動車株と商社株がある。しかし、トヨタ自動車、ホンダなどの上昇に比べ、商社株は戻してはいるが、マーケットをリードするような動きにはなっていない。

シコリの違いですか。

そうだね。たとえば、トヨタ自動車が８３５０円の高値をつけたのは２００７年２月。これに対し、三菱商事は０８年５月なんだ。トヨタ自動車より三菱商事は１年３ヶ月も遅れて高値をつけている。それだけ、三菱商事にはシコリが残っていることになる。売り物が出て来ると買う側も腰が引けてる。

なるほどね。これから、相場を見るときは、「今より良くなるか悪くなるか」、「シコリはあるかないか」という目で見ることしします。

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