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マニフェストが出揃いました!相場の行方は:妻と夫の株ロマン
■求められる「説明責任」
各党のマニフェストが出揃いました。昔は、マニフェストなんてなかったのに世の中、変わりましたね。
そうだね。GDP(国内総生産)が伸びている頃は、小さい約束が実現されなくても大目に見て許されてきた。選挙カーの上で歯の浮くようなことを言って、実現しなくても、経済全体が膨らんでいれば国民は許容した。しかし、社会が豊かになり、GDPが増えない時代では、1つ1つの政権公約(マニフェスト)が前面に出てくる。
そうですわね。お友達に、女性社長がいるのですが、以前と違って、社員とか取引先に1つ1つ説明を求められるようになったと言っていました。以前は、「挨拶ていどで済んでいたのに」、とぼやいていました。やたらと、「説明責任」が求められるのですって。
豊かになれば、『全体主義』から、『個人主義』になってくる。身近な話、昔は、部屋の真ん中にテレビがあって、家族全員で夕食を囲んでいた。今、子供達に、そんなことを求めたら総スカンを食ってしまう。会社だって、社員旅行なんてやるところは少なくなっている。社会全体が個人中心になっている。決して悪いことではないと思う。むしろ、個人を大切にすることは大切なことだと思う。ただ、こうした個人主義の社会の変化に、自民党は対応できていなかったのではないかと思う。
■根本は「格差是正」
自民党の組織票が崩れているということですか。
それはあると思う。昔から、『自民党は景気の悪い時にこそ強かった』。大変な時に、経験のない野党に任せておけないという国民の思いだった。実際、道路や橋を作って景気を回復させてきた。今は、たとえば本四連絡橋が3本も架かっている。社会資本が充実しているから、かつての手が使えない。今度のマニフェストは民主党側に国民受けがよいように思われる。
育児支援など、お母さん方に力を入れているため『ママ・フェスト』と揶揄されていますよ。
そういう声はある。それはともかくとして、民主党のマニフェストからは、『道路』、『農業』、『子供』、『雇用』、『税制』などの言葉が浮かび上がってくる。強い者と弱い者、都会と地方、大企業と中小企業などの「格差是正」が根本のところにはある。
将来像が抜け落ちているという指摘もあります。
その通りだと僕も思う。これまでの社会は競争原理と努力がすべてを解決すると思われてきた。しかし、勝ち組と負け組が社会のあちこちで目立ってきた。ここに手を打たないで先に進むことはできないと思う。社会は勝ち組だけで成り立っているわけではない。たとえば、介護の必要な高齢者。裕福な高齢者は問題ないけど、多くの高齢者は厳しい現実がある。介護する家族にまで影響が出ている。企業同士の戦いなら負ければ破綻は分かるが、個人の生活はそうはいかない。人生に「努力」は必要だと思う。高齢者の方に努力せよといっても無理。若い時から歳を取った時を想定して生活しておかないからだと批判はできる。しかし、人は神様ではない。まさに、ここが政治の役目だけど、競争原理を持ち込み過ぎたため、高齢者に対する思いやりが欠けた。本来、年配者、高齢者は自民党の基盤だったけど、ここの支持が崩れていると思われる。
■本当の戦後終焉で見詰めなおす時
先行きバラ色の展開が期待できますか。
先行きに手放しの楽観はできない。いろいろ問題点はある。高速道路の無料化だって、結局、税金投入になる。地方にはプラスでも都会の電車利用の人にはメリットは小さい。税制でも『給付付税額控除』が出ているが、給与所得のほかに金融所得を補足するためには納税者背番号制が避けられないだろう。株にとっては楽しい話ではない。
難しい問題はあるけど、それでも今度の選挙は民主党政権が濃厚ということですか。
そうだと思う。これで、日本の本当の戦後が終わるような気がする。このあたりで、戦後から頑張ってきた日本を振り返って、どこが良いところか。あるいは、どこを修復しなくてはいけないか、見詰めなおすところだと思う。相場にもあるけど、『山高ければ谷深し』で、小泉選挙で自民党が大勝したツケも来ていると思われる。仮に、民主党が勝利すれば自民党のベテランはかなり落選が予想される。次の選挙まで3、4年ないとすれば自民党のベテランは引退につながるだろうね。政治の面でも若返りして、新しい日本に向けて政治、企業、そして個人の生活において新しい芽が出てくると思う。日本がどう変わるかは分からないけど、社会を去って行く僕の世代から言えば、日本を担う世代の皆さんにはいいチャンスだと思う。
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