3月決算企業の「2008年3月期決算発表」は、ほぼ完了しました。東証1部ベースでは2003年3月期から経常増益に転じ、08年3月期まで6期連続の経常増益となりました。
2003年頃はバブル崩壊の暗い時期で失業率が5%を超えた時期でした。日経平均は2003年4月にザラバ安値7603円をつけ、1989年の最高値3万8915円から6分の1近くまで大きく下げました。このような状況下にありましたが、企業業績と株価の関係にスポットを当ててみると、本来、「株式には先行性があり、企業業績より早く底入れして反発するはず」のものですが、バブル崩壊のこの時期は、企業業績の底入れが日経平均より早かったのです。つまり、企業業績は2002年3月期に底入れして2003年3月期から増益となったのに対し、株式マーケットの代表的な指標である日経平均のボトムは企業業績より1年も遅れたのです。
この理由としては、@企業業績の回復を本物と捉えていなかった、Aマーケットに先行性を発揮できる力がなかった、のいずれかだったと思われます。振り返って見れば、マーケットの壊れ方があまりにもひどく、先行性を発揮できるだけの力がなかったと思われます。とくに、マーケットへの影響の大きい金融界が不振で、証券では山一證券の破綻、銀行の相次ぐ経営行き詰まりなど、「金融不況」が大きい原因だったと思います。その証拠に、日本の景気回復は2002年2月から始まっていました。余談ですが、現在のサブプライム問題によるアメリカ経済も当時の日本と似た状況です。
バブル崩壊の影響はモノ作り企業にも及んだものの、マネーを扱う金融界のような致命傷的な打撃を受けることはありませんでした。したがって、このモノ作り企業を中心に2003年3月期から企業業績は増益に向かい、今年まで6期連続の増益となりました。2008年3月期は日本経済新聞社の集計では製造業で3.9%増益、銀行25.4%減益、証券80.8%減益という状態です。金融のところはいまだにキズが完全には癒えていない状態です。
「増益維持」はキラリと光る存在
2009年3月期は、さすがのモノ作り企業も原油、鉄鉱石、非鉄金属など原材料価格の高騰の影響で減益が避けられない見通しです。全産業ベースでは5〜6%の経常減益と、7期間ぶりの減益見通しです。今回は「企業業績と株価の関係」では、日経平均が1年前に高値をつけて下落に転じていましたから、「先行性を発揮した」といえるでしょう。
全体の企業業績が減少に向かう方向となれば、その中で「増益を維持」する企業はキラリと光る存在です。さらに、「最高益を更新」ということになれば、マーケットの中で一段と存在感が高まり、注目されることは間違いありません。ここでは「最高益更新」銘柄を取り上げました。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.06 |特集