☆株ロマン☆ 時々の話題を夫婦の会話でお届けします

■これからの相場を占う3つのキーワード


■『アメリカ復権』、『東日本復興』、『不景気の株高』

妻 1月も終わりました。1ヶ月間だけの相場を見て、これからを見通すのは難しいと思うけど印象としてはどうですか。

夫 今年のキーワードを挙げるなら、「アメリカ復権」、「東日本復興」、「不景気の株高」ではないか、と思っている。

妻 NYダウの強いことがアメリカ復権を現しているということですか。

夫 そうだね。NYダウはリーマンショック後の2009年3月につけた安値6469ドル(いずれも場中値)から、2月3日には1万2869ドルと、98.9%とほぼ2倍の上昇となっている。世界のマーケットを見渡すと、NYダウの強いことが抜き出ている。「アメリカ復権」の象徴と言ってもよいのではないかと思う。少し、振り返ってみたいと思う。1989年11月にベルリンの壁が崩壊して東西冷戦が終結してから23年になる。この間、知っての通り、次々と新興国が経済発展して存在感を強めた。このため、アメリカの一極集中時代は終わったと言われてきた。日本でも自民党時代が終わり、多くの政党が登場した。しかし、それぞれが主張ばかりするから結局は何も決めることができない。世界もまったく同様だ。放置しておけば、とくに世界の場合は核保有国が増えて戦争の危険が高まる。もう一度、分散化した世界をアメリカが中心となってリーダシップを発揮することが求められている印象だ。アメリカ復権はドル復権だからNYのマーケットに悪い話ではない。

妻 アメリカ型がすべて優秀ということではないのでしょ。実際にアメリカでもデモは起きています。

夫 アメリカ型の基本は「競争」だから、競争には、当然、勝者と敗者は生まれる。競争の反対は「仲良会」だ。経済が確実に伸長する時代なら仲良会も通用するけど、物が売れない厳しい時代には、ナアナア式の仲良会では全員がダメになってしまう。よい例がヨーロッパのユーロだと思うよ。元監督の野村克也さんが言ってた言葉が印象に残っている。「競争による一流が一流を育てる」と。これから先、どうなるか分からないけど、世界は改めて、やはり、「アメリカ型の競争が国を強くする」という思いになっていると思う。もちろん、競争の行き過ぎで、格差が開きすぎた場合は修正は起きるだろう。しかし、アメリカは「競争」を放棄して「仲良会」になるとは思えない。

妻 このところの日本は、仲良会になりつつあるのかしら?

夫 もともと、日本は農耕民族だから、集団生活的な仲良会の体質は持っている。敗戦後はアメリカ流の競争で日本は成長することができた。しかし、一方で競争の結果、格差を生んだことも事実だし、古くから持っている日本人の協調性、道徳性が薄くなり無責任主義的な風潮が強まった。最近は無資源の日本は、やはり働かなくては食べていけない国であることも改めて噛み締めている。日本人の良さの協調性を備えた日本流の競争社会を築く、よいチャンスといえるだろう。そのためには、日本人の良さを引き出してくれる強い政権に生まれ代わることが必要だろう。

■ベテラン投資家には願ってもないチャンス

妻 「復興」と、「不景気の株高」のキーワードは、どのように結びつくのですか。

夫 世界はリーマンショックの後、各国とも膨大な政府支出を行った。この効果でリーマンショックは乗り越えることはできたものの、各国とも政府の借金が膨れ上がり、副作用で「財政悪化」を招いた。ユーロが危機的な状況に陥っている。悪化している景気をテコ入れしようにも、財政悪化で政府は支出をすることができない。ならば、民間が元気を出せばよさそうなものだが難しい。競争を否定して仲良会のクセがついているから、悪いのは政府と言うだけで民間にはヤル気が失せている。そうした中で、アメリカは、持ち前の「競争主義」を前面に出してで復権しようとしている。日本にも、「震災復興」という政府支出ができる大義名分がある。もちろん、日本も財政は厳しいけど、復興を契機に日本復活の可能性は残っている。

妻 それが、不景気の株高とどのように関連するのですか。

夫 日本はバブルが崩壊して20年以上経ち、ずっと不景気だった。このため、長い間、ゼロ金利の低金利状態が続いている。昔なら、不景気で金利の低い時は行き場所のないお金が「株」に流れ込んで、「不景気の株高」現象となっていた。近年は新興国の発展などで、国内が不景気でも資金が海外に流れていた。それが、今度の「ユーロ不安」、「中国株の反落」、「ブラジル株の下げ」などで、大きな損失を受けた。今は海外にも有利な金融商品は見当たらなくなった。そんな中で、大型の復興予算が付いている日本株は魅力があるのではないか、という状況になっている。世界不況の中で、世界のマネーが日本株を見直して来る可能性は大いにある。もちろん、日本の投資家の方、とくに、昔の「不景気の株高」を知るベテラン投資家の皆さんには絶好の投資チャンスと思っている。

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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2011.11.21 |特集