緊急景気対策と相場への効果 |
全体としての効果薄いが 「太陽電池と耐震工事」関連には注目 |
8月29日、11兆7000億円規模の経済対策が決まった。果たして効果はどうか。企業中心に、燃料及び原材料価格上昇に対する支援9兆1000億円、省エネ投資等の支援1兆9000億円、消費者への支援4000億円。
大きく分けると、@原油高・原材料高の痛みを和らげる、Aもうひとつは原油高の克服、である。
「痛みを和らげる」ことは、薬の投与に似ている。アメリカでも税金還付で一時的に消費は堅調となったが、薬のなくなった現在はまた消費は停滞している。一時的に症状を抑えるだけでは、株価下げ渋り効果はあっても、上値追いにはならない。この意味では、今度の経済対策はマーケットへの効果は期待できない。
ただ、「太陽光発電設備導入の支援」、「公立校1万棟の耐震化支援」については、関連銘柄に対し効果が見込める。とくに、太陽光発電のシャープ<6753>には見直し買いが予想される。今後、追加で集中豪雨に対する治水対策工事などを期待したい。
太陽電池関連銘柄特集
原油価格とアメリカ経済。「スタグフレーション」の行方とNY株 |
原油相場上伸、二番天井の可能性大。 金利引き上げのタイミングもはかる |
7月11日に1バレル=147ドルの高値をつけたNY原油先物相場。8月15日には111ドルまで24.5%下げた。年初の85ドル前後から急騰した割には下げが小さい。相場の世界だから、最低でも『3割高下に向かえ』(相場格言)の水準(103ドル)まで下げても不思議でない。それが、8月21日には122ドルまで戻すなど底堅い。
こうした背景には、高値時点で当局による投機規制の人為的な政策があった。この結果、純相場的にみて、過熱し燃え尽きた動きではない。不完全燃焼状態なのだ。このため、きっかけがあれば上伸の可能性を含んでいる。堅くみても二番天井の可能性がある。きっかけとなりそうな材料としては、オリンピック後の中国経済の後退が小さい、あるいは早期に回復という観測の台頭。冬場の需要期で在庫の減少、ドル安による資金の移動、国際緊張、などだろう。
あるいは、アメリカ当局も、むしろもう一度、原油価格の上昇を見込んでいる可能性もある。7月頃は景気後退とインフレのスタグフレーションにさらされていた。原油相場を冷却できたことで、ひとまずインフレの芽を摘んだ。原油相場がもう一度戻したところで金利引き上げを行えば、インフレにとどめを差すことができる。今のままでは金利引き上げが難しい。金利引き上げを行っておけば、先行き後退の予想される景気、企業業績に対応できる。
このようにみてくると原油相場が秋に二番天井をつけに行く可能性がある。資源株の戻りが予想されるが、そこは資源株の天井となる可能性がある。
『資源&商品』の右肩上がり相場は不変か!?(9/20 講演会を開催)
「新冷戦」時代を迎えた軍事緊張 |
地位低下目立つアメリカ 経済力背景にコブシ振り上げるロシア |
グルジア紛争で米ロ対決が鮮明となってきた。ロシアのメドヴェーエフ大統領は「真冷戦も辞さず」と強い姿勢。いうまでもなく、天然ガス価格の高騰で懐が豊かになったためだ。原油高騰の波紋は軍事緊張にまで発展した。
サブプライム問題で金融がガタガタになったアメリカ。ウォール街はアメリカ国旗から中東などの旗に変わるのではないかといわれるほど。経済でやられ、外交軍事でやられ、オリンピックの金メダル数でもやられた。追い討ちをかけるように北朝鮮から核廃棄の交渉も破棄に近い宣告を受けた。
アメリカ国民は恐らく屈辱のはず。11月の大統領選挙に向けて、これまで、圧倒的有利だった民主党オバマ氏が共和党マケイン氏に追い上げられている。話し合いより、強い姿勢のマケイン氏に国民感情が傾いている。
東西冷戦終結から約20年。平和の配当で新興国が豊かになった。反面、環境問題とインフレのつけが発生した。さらに、眠っていた東西対決心にまで火をつけた。北朝鮮あたりをきっかけに何かが起きる懸念はないとは言えない。防衛関連銘柄にも注目だろう。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.09 |特集