2011年05月24日
ツクイ:5期連続の増収増益を達成し、売上高、利益ともに過去最高を更新
■増収効果に加え、営業利益率が0.6ポイントアップ
介護業界の大手ツクイ<2398>(東2)は、5月20日東京証券取引所のアナリスト協会で、前11年3月期決算説明会を開催した。
前期のトピックス、前期業績の説明、今後の事業展開、今期の業績予想の順で説明が行われた。
前期のトピックスとしては、07年3月期から5期連続の増収増益を達成し、売上高、利益ともに過去最高を更新、3月23日に東証二部に上場、同じく3月に高知市にデイサービスセンターを出店したことで47都道府県全てに出店が完了、また、大震災の被災により南相馬市の事業所だけが現在も全面休業しているということが紹介された。
11年3月期末の出店状況は、新規出店したデイサービス39ヶ所、有料老人ホーム2ヶ所となり512ヶ所。当初計画ではデイサービス52ヶ所であったが、計画より13ヶ所少なかった。理由は工期の遅れであり、今期に出店予定。有料老人ホームは計画通りに進んだ。
業績については、当初予想を上回った。特に利益面では大幅に上回ったことにより、上方修正を発表した。
前11年3月期業績は、売上高44,624百万円(10年3月期比13.1%増)、営業利益2,067百万円(同30.4%増)、経常利益2,768百万円(同46.7%増)、純利益1,364百万円(同47.1%増)と2ケタ増収大幅増益。
大幅増益となったのは、増収効果に加え、売上原価、販管費の伸びが売上高の伸びを下回ったことにより、営業利益率が0.6ポイントアップしたことが挙げられる。
■「2010年度JCSI(日本版顧客満足度指数)調査」において介護業界1位を獲得
四半期毎の売上高を見ると、第1四半期10,496百万円(前年同期比10.0%増)、第2四半期11,088百万円(同13.2%増)、第3四半期11,623百万円(同15.3%増)、第4四半期11,414百万円(同13.9%増)となっている。第1四半期から第3四半期まで順調に伸びているが、第4四半期の売上は第3四半期より少なくなっている。この要因は、毎年1月、2月に売上高が減少する傾向にあるため。
セグメント別の売上高、経常利益は、在宅介護事業33,271百万円、3,282百万円、有料老人ホーム5,891百万円、△314百万円、人材開発事業5,460百万円、△199百万円、まだ有料老人ホーム、人材開発事業は赤字であるが、利益率は年々改善している。
同社は介護事業を開始した当初から顧客サービスの向上に取組んでいる。その成果が表れたニュースが4月13日に発表された。サービス産業生産性協議会による「2010年度JCSI(日本版顧客満足度指数)調査」において、同社は、介護業界1位となっている。事業規模の拡大の中で、サービスの質の向上に熱心に取組んでいる日頃の努力が報われたといえる。
■町田市に施設内に医療機関を持つ大規模有料老人ホームを開設
一方、今後の在宅介護事業の取組みについては、デイサービス利用率のさらなる向上とサービス別の運営・損益管理を推進していく方針。
デイサービスを中心に事業を展開し、新規開設は13ヶ所を計画し、早期黒字化を図り、既存店の利用率を高めることで収益のアップを図る。
更に、デイサービスに併設されているグループホーム、ショートステイサービスを単独事業所化し、サービス別の運営を行い、損益管理を強化する。
この結果、今期売上高は前期比14.1%増、経常利益は前期比33.4%増を達成する計画。
有料老人ホーム事業については、既存施設の入居率向上で収益の改善を図るとしている。
今期の新規出店は1カ所。既に、東京都町田市に5月に施設内に医療機関を併設し、定員は168名と大規模な施設を開設している。「もう1棟建設する計画で、2棟合わせると約350床となります。これまで3百万円から8百万円の入所金を取っていましたが、入所金をやめて、初期費用80万円としたため、既に約30床決まっています」(同社代表取締役社長津久井督六氏)と入居が順調に進んでいることを紹介した。
今後も、医療機関との連携を深めニーズの高いターミナルケアとしての機能を高めると共に、真空低温調理による美味しい・高栄養・安全な食事を施設見学会などで周知することで、入居率のアップに努める。
有料老人ホーム事業の今期売上高は、前期比23.7%増を計画し、早期の黒字化を目指す。
人材開発事業については、不採算支店の統廃合と有料職業紹介・紹介予定派遣の強化で収益の改善を図るとしている。
既に、求人サイトを3月に閉鎖、今上半期中に27支店を統廃合し、67支店から40支店体制にする。
一方で、転職・就職フェアやイベントで登録者を確保する。特に看護師の確保に注力し、クライアントに優秀な人材を継続的に紹介する。有料職業紹介は前期比25.0%増を計画している。
人材開発事業の今期の売上高は、前期比1,365万円の減を見込むが、不採算支店の統廃合等により、経常損益の改善を計画している。
■今12年3月期業績予想は2ケタ増収大幅増益を見込む
今期の出店計画は、デイサービス13ヶ所、有料老人ホーム1ヶ所の新規出店をするが、人材開発事業で27支店を統廃合することで、12月3月期末の総出店数は前期比1店舗減の511店舗を見込んでいる。
セグメント別の売上高、経常利益は、在宅介護事業37,953百万円(前期比14.1%増)、4,377百万円(同33.4%増)、有料老人ホーム事業7,285百万円(同23.7%増)、△161百万円(同152百万円増)、人材開発事業4,095百万円(同25.0%減)、△147百万円(同51百万円増)を見込んでいる。
今12年3月期業績予想は、売上高49,334百万円(前期比10.6%増)、営業利益3,431百万円(同65.9%増)、経常利益4,068百万円(同46.9%増)、純利益2,133百万円(同56.3%増)と2ケタ増収大幅増益を見込む。
今期の出店が少ないことについて会場から質問が出ると、「稼働率次第です。稼働率がアップすれば出店強化もあり得ます。デイサービスの稼働率は前期末で46.4%です。今期は60.0%を目指しています。また、介護事業全体に占めるツクイのシェアは1.2%です。これから更に300出店しても5.0%のシェアに過ぎません」(津久井督六社長)とまだ出店余地があることを示した。
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