景気悪化を下支えするセクターと銘柄 |
2009年03月
政府追加景気対策:「公共事業関連」で浮上するセクターと銘柄
■景気対策で日本経済は起死回生となるか?
2008年10〜12月期のGDP(国内総生産)が、35年ぶりの大幅なマイナス成長(速報値、前期比年率でマイナス12・7%)となり、09年1〜3月期も2ケタのマイナス成長が続くと予想されている。国内の景気悪化が一段と深刻になる中で、大規模な景気対策に対する期待が高まっている。政府・与党も支持率回復に向けて、景気対策を急がなければならない。こうした状況下で再び注目されているのが公共投資関連セクター・銘柄である。 政府は、08年度第2次補正予算に盛り込んだ約5兆円の景気対策のうち、関連法案による裏付けが不要な対策を、早期に実施するよう指示を出した。ここでは、老朽化した道路の整備、公共施設の耐震化、防災対策などの公共工事が対象となる模様だ。 |
政府・与党は、09年度予算案での追加景気対策のうち、多年度にわたる公共事業計画を、09年度に前倒しで集中実施することも検討している模様だ。そして前倒し対象の項目としては、
(1)老朽化した道路、橋梁、上下水道管などの補修・更新工事
(2)学校や病院など公共施設の耐震化工事
(3)過疎地での光ファイバ網整備工事
(4)住宅や公共施設での太陽光発電導入
省エネ家電や環境対応自動車への買い替えなどの促進支援
(5)森林の間伐促進などの環境関連事業
などを想定している模様だ。
もちろん、ばらまき対策には批判が強く、課題も多い。需給ギャップの急激な拡大を勘案すれば、追加的な景気対策は数十兆円の規模が必要との見方もある。また、道路を掘り返すだけのような旧来型の公共事業ではなくて、日本版グリーン・ニューディール政策と呼べるような、環境・省エネルギー関連分野に集中投資するべきだとの指摘もある。さらに財政面では、公共事業の国と地方の負担のあり方について地方自治体から見直し論が相次ぎ、対策の実施が遅れる可能性も懸念されている。
ただし、足元の急激な景気悪化を下支えるためには、やはり迅速な対応が必要であり、基本的には、道路、橋梁、上下水道など社会インフラの補修・更新工事が先行する可能性が高い。そして関連セクターとしては、土木、道路、橋梁などの工事関連、セメント、アスファルト合材、塩ビ管、コンクリートヒューム管、鉄骨などの建設資材関連、油圧ショベル、道路機械などの建設機械関連などのセクターが注目されるだろう。ただし土木や橋梁関連では、財務面のリスクが高まっている企業もあり、注意が必要だろう。
■公共投資関連セクター関連銘柄一覧(東証1部上場銘柄を対象)
【ゼネコン】
大成建設<1801>、大林組<1802>、清水建設<1803>、鹿島<1812>、前田建設工業<1824>、奥村組<1833>、矢作建設工業<1870>。
【道路舗装・法面工事】
NIPPOコーポレーション<1881>、東亜道路工業<1882>、前田道路<1883>、日本道路<1884>、大成ロテック<1895>、大林道路<1896>、ライト工業<1926>。
【橋梁・橋梁補修】
ショーボンドホールディングス<1414>、ピーエス三菱<1871>、横河ブリッジホールディングス<5911>、日本橋梁<5912>、駒井鉄工<5915>、2月23日上場廃止で2月27日上場の川田テクノロジーズ(川田工業)<3443>。
【光ファイバ・敷設工事】
コムシスホールディングス<1721>、コミューチュア<1932>、西部電気工業<1937>、大明<1943>、協和エクシオ<1951>、東電通<1955>、古河電気工業<5801>、住友電気工業<5802>、フジクラ<5803>。
【建設資材】
トクヤマ<4043>、積水化学工業<4204>、住友大阪セメント<5232>、太平洋セメント<5233>、日本ヒューム<5262>、三菱マテリアル<5711>。
【建設機械】
コマツ<6301>、住友重機械工業<6302>、日立建機<6305>、クボタ<6326>、酒井重工業<6358>、三菱重工業<7011>。
【その他】
日本工営<1954>、三洋工業<5958>、岡部<5959>、東京製綱<5981>、小野建<7414>、建設技術研究所<9621>、カナモト<9678>、応用地質<9755>。