■選挙から２週間、相場はどこを向いているか：妻と夫の株ロマン

■国民が選んだ新政権への気迷い相場続く

　８月３０日投票、３１日の開票で民主党・圧勝から２週間です。来週９月１６日（水）に、新内閣がスタートすが、投票からここまで長かったですね。時間的な余裕があったのに、相場はどちらへ向いているのか、さっぱり、分かりませんわ。

　そうだね。気の抜けたビールとまでは言えないが、相場は気迷っているようだ。「選んだのは自分たち国民だけど、果たして、これで良かったのか」。そんな雰囲気にも取れる。民主党の勝ちが決まった８月３１日（月）に、日経平均は１万７６７円の年初来高値をつけた。その後、９月４日（木）に１万１４３円まで下げたけど前週は１万５００円台まで戻している。桃子の言うように、上げも、下げもしない、方向性のはっきりしない動きになっている。

　少しだけ、振り返ってみたいのですが、東京都議選が７月３日でした。自民が負けて、日経平均は７月３日の９８１６円から７月１３日の９０６０円まで下げました。そこから、８月３１日の１万７６７円まで約１９％上げています。この間の上げが民主党歓迎相場ということだったのでしょうね。

　衆議院を解散したのは７月２１日で、この前日、営業日１７日（金）の日経平均は９３９５円だった。ここをスタートと見れば、日経平均は１５％上昇している。民主党の勝利間違いなしとみて歓迎相場を出したといえるだろう。

　いろいろな報道に触れると、今度の民主党の勝利は、「民主党に惚れたというより、自民党が嫌になった」、という女こころにも、似たものだったのではないかしら。好きだったのに、我慢の限界を越える、相次ぐわがまま態度で、「顔を見るのも嫌になった」。まさに、女性の気持ちですよ。

　女性だけでなく、世の中には、『可愛いさ余って憎さ１００倍』という言葉はあるね。戦後の復興から手を携えて一緒にやってきた、（自民党との）仲なのに、後期高齢者などといった邪魔者扱いで、裏切られた思いはある。どこかの高級料亭と同じで、大衆とは溝ができていた。

　自民党を支えて一緒にやってきたのはお役人ですから、『坊主憎くければ袈裟まで憎い』。大衆の不満は官僚にも向けられました。今度の千葉県でのケタ違いの不正経理処理のように、役人は同じような不正をやっているのではないか。民間が苦労しているのに、役人はぬくぬくしている。その思いはあったと思いますわ。テレビドラマの水戸光圀公の役割を民主党が演じたということですから、国民は拍手喝さいです。民主党はよいところに目をつけたと思うわ。

■「企業」に振れ過ぎていた振り子を「民」の側に振れるか

　これまでの日本は、「自民党」−「企業」−「官僚」のシステムでやってきた。その結果、経済大国に成長した。すばらしいことだ。しかし、一方で創業者社長にありがちな「ワンマン」が目立つようになった、ということだと思う。その反省が今、起きているんだろうね。

　反省するかしら。

　２つあると思う。ひとつは、国民が、やはり自民党でなくてはいけないという、気持ちになるまで待つ。もうひとつは進んで体質を変えて行く。会社経営なら社外取締役を加えて、ステークホルダー（会社の利害関係者）に説明して、分かりやすい経営にする。戦後の物のなかった頃はワンマンの方が意志決定の早いことがむしろよかった。仮に、失敗しても「経済成長」が包み隠してくれた。経済が成熟し、価値観が多様化した今は、ワンマンでは、経営に限界がある。民主主義は手間と時間がかかって、めんどうだけど、ここは手を抜けない。今度の選挙では負けたことは事実だから、次の衆議院選挙まで待たなくてはいけないが、その間、相手のミスを待つだけでなく、自らの存在価値を確立しなくてはいけない。

　民主党の連立政権ですが、外交、特に防衛問題と郵政民営化問題あたりに火種があるのでは。

　そうだね。アメリカは来年１月で期限の切れるインド洋での日本の燃料補給支援について、持続するようにプレッシャーをかけている。連立の社民党は継続にノーといっている。連立政権の大変さがある。数を誇る民主党内部からは小さい政党に振り回されるな、という意見は出る可能性がある。郵政民営化は、小泉さんが選挙で国民に信を問うた上で決まったものだ。仮に、それをひっくり返すとなると国民はおもしろくない。その件について、もう一度、選挙をやってくれという気持ちにもなる。

　これまでの政策が、「企業寄り」だったものを、「民」主導にするわけですか、本来、株には、良くないはずですね。

　「企業」に振れ過ぎていた振り子を、修正するという程度なら、むしろ日本にとっては良いことだと思う。ただ、振り子というのは、いったん反対に振れると、ちょうどよいところで止まることは難しい。次は、「民」へどの程度振れるか。仮に、大きく振れるようだと、桃子の言うように相場にはマイナス面が出てくるだろうね。たとえば、派遣法問題では、国内の生産を海外へ移すことを真剣に考える企業が出始めている。それは、企業にとって悪いことではないかもしれないが、折角、製造の国内回帰がおき始めていたことで言えば、内需面にはマイナスだろう。「公開会社法」という新しい法律もできるようだし、証券税制もどうなるか。最近、地方銀行株の安値更新が目立つけど、これも、新政権による地方活性化のプレッシャーの部分がある。融資を増やすように指導されると、焦げ付きも発生して銀行経営にはマイナスになる。結局、繰り返すけど、振り子が、今後、どのていど「民」の側に振れるか。これを見極める相場だと思う。

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