イワキ Media-IRフェア(日本インタビュ新聞社)

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イワキ<8095>(東1)

 医薬品・医薬品原料商社のイワキ<8095>(東1)は、ジェネリック市場の拡大も追い風として中期的に収益拡大が期待される。

■ 沿革と事業内容

まもなく創業100周年、今年上場50周年

 1914年創業(薬種問屋岩城市太郎商店)で、1941年設立(株式会社岩城商店)という歴史を持ち、医薬品や医薬品原料を主力とする商社である。1963年に現社名に変更して東証2部市場に新規上場し、2005年には東証1部市場に上場(指定替え)した。

 創業時の事業ドメイン「医薬品」を基礎として、関連分野に事業領域を広げてきた。現在は、医薬品事業(医療用・一般用・動物用医薬品の製造・販売、調剤薬局の経営など)、医薬品原料・香粧品原料事業(医薬品・香粧品原料の製造・販売、化粧品のOEM製造受託など)、化成品事業(電子工業用薬品、表面処理用薬品、化成品などの製造・販売)、食品原料・機能性食品事業(食品原料の製造・販売、サプリメントのOEM製造受託など)、その他事業(医療機器の販売、化粧品の製造・販売など)を展開している。

子会社15社、関連会社1社、岩城製薬が医薬品、化成品の有力企業

 企業集団(12年11月期末現在)は当社、子会社15社、関連会社1社で構成され、連結子会社は、岩城製薬(医療用・一般用・動物用医薬品や化成品などの製造・販売)、ホクヤク(動物用医薬品などの販売)、エイ・エム・アイ(動物用医薬品などの販売)、パートナー・メディカル・システムズ(関東地区における調剤薬局経営)、アプロス(化粧品・健康食品の通信販売)、メルテックス(表面処理用薬品などの製造・販売)、東海メルテックス(表面処理薬品の製造)、メルテックス香港社(香港および中国での表面処理薬品の販売)、東京化工機(プリント基板製造用プラントなどの製造・販売)である。


商社機能とメーカー機能合わせ持つ強さ、自社企画商品の開発強化

 全国の医薬品卸・医療機関・動物病院・ドラッグストアなどに医薬品や健康食品などを供給する卸売機能、国内外のメーカー・業者などを開拓して輸出入する商社機能に加えて、グループ内に医薬品・化成品・健康食品・化粧品などのメーカー機能を併せ持つことが特徴で、3つの機能を連携できることが強みである。

 基本戦略としては、事業基盤の強化、事業規模の拡大、収益構造の改善を掲げ、海外サプライヤーとの連携強化、自社企画商品の開発強化などに取り組んでいる。また今後の課題として、グループの経営資源の効率的な配分に向けた事業ポートフォリオの再構築、グループ製造部門における製品開発推進や製造コスト低減にも取り組む方針だ。

 子会社の岩城製薬はジェネリック医薬品をコア事業として、積極的な設備投資による増産体制の確立、受託生産の強化、周辺領域である化粧品関連の強化などに取り組んでいる。またメルテックスは中国、香港、台湾、タイ、マレーシアなどに海外展開を積極化しており、13年9月にはタイの製造拠点が稼働予定である。海外販売比率の高い製品から生産を移管し、原材料の現地調達も進める方針だ。

今期はコスト低減効果などで営業利益20.1%増益

 7月10日に発表した今期(13年11月期)第2四半期累計(12年12月〜13年5月)連結業績は、売上高が前年同期比0.3%減の256億73百万円、営業利益が同24.1%減の4億79百万円、経常利益が同18.6%減の5億58百万円、純利益が同0.8%減の3億43百万円だった。全体として景気低迷の影響を受けて減収減益だが、7月5日に売上高の減額修正と利益の増額修正を発表しており、コスト低減効果などで減益幅は期初計画に比べて縮小した。

 セグメント別に見ると、医薬品事業はジェネリック医薬品やドラッグストア向けPB商品の好調などで収益性も改善して同1.7%増収、同2.1倍営業増益(全社費用調整前)だった。医薬品原料・香粧品原料事業はジェネリック医薬品の需要拡大で同7.9%増収だったが、円安に伴う輸入原料価格上昇で同4.3%営業減益だった。

 化成品事業は国内外でプリント配線板・電子部品関連の表面処理薬品の需要が低迷して同13.5%減収となり、営業利益は26百万円の赤字(前年同期は1億04百万円の利益)だった。食品原料・機能性食品事業はマーケットの低価格志向などが影響して同3.0%減収、同13.2%営業減益、その他事業は同3.4%減収、同12.3%営業減益だった。

 通期の見通しについては前回予想(1月11日公表)を据え置いて、売上高が前期比2.4%増の532億円、営業利益が同20.1%減の9億円、経常利益が同24.8%減の9億80百万円、純利益が同18.9%減の6億円としている。第2四半期累計の利益は期初計画を上回ったが、円安に伴う輸入原料価格上昇など不透明要素も多いため、保守的な予想だとしている。

 通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.3%、営業利益が53.3%、経常利益が57.0%、純利益が57.2%と概ね順調な水準である。ジェネリック医薬品やジェネリック医薬品原料が好調であり、化成品事業も期後半の景気回復メリットが期待される。通期の利益は上振れの可能性があるだろう。



イワキ<8095>(東1)

株価動向

PER10〜11倍、配当利回り3.2%近辺、PBR0.4倍と指標割安

 株価の動きを見ると、4月26日の年初来高値241円から反落して、6月14日の安値178円まで調整した。その後は第2四半期累計の利益増額修正も好感して7月8日に210円まで急伸するなど、200円台を回復する場面があったが、7月下旬以降は概ね190円近辺で推移して調整局面のようだ。ただし6月安値水準まで下押す動きは見られない。下値固めは完了しているようだ。

 8月14日の終値191円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS17円76銭で算出)は10〜11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は3.2%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS469円76銭で算出)は0.4倍近辺である。

 週足チャートで見ると、一旦は回復した26週移動平均線を再び割り込んで調整局面のようだ。全般地合い悪化も影響しているだろう。ただし52週移動平均線近辺では下げ渋り感を強めている。指標面の割安感が強いだけに、きっかけ次第で出直り展開が期待される。

大正3年7月(1914)
薬種問屋岩城市太郎商店創業
昭和12年(1937)
大阪出張所開設(東区豊後町)
昭和14年(1939)
大阪出張所が独立採算制の岩城薬品として発足
昭和16年(1941)
株式会社岩城商店に改称(資本金19万5千円)
昭和25年(1950)
輸入原料の販売(輸入先ヨーロッパ、東南アジア)
昭和28年(1953)
福岡主張所開設
昭和29年(1954)
名古屋出張所開設
昭和30年(1955)
富山出張所開設
昭和33年(1958)
札幌出張所開設
昭和36年(1961)
仙台出張所開設
昭和37年(1962)
創業者岩城市太郎氏逝去、新社長岩城謙太郎氏就任
昭和38年(1963)
イワキ株式会社に改称、東証2部に上場
昭和43年(1968)
貿易部発足
昭和50年(1975)
原料薬品部、化成品部、食品部が発足
昭和61年(1986)
岩城薬品を合併、大阪支社誕生
平成元年(1989)
本社ビル竣工(日本橋本町8階建)
平成3年(1991)
資本金25億7千2百万円
平成6年(1994)
会長に岩城謙太郎氏、社長に岩城修氏就任
平成12年(2000)
岩城社長 東京薬事協会会長に就任
平成13年(2001)
一般用医薬品卸売部門を分社化「イワキファルマネット梶vを新設
平成14年(2002)
メトラン社製人工呼吸器の国内総販売元となる
平成16年(2004)
創業90周年を迎える
平成17年(2005)
東京証券取引所第一部上場
平成20年(2008)
イワキファルマネット鰍吸収合併

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アジア地区への進出に注力

代表取締役社長 岩城 修代表取締役社長 岩城 修

 「医薬品事業、医薬品原料事業に係るジェネリック医薬品は後発医薬品の使用促進策もあり、生産額は着実に増加しています。この4年で生産額は約1.5倍になり、当社推定で2011年には6000億円になっています。厚生労働省ではジェネリック医薬品の使用数量目標を2012年度に30%以上としていますが、日本ジェネリック製薬協会の調査では、2011年度は23.3%でありました。目標達成はまだ不透明でありますが、2012年4月の診療報酬の改定により、一般名処方への調剤点数加算、後発品の調剤体制加算の要件強化が行われ、これらもジェネリック医薬品市場の追い風になるものと思っています。これらを背景として、当社では、製剤、原料の両分野に経営資源の投入を行ってまいります。化成品事業に係る電子部品については、スマートフォンやエコカーに使われる電子部品であるコンデンサーやコネクター、更に電子回路基板等に子会社のメルテックス株式会社が製造する表面処理薬品が使われています。電子部品と電子回路基板を合わせた日系企業の生産額はおよそ8兆4000億円と見込まれています。これらの市場では日系企業の生産額のうち、約60%は海外で生産されています。生産拠点は今後も更なる海外移転が予想され、海外生産比率は更に高まるものと予想されます。これらの市場環境に対応するために、アジア地区への進出に注力してまいります。昨年のタイの販売会社設立に続き、直近においても中国での販売会社の設立を行います。更に、タイにおいて製造拠点の準備を開始する等、体制の強化を目指しています。ご説明いたしました二つの事業領域において、経営資源の適正配分を行うと共に、積極的な営業活動を行い、中期経営計画の達成を目指してまいります」。

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