
要因は、サブプライム問題の表面化により、世界の主要国が、金融安定化策を採らなければならない程、景気が悪化したこと。日本でも、同社の最大の顧客である百貨店、大手流通企業が予定していた新店舗の建設、改装を見直したり先送りしたことや、あるいは規模の縮小や、廃止を決定したことで、同社が当初予定していた売上額が見込めなくなったことによる。
セグメント別売上高を見ると、店舗照明部門27億900万円(同17.2%減)、建築化照明部門12億3500万円(同8.6%減)、紫外線部門(UVランプ)2億5600万円(同0.4%増)、新規事業(米国向け販売)4900万円(同51.0%減)と紫外線部門(UVランプ)以外は減収となっている。
減収となった部門別の要因は、店舗照明部門では、首都圏で副都心線の開業に伴う百貨店の改装需要を見込んでいたが、各店とも規模・時期の見直しにより遅延、縮小という結果になった。また、家電量販店、スーパーブランドが出店を抑制し、設備投資が半減したのも大きな要因となっている。
建築化照明部門では、昨年の建築基準改正と景気後退の影響で、工期の延期、遅延に加え、大型物件が減少した谷間の時期であった。しかし、照明器具メーカー向けは第2四半期に入り回復基調で、前年並みを確保している。
新規事業では、サブプライムローン問題で、米国の着工件数が大幅に減少したことで、前期の半分の売上となっている。
大幅に売上が落ちたことと内部統制費用が嵩んだことで、販売管理費が増加したため、大幅な減益となった。
しかし、上期が最悪期で、下期は回復傾向にある。上期の最終月である9月の売上は、前年9月の売上高を超えている。10月も同じく超えている。11月は今のところ前期並みに推移しているそうである。また、ガラス管、インバーターの材料が高止まりしているため、12月より価格を4.5%値上げする予定。したがって、同社では下期(10月から翌年3月)の業績を売上高44億9800万円(前年同期比1.8%減)、経常利益3億3700万円(同0.1%減)、純利益1億7800万円(同3.9%減)と上期のような大幅な落ち込みは無いと見込んでいる。
セグメント別売上高は通期で、店舗照明部門53億円(同15.5%減)、建築化照明部門27億8000万円(同6.4%増)、紫外線部門(UVランプ)5億円(同3.9%増)、新規事業1億7000万円(同12.6%減)と予想している。
建築化照明は下期に大型物件である丸の内パークビル、丸井新宿本店の売上が見込めている。紫外線は上期同様に食品関連向けに順調に推移すると見ている。新規事業では米国向けの販売は上期と同様のペースと見ているが、10月、11月でドバイの世界1の超高層ビルに出店しているホテル向けに6000万円から7000万円の販売が完了している。
通期連結業績予想は、売上高87億5000万円(前期比8.5%減)、経常利益4億5000万円(同46.2%減)、純利益2億5000万円(同44.5%減)と下期は回復するものの大幅減益を見込んでいるが、配当に関しては、前期と同様の17円50銭を守る方針。
新しい動きとして、秋田のニッポ電工では、内製化を促進し、コスト削減を実施している。また、兄弟会社となったダイア蛍光と協力体制を構築し、今後、ダイア蛍光が他社より購入していた安定器などを同社が供給を行い、同社が蛍光ランプの生産を委託することになる。また、海外戦略として、安価な製品を販売するために、中国のメーカーに開発を依頼し、1月には完成品が出来る予定。長期的な計画としては、新しい光源への対応として、LED、有機ELを使った照明器具の開発、FEランプへの取組も開始している。既にLEDの照明器具は製品化し、来年1月から販売を予定している。
今上期はサブプライム問題という外部的な要因で、当初計画を大幅に下回る結果となっているが、あくまで外部要因であり、同社の経営方針による結果ではない。先述しているように、上期が最悪期であり、足元は回復に向かっている。
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