
また、自動車部品を手がける東証1部の企業は07年3月期から株主優待制度を導入し年2回、コシヒカリ3キロを送ることにしたら株主数が導入前に比べ5倍に急増した。あまりの反響の大きさに事務が大変となったため年2回の優待を秋の1回に変更したほどだ。
このように「株主優待」に対する個人投資家の反応は非常に高い。一般には、「株式投資をする人はお金持ち。品物をもらっても喜ばないのではないか」と思われているが、2つの例でも示されているように、お金持ちほど優待に敏感だ。もうひとつの理由もある。これも、一般的には、「配当金を出しているのだから優待品は不要」という考えだ。実は、この点については、「配当金は基本的にはお父さんのもの。優待品は娘さん、母親など家族のもの。株主を安定化させようと思えば家族を味方にしなくてはいけない」ということだ。
上場会社数はまもなく4000社になろうとしているが、このうち株主優待を実施しているのは1000社を超える。少子高齢化時代を迎え、これからの社会は人手不足だけではない。株主争奪戦の時代でもある。「将を射んとすれば馬を射よ」の諺のごとく、家族を味方にする株主優待の存在はますます重要になっている。