半導体製造の活況を背景に業績好調が続くトリケミカル研究所<4369>(大へ)は、昨年末、本社工場に近接する工場用地4000坪を取得、齋藤隆副社長をリーダーとするプロジェクトチームがスタートした。第一期・新工場の年内竣工に向け6月には着工するが、同社は自社生産体制を視野に基盤整備を加速している。竹中潤平社長に公開の経緯並びに今後の経営戦略を聞いた。

6N(シックスナイン)の高純度を実現する高度技術力を発揮、
半導体、光ファイバー用化学薬品の開発・製造・販売で世界に躍進続く!

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―会社を立ち上げられた動機は何だったでしょうか。

竹中社長 起業した昭和58年頃は、ちょうど半導体の黎明期であり、今後間違いなくこの分野は伸びると確信していたこと、その中で化学者として貢献できることがあると思い、当社を設立いたしました。

―起業から29年、成長への転換点は?また、この間のご苦労された思い出などお話ください。

トリケミカル研究所HP トリケミカル研究所HP竹中社長 半導体に着目はしたものの、当然と言えば当然ですが、半導体メーカーというのは良くも悪くも保守的で、事業の草創期は取引先一つ開拓するのにも実績がないと相手にもしてもらえず、非常に苦労いたしました。
そんな時、たまたま電電公社(現:NTT)の茨城電気通信研究所に飛び込んでいったところ、そこには電気、機械、電子、通信の専門家がおられて、新しい光ファイバーの研究を行っていましたが、原料に由来する問題に関し、化学の知識がなくて困っている状態でありました。そこで化学的なアドバイスをしたところ歓迎され、光ファイバーの原材料の取引が始まりました。
そして光ファイバーで実績を積み上げていくうちに、半導体メーカーさんからも先方のハンドリングのミス等による緊急の注文等が入ってくるようになりました。こういう注文に対しては絶対に断らずにクイックな対応で誠意ある対応を心掛けて参りました。そこで信頼関係を築いていき「今度こういうことをやるんだが、お前のところでこういうものはできるか」と開発の話が少しずつ入り、取引関係ができてきました。

―光ファイバー、半導体向けに事業展開を絞られた決定的理由は。

竹中社長 起業の動機と重複いたしますが、創業時にこれらの事業が今後有望だと考えていたこと、その中で化学の分野、特に汎用品でないファインケミカルの部分でやれることが多いと考え、注力した次第でございます。

―更なる成長を目指して今後の事業展開についてお聞かせください。

竹中社長 まず、半導体はその宿命として永続的な微細化が求められてまいりますが、その際のプロセス変更に伴って新規薬品のニーズが出て参ります。こちらに対応するためにも顧客と一緒に弛まぬ研究開発を進めていきたいと考えております。
地域戦略としては、世界の半導体製造の中心はアジア地域に移行してきていることから、台湾支店を軸として、東アジア圏の市場をさらに伸ばしていきたいと考えております。
また、超高純度化学薬品の製造ノウハウ・化学薬品のハンドリングノウハウを活かした他分野への進出、周辺技術への進出も図っていきたいと考えております。


―公開へ踏み切られた時の思いとは。また、ヘラクレス市場を選択されたのはどんな理由ですか。

竹中社長 当社は30年近く、主に半導体・光ファイバー向けの超高純度化学薬品の開発と製造を行い、業界より高い評価を得てまいりましたが、今後ともこれらの業界が必要とする製品や技術の開発を進めていかなければならないと考えております。
そのためには、社会的な信用度と知名度の向上・.優秀な人材の確保と優良な顧客の獲得・資金調達の多様化と安定化といった課題を解決していかなければなりませんが、そのためにも株式の公開が当社にとって必要であると考えた次第であります。
当社は創業以来、例えば役員の子弟を採用しない等、公私の区別を明確にすることを旨としておりましたが、今後とも社会の公器としてこの方針を推し進めるとともに、「社会から常に必要とされる企業」を目指し、長期的な発展のために企業体質を強化していかなければならないと考えております。
ヘラクレス市場を選択した理由は、高い流動性と企業の規模や特色に応じた多様な審査基準のあること、及び主幹事証券会社の推薦があったためでございます。


―公開された後、社内外で変化したことなどあれば教えてください。今後市場への期待については如何ですか。

竹中社長 まだ一度も決算をまたいでおりませんし、公開後云々というよりも公開準備の中で社内体制の整備が目に見えて進んだこと、また公開という目的に向けて社員のベクトルが一つになっただけでも効果は大きかったと感じております。
株式市場に関しましては、現状必ずしも活況にあるとは言えませんが、そのような中でも当社から積極的に情報の開示をはかり、適正な評価を戴けるよう努力してまいる所存です。

 ―お忙しいところ有難うございました。

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