今後予想される相場のサイクル

■「値幅整理」は最終段階

すごい下げですね。遂に日経平均は８０００円を割りました。２００３年５月以来の水準です。どうして、ここまで下げるのですか。２００３年といえば、バブル崩壊の厳しい時でした。日本の景気、企業業績はそこまで悪くなっているのですか。

株価の形成には、「実体」と「需給」が組み合わさっている。今は需給が優先している相場で、とくに、外国投資家の売りが下げに拍車をかけている。景気、企業業績の実体は２００３年頃に比べると悪くない。

悪くないのなら、売らなければいいのに。

そうもいかないんだ。各家庭だって、お金の必要な時はある。子供の入学金をつくるために持っている株を売ることだってある。いま、アメリカ、ヨーロッパはお金が回らなくなって不足しているから日本の株を売って資金手当てをしているんだ。「あと５兆円くらい売りたいらしい」、という話も聞こえてくる。

そんなに売り物が残っていたら、もっと下がることになるでしょう。

こういう時は女性の購買心理が参考になると思うよ。ブランド品が市価の半値くらいになれば、同じような品を持っていても、さらに買いたくなる。バーゲンセールには人だかりができる。今のマーケットにはＰＢＲ（株価純資産倍率）が０．５倍ていどになっている銘柄はかなり出ている。ブランド品のバーゲンセールに近い状態。日本には個人金融資産が１４００兆円もあるから、必ず買いが入ってくる。実際、毎日２５億株程度の売買高がある。「売買」ということは、売っている人がいれば、買っている人がいる。

前回でしたか、新日鉄の話をしました。２００３年頃の配当は年１円５０銭でしたが、今年３月期は年１１円です。２４日の株価は２８１円ですから配当利回りは３．９１％です。しかし、株価が１０円下がると配当金は飛んでしまいます。

そうだけど、ピタリと大底を買うことはできない。過ぎ去って見て、あの時は底だったことが分かるものだよ。新日鉄が潰れるのではないかと考える人もいないとはいえないだろうけど、鉄がまったく要らない時代なら可能性もあるだろうけど。仮に、今、新日鉄が潰れるようなら日本の企業は全滅する。長い目で見るのなら３００円以下は買っておいていいと思う。

■徐々に「日柄整理」へ移行

今後に予想される相場のサイクルというかリズム的にはどうなりますか。

夫　「値幅整理」から「日柄整理」に移って行くと思う。外国投資家はドライだから、一気に株を売るから急落する。その変わり、底をつけるのは早いと思う。昔は、『天井３日、底値１００日』と言われたけど、今は、底値３日ではないかと思う。個人投資家が中心の相場では底をつけるのに時間がかかる。

底値をつけるのに時間は掛からない、というのに日柄整理になるというのは矛盾しませんか。

底値をつけるのは鋭角的で、その後、戻してモミ合う動きだと思う。これは、冒頭の「需給」と「実体」の関係で、今は需給が先行しているが、今後は景気と企業業績を見極める実体重視になると思う。この時がいわゆる出来高の少ない状態の『閑散に売りなし』の展開になると思う。証券会社とっては、もっとも辛く厳しい時期になる。

どうして。

下げている時は、それはそれで証券会社にとって手数料収入になる。証券会社には、相場が動いていれば収入になるんだ。ところが「閑散」になると、『株屋殺すには刃物はいらぬ』といわれるように開店休業状態がいちばん辛い。ここを通らないと、相場は反発には向かわない。証券会社の再編問題も閑散相場になれば出るかもしれない。

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