2009年04月10日
ETC車載器関連銘柄特集:これからが本番!需要急増へETC車載器関連銘柄特集:これからが本番!需要急増へ

高速道路料金の大幅割引制度が本格的にスタート

■連休を控え、ETC車載器の需要は増加

  高速道路料金の大幅割引制度が3月末、全国で本格的にスタートした。昨年10月に発表された経済対策の一つであり、地方の観光振興などによる景気刺激効果を狙ったものである。期間は11年3月末までの2年間限定で、通行料金の自動料金収受システム(ETC)車載器を搭載した車両を対象として、地方の高速道路では、土日祝日の料金が「乗用車を上限1000円」、平日が「全車種、全時間帯で3割引以上」とするなど、大幅割引となる。

  また国土交通省は、高速道路料金の大幅割引に加えて、ETC車載器の購入費用を一部助成している。ETC車載器を新規に取り付ける人に、四輪車向けは1台当たり5250円、二輪車向けは1台当たり1万5750円を補助するものだ。このETC車載器の購入費用助成制度は、3月12日にスタートし、4月1日までに82万台に達している。そして、依然として助成を求める人が多いため、助成台数の上限を当初予定の100万台から140万台に引き上げる方針を明らかにした。ゴールデンウイークを控え、ETC車載器の需要は増加するもと予想され、まだまだ引き上げの可能性も秘めている。

■これからが本番のETC関連銘柄

  ETCは、高速道路における渋滞解消を目的として、01年3月に導入された。その後、ETC利用者に対する通行料金割引制度の導入や、ETC車載器の価格低下などを背景として、高速道路を頻繁に利用する業務用車両を中心に普及が進んだ。財団法人道路システム高度化推進機構によると、09年2月末時点でETC搭載車両は約2296万台となり、高速道路を走る車両のうちETC搭載車両の割合は76・9%になった模様だ。

  自動車保有台数全体に占めるETC搭載車両の割合は、3割程度にとどまっている。業務用車両についてはほぼ普及したが、高速道路をあまり利用しない個人の一般車両については普及率が依然として低いためだ。したがって普及率上昇の余地は大きく、今回の高速道路料金の大幅割引や、購入費用の助成制度が後押しする形となり、ETC車載器の特需が発生している。電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2月のETC車載器の国内出荷台数は前年同月比42%増加した模様だ。

相次ぐ緊急増産で業績寄与銘柄が続出か!

■品切れが相次ぎ相次ぐ緊急増産

 今回のETC車載器の購入費用助成制度を受けて、ETC車載器を販売するカー用品店などには、ETC車載器の取り付けを希望する消費者が殺到し、品切れ状態となる店舗が相次いでいる模様だ。またレンタカー各社も、ETC搭載車両を増やすなどの対応を急いでいる。こうした需要拡大に対応して、ETC車載器の関連メーカーは一斉に、緊急増産に動いている模様だ。

 ETC車載器の関連メーカーとしては、四輪車用では三菱電機<6503>古野電気<6814>デンソー<6902>パナソニック<6752>三菱重工業<7011>、二輪車用では唯一のメーカーである日本無線<6751>などが注目されるだろう。

 カー用品店チェーンでは、千葉県を中心に展開するオートウェーブ<2666>、埼玉県でオートバックスをFC展開するバッファロー<3352>、兵庫県でオートバックスをFC展開するG−7ホールディングス<7508>、神奈川県を中心に展開するアイエーグループ<7509>、広島県を中心に展開するモンテカルロ<7569>、東北地方が地盤でタイヤとホイールが中心のフジ・コーポレーション<7605>、カー用品店チェーン国内最大手のオートバックスセブン<9832>、カー用品店チェーン国内2位のイエローハット<9882>などが注目されるだろう。また、ホームセンターや家電量販店の大手も、ETC車載器などカー用品の取り扱いを拡大させている。

■乗用車の交通量は観光目的で30%程度増加

 国土交通省によると、今回の高速道路料金の大幅割引で、休日の乗用車の交通量が、観光目的で30%程度増加し、全体では10%程度増加すると予測している。また平日の交通量も5%程度増加すると予測している。この結果、観光消費額は2年間で約7300億円増加し、一方では物流コストが約2000億円減少するなど、波及効果としては全体で約1兆7000億円に達すると試算している。すでに各地の高速道路では、休日の交通量の増加が確認されている。このため、地方の観光・レジャー・リゾート関連施設など、関連業界への恩恵や、景気刺激効果も注目されている。

地方活性化にも寄与、観光・レジャーに恩恵

■観光消費全体を刺激する効果に期待

 各地の高速道路の通行量が増加しているため、サービスエリアでのレストランや土産品、郊外のアウトレットモールなどの商業施設、地方のゴルフ場や温泉などの観光・レジャー・リゾート施設では、需要拡大の恩恵が期待されている。定額給付金も後押し要因となりそうだ。一方では、競合する新幹線やフェリーなどで利用客数の減少が懸念されているが、鉄道運賃や航空運賃でも大幅割引が登場しており、燃料価格下落も追い風となって、観光消費全体を刺激する効果が期待される。

 関連銘柄としてゴルフ場関連では、ゴールドマン・サックス傘下でゴルフ場を所有・運営するアコーディア・ゴルフ<2131>、米国ローン・スター・ファンド傘下でゴルフ場を所有・運営するパシフィックゴルフグループインターナショナルホールディングス(PGGIH<2466>)、ゴルフ場予約などゴルフ情報サイト運営のゴルフダイジェスト・オンライン<3319>などが注目されるだろう。

 観光・レジャー・リゾート施設関連では、リゾート施設運営大手のリゾートトラスト<4681>三井不動産<8801>傘下でゴルフ場・ホテルなどを運営するリゾートソリューション<5261>、不動産大手でリゾートも展開する東急不動産<8815>、「富士急ハイランド」を主力に富士山麓でリゾート関連を運営する富士急行<9010>、九州で遊園地・ホテル・ゴルフ場を運営するグリーンランドリゾート<9656>、福島県いわき市で大型娯楽施設「スパリゾートハワイアンズ」を運営する常磐興産<9675>、千葉・房総でホテルを運営する鴨川グランドホテル<9695>、北海道でホテルを運営するカラカミ観光<9794>などが注目されるだろう。また地方から首都圏への利用者増加も期待され、東京ディズニーリゾートを運営するテーマパーク最大手のオリエンタルランド<4661>も注目されるだろう。

 土産品や、その他の分野では、仙台名産笹かまぼこの鐘崎<2912>、チケット販売やレジャー情報誌・サイト運営のぴあ<4337>も関連銘柄と想定されるだろう。

 また日本の高速道路は、欧米に比べてインターチェンジの間隔が長いため、ETC搭載車両が増加すれば、サービスエリアやパーキングエリアを活用したETC専用のスマートインターチェンジを設置しやすくなり、高速道路の利便性が高まるという指摘もある。したがって中期的には、全国の高速道路でスマートインターチェンジ設置工事の増加も期待され、NIPPOコーポレーション<1881>日本道路<1884>など道路工事会社が恩恵を受ける可能性も考えられる。さらにETC搭載車両が増加すれば、大型の駐車場などにおいて、ETCを活用した駐車場管理システムの需要が増加する可能性も考えられる。

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