2009年12月07日
国際計測器:通期では第2四半期の赤字から脱却し、黒字転換を見込む
■9月末の受注残高は34億7000万円(3月末比4億8900万円増)と回復
バランシングマシンの国際計測器<7722>(JQ)は、12月1日に今10年3月期第2四半期決算説明会を実施した。
第2四半期連結業績は既に発表済みで、売上高26億8700万円(前年同期比39.8%減)、営業利益△1400万円(前年同期3億2700万円)、経常利益△1億3800万円(同3億8500万円)、純利益9600万円(同2億7900万円)とリーマンショックの影響を受け、受注が減少となったことに加え、納期がずれ込んだことで大幅な減収となったため、営業利益段階から赤字となった。
少しでも利益を確保するため、販管費の削減に努めた。まず、人件費6400万円、旅費交通費2700万円、運賃4600万円、その他9300万円とそれぞれ削減した。しかし、研究開発費は新製品開発のために6000万円と前年同期比で4500万円増となったが、全体の販管費は9億8900万円と1億9900万円削減した。
一方、今後の売上高に影響のある9月末の受注残高は、バランシングマシン24億1200万円(3月末比1億5700万円増)と増えている。その内訳は家電関連4100万円(同2000万円減)、自動車部品関連3億8600万円(同1億3600万円増)、タイヤ関連19億8400万円(同4000万円増)となっている。シャフト歪自動矯正機も2億3100万円(同5600万円増)、振動試験機も3億2800万円(同1400万円増)、東伸工業も3億2500万円(同1億3100万円増)となり、9月末の受注残高は34億7000万円(同4億8900万円増)と徐々に受注が回復している。
従って、今通期連結業績予想は、売上高60億円(前期比36.9%減)、営業利益5億円(同50.9%減)、経常利益3億5000万円(同68.5%減)、純利益2億円(同73.4%減)と大幅減収減益であるが、第2四半期の赤字から脱却し、黒字転換を見込む。
■これまで開発してきた電気サーボ試験機をEV・FCV車向けに展開
同社グループの主要拠点は、国際計測器、KOKUSAI INC.(米国)、KOREA KOKUSAI(韓国)、高技国際計測器上海(中国)、東伸工業の5社からなっているが、リーマンショックの影響で、同社の顧客である自動車関連、エレクトロニクス業界が設備投資を控えたことで、同社グループ全ての企業が前年同期より売上を落としている。しかし、この逆境を乗り越えるため、同社の技術力を活かし、新規参入に注力する方針。
同社が開発した電気サーボを基本テクノロジーとした画期的な新製品の投入である。まず、今後の自動車業界の動向を見据え、EV(電気自動車)・FCV(燃料電池車)車向けに完成車走行試験用フラットベルトシャーシ―ダイナモメータを、更に、EV用リチウムイオンバッテリー及びカーエレクトロニクス用品向けの振動試験装置、垂直&水平衝撃試験装置、車載型3軸同時振動試験装置(EV用3軸4ポスター)の販売に注力。
また、自動車だけでなく鉄道車両用品向け振動試験装置も手掛ける。
これまで開発してきた電気サーボ試験機をEV・FCV車向けに展開すると同時に、鉄道車両向けにも販売し、今後の売上拡大を目指す。
既に、前期より電気サーボ試験機の本格的な受注活動を進めていて、前期の受注実績は6億円があるが、3年半後の13年3月には30億円の受注を目指している。
今期は、昨年のリーマンショックの影響で同社の最大顧客である自動車、エレクトロニクス業界が生産調整をするなど、同社にとって業績悪化は避けられない1年ではあるが、電気サーボモータ式の振動試験機を開発していたことが不幸中の幸いといえる。
油圧加振機の市場は100億円といわれているが、電気サーボモータ加振機はコンパクトで、環境的にも優れていることから油圧式に取って代わる可能性が高い。