☆株ロマン☆ 時々の話題を夫婦の会話でお届けします

■アベノミクス相場はどこまで続く?=妻と夫の株ロマン


■数十年に一度の「国策」に素直に乗るべし、内閣支持率がダウンするまで強気で

妻 政権が交代して円相場は100円台になり、日経平均はほぼ8割の値上りです。わたしたち個人投資家はこの先の相場が、これまでと同じような上昇になるのか、あるいは今が天井圏で有頂天になってはいけないのか、このことがいちばんの関心です。

夫 相場が上昇した背景は、異次元金融緩和など、既に、報道されている通りで多くの投資家は株高の理由は承知していると思う。ただ、長い間、相場を見てきた経験から言うと、今の相場は「国策」に沿ったものであるということを基本に置いておくべきだと思う。戦後の「所得倍増政策」や、「日本列島改造政策」といったこれまでの国策と肩を並べるくらい、今回の「脱デフレ政策」は大きく、しかも力の入っているものと位置づけられる。安倍内閣は脱デフレに政権の命をかけているとみていいと思う。

妻 つまり、相場は簡単には終わらないということですか。

夫 まだ、政権が発足して半年にすぎない。政策の効果が出るのはこれからだと思う。日経平均が半年で8割上昇、トヨタ自動車も2倍を超える上昇など、過去の相場リズムからみれば危険という気持ちになることは分かるけど、数10年にあるかないかという日本全体を変える大きい国策の場合は、相場のリズムといったマーケットの内部要因的なことは、飲み込んでしまう。今は、後ろを振り返って、高所恐怖症に捉われないことが大切と思うよ。

妻 国策と相場の関係が、なんとなく頭では分かる気はしても、上げ足の速い相場の動きを見ていると、怖いという気持ちが先に出ます。

夫 当然だと思うよ。だから、個人投資家の方は一部の方はかなり強気の方もおられるが、多くの方は買ってもすぐに売る、といった慎重姿勢の方が多いようだ。1990年のバブル相場のころのように、個人投資家が一斉に買い付いて、そこを外国人投資家に売り逃げられた、という状況にはほど遠いといえる。

妻 相場天井形成の条件はまだ整っていないということですか。

 【夫】 そういうことだね。いくつか理由を挙げると、外国人投資家がまだ日本株を買い続けていることがあるし、90年のバブルのころは大手証券がシナリオ営業と称して大量推奨販売を行って個人投資家に高値で買わせてしまった。とくに、90年のときは、日本では先物に不慣れだったため、外国人投資家に先物を使って売り崩された苦い経験がある。今は、日本でも先物に対する知識は、個人でもFX投資をするくらいだから十分、身につけているし外国人投資家の動向にも個人は敏感になっている。シナリオによる証券会社の大量推奨販売は禁止されている。それどころか、今は営業マンとの対面営業は少なくなり個人は独自の判断と責任においてネットでの取引が中心となっている。こうしたことから、今の活況相場は、過去のバブル相場と比べてもはかなり雰囲気の違うものといえるだろう。

妻 その結果、相場は調整があっても小さく、すぐに上昇に向うわけですね。「相場は相場に聞け」ということでしょうか。

夫 大切な老後の生活資金だから基本的な投資姿勢は慎重でよいと思う。ただ、繰り返すが国策を背景とした相場だから基本は強いとみて対応すべきだと思う。預金をしていたのでは、こんどの国策の恩恵は受けることはできないと思うよ。

妻 でも、いずれは国策自体にも満腹感がでるのではありませんか。「天まで届く相場はない」とも言うし。

夫 政権ガスタートしてまだ半年だから、国民はアベノミクスに対し批判より歓迎の気持ちの方が強いと思う。逆に言うと、国民の歓迎と期待の気持ちがどこて批判・不満に変わるか、ということが今度の相場の分岐点になると思う。この点は、個人投資家も外国人投資家も同じだと思う。

妻 一部ではバブルを心配する声も聞かれます。どういう状況になれば期待が不満に変わると思いますか。

夫 90年当時のバブルでは住宅・マンション・土地、株、会員権、絵画、宝石などが急騰した。とくに、銀行は担保価値を大きく上回る貸付を行い田舎の山奥の土地の原野にまで融資するということが行われた。個人も住宅・マンションなどを担保に一斉に株を買い、会員権買いに走った。夜の街ではタクシーも拾えなかった。こういう当時の状況に比べると、今、バブルを心配する状況にはないといえる。不満があるとすれば別のことだろう。

妻 どんなことですか。

夫 アベノミクス効果を生活者が実感できないと思ったときだろう。異次元の金融緩和という、笛や太鼓で盛り上げているが、「笛ふけど踊らず」という兆候の出るときが怖い。株高、円安が最終的には個人の雇用増加と賃金・収入増加に結びつかないとアベノミクスが効果を生んだとはいえない。物価2%はあくまで手段であって、本当は賃金の2%アップ、できればそれ以上でなくては目的は達成されたことにはならないと思う。過去の金融緩和局面と大きく違うのは「エネルギーの制約」と「人口減少と高齢化」という大きい重石があることだろう。高齢化になればサイフのヒモを少しくらいは開いても、思い切って開けることには慎重だろうし、企業も一部の企業はともかくとして全体としては賃金の引き上げには慎重と思われる。今後も株だけが上がり一部の資産家だけが潤い、円安で一部の企業だけが潤うという状況が続けば国民の間に徐々に不満の高まることも予想される。

妻 今後を見るうえでは経済指標も大事ですが、それ以上に国民の気持ちの変化を見ることが大切のようですね。

夫 株高、円安で経済指標としてはこれからも明るさが予想される。しかし、その裏で格差拡大も当然予想され、それを国民がどこまで容認するか。このため、新聞社の世論調査による内閣支持率は見逃せない、もっとも大切なデータだと思う。支持率の高水準が続いている間は経済も株も強いとみてよい。しかし、支持率がダウンしたときがアベノミクスと株に対する警戒信号になると思う。今は、慎重よりネットを活用して積極的に投資するのがよいと思う。住居目的の土地はともかくとして、投資先として土地はバブル崩壊後の急落と換金性の悪さから痛い目にあったことを忘れてはいけない。この点で換金性にすぐれている株は個人にとっても最適と思う。


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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2013.5.11 |特集