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■常に出遅れで動く日本株に注意すること:妻と夫の株ロマン


■出遅れ株は深追いするな

妻 快調に上げてきた日本のマーケットです。しかし、突然、下げに転じました。このような、ある日突然の動きが、あなたの言う、「出遅れには気をつけろ」ということですか。

夫 そうなんだ。こんどの相場は日経平均で見れば、昨年11月27日の9076円から上げてきた。この間、補正予算の成立見通しなど、政権が安定してきたことで日本株を手がけやすくなった。日本のマーケットが、世界の中で出遅れていることをハヤしたら、思った以上に反応が良かった、ということだろう。しかし、所詮は、日本株は、「出遅れ」にすぎない。先行したNY、中国がつまずいたら、日本は、こけてしまった。なにせ、日本は世界で高齢化が、もっとも進んでいる。年をとると足元がふらついて、つまずくだけでは済まなかった、ということだろう。

妻 どうして、NY、中国がつまずいたの。景気は上向いているのでしょ。とくに、中国はGDPが、10%近くも伸びていると言われています。

夫 確かに、沈滞している日本に比べると、アメリカ,中国の景気は、「すごい」と言ってもいいくらいだ。両国とも、思い切った政府投資を行った効果が出ている。しかし、アメリカの景気は良くなっているといっても「失業率」はまったく改善されていないことが問題なんだ。ウォール街など、一部の金融セクターが潤っているだけ、という不満が強まった。NYダウは上がっているけど、国民の生活は楽ではない。「見せかけのNYダウ上昇」は要らない、という声が高まってきた。

妻 それで、マサチューセッツ州の補欠選挙で、民主党が破れたのですか。

夫 マサチューセッツは民主党の強い地盤だった。そこで負けたのだからショックは大きかった。このため、オバマ大統領は軌道修正をしなくてはいけなくなった。

妻 どんな修正ですか。

夫 新しい金融規制案を出してきた。ひとことで言えば、銀行などが投機的な分野に資金を出してはいけない、ということだ。これで、金余りをバックとした「流動性相場」が終わったとみて、投機筋が一斉に資金を引き上げた。当然、株も商品相場も下がった。

妻 中国は?

夫 景気が良すぎることが心配となっている。マンション価格は急騰するし、こちらも国民の間に格差の不満がくすぶってきた。これまで、車ならアクセルを踏んできたけど、ブレーキも踏む必要がでてきた。つまり、金融を引き締めてきた。当然、景気に影響が出ることになるから、中国でも株が大きく下げた。

妻 アメリカ、中国が下げても、日本独自で頑張れないのですか。経済大国なのに。

夫 身体は成人でも、体力のない大人。つまり、年をとって体力のない状態。表現はよくないが、老人大国だろうね。GDPは、まもなく中国に抜かれて世界第2位の座を明け渡す。とくに、国民1人当りGDPでは先進国では下位に位置している。今の日本には、世界を牽引する力はまったくない。アメリカ、中国に元気でいてもらわないと、日本の製品が売れない。

妻 だけど、日本には国民金融資産が1400兆円もあるのですから、購買力はあると思いますが。

夫 日本も350万人近い失業者になっている。一向に、改善がみられない。親戚や身内、知人などに失業の人がいれば、物を買う気持ちにはならない。政府がいくら家計にお金を渡しても使うことはしない。企業が元気になって、失業者も減ってくれば物を買うようになるけど、今のような状況では、政府がいくら、笛を吹いて、太鼓を叩いても庶民は踊ってくれない。それでなくても、日本は高齢化で、一度に食べる量は少なくなるように、消費はふるわない。だから、アメリカ、中国がつまずいたら、日本はこけてしまう。「日本機関車論」は、昔の話だ。国内消費がだめだから、内需型指数の「TOPIX」は、いまだに昨年来の高値更新することができないでいる。

妻 これから、アメリカ、中国はどうなりますか。

夫 良いほうに解釈すれば、両国とも予防的な政策とみることはできる。アメリカは2008年のような金融バブルと、その後のリーマンショックのような下げを防ぎたい気持ちだろう。中国も、1990年当時の日本の不動産バブルと、その後の大不況とならないように、早めの予防策といえるだろう。

妻 じゃあ、そんなに悲観することはないのですね。

夫 過大に悲観することはない。アメリカと中国を軸とした、「世界景気の回復基調」は変わらないとみていいだろう。ただ、(1)今までのような高い伸びは無理となってきた、(2)EUが波乱要因として目を離せない、ことはあると思う。

妻 日経平均は、どのていどまで下げますか。

夫 1万円を割ることはあるだろう。せいぜい9700円台ていどを見ておけばいいと思われる。

妻 とくに、個人投資家の皆さんが、今回の相場も含めて、今後,、気をつけることは、どんなことですか。

夫 『出遅れ株は深追いするな』、ということだろう。今も話し合ったように、日本がリードして上がる相場ではない。常に、NYや中国の後をついて上がる存在だからだ。相場全体でも、個別銘柄でも、「出遅れには、出遅れるだけの理由がある」ということを忘れてはいけない。先行する銘柄には、やはり魅力があって元気がある。出遅れには、何かの問題がある。日本のマーケット全体なら、少子高齢化で活力がなく、さらに、豊かになったため、国民に勤勉性が失われている。だから、先行したマーケットが調整すれば、出遅れで買われたところは、それ以上に大きく下げてしまう。

妻 トヨタ自動車もですか。

夫 そうだね。日経平均が高値を更新したのに、トヨタが未更新であることはおかしい、という理由だった。途中まではよかった。ところが、高値をつけた途端にリコール問題が出て急落した。しかし、昨年11月にもリコール問題は出て、尾を引いていた。だから、出遅れていた、言えると思われる。だから、出遅れ株は深追いできないんだ。今後も、日本の市場は常に出遅れで動くことを忘れてはいけない。このため、腹八分で、早めに対応することが大切だと思う。

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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2010.01.31 |特集