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ASIAN STARは急伸、22年12月期営業黒字転換、23年12月期営業利益横ばい予想
- 2023/2/27 09:08
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ASIAN STAR(エイシアンスター)<8946>(東証スタンダード)は国内と中国で不動産関連事業を展開し、成長戦略として不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。22年12月期は前期1棟収益マンション販売反動や、中国・上海ロックダウン影響があったが、コスト削減効果も寄与して営業黒字転換した。23年12月期は営業利益横ばい予想としている。重点戦略として横浜エリアを中心とした不動産管理・販売、タワーマンション等の大型物件の斡旋、中国における仲介件数・管理受託件数の増加などを推進するとしている。収益改善基調を期待したい。株価は安値圏でのモミ合いから上放れの形となり、さらに急伸して昨年来高値を更新している。目先的には乱高下の可能性もあるが、基調転換して上値を試す展開を期待したい。
■国内と中国で不動産事業を展開
国内と中国で不動産関連事業を展開し、中国の上海徳威企業および徳威国際(上海徳威企業の100%子会社)の2社と資本提携している。
22年12月期のセグメント別売上高構成比は、不動産販売事業が45%、不動産管理事業が23%、不動産賃貸事業が16%、不動産仲介事業が16%、投資事業が0%だった。セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は、不動産販売事業が18%、不動産管理事業が37%、不動産賃貸事業が22%、不動産仲介事業が22%、投資事業が1%だった。
国内では従来の主力だった投資用マンション開発・販売を縮小し、過去に販売した投資用マンション「グリフィンシリーズ」を中心とする安定収益源の管理・賃貸・仲介、および横浜エリアでの戸建住宅販売にシフトしている。投資事業を行う子会社のASIAN STAR INVESTMENTSは、民泊施設運営代行のオールステイへの投資を実行している。
中国ではベルグラビアグループを買収して、サービスアパート運営管理事業、およびワンルームマンション賃貸事業を展開している。
20年12月には子会社の柏雅香港が、資本提携先の中国・徳威企業の子会社である徳威不動産グループ3社(徳威不動産、U-HOME、特庫伊投資)を子会社化した。中国事業全般の事業管理および資金管理を柏雅香港に集約して中国事業の事業規模拡大を推進する。
21年12月には、連結子会社(孫会社)で中国においてワンルームマンション賃貸を行っている陽光智寓(香港)の全株式、および上海陽光智寓の全持分を譲渡し、連結から除外した。今後の中国における賃貸管理事業については、引き続き子会社の柏雅酒店管理(上海)有限公司、上海優宏資産管理有限公司、上海特庫伊投資管理有限公司が行う。
■付加価値創造事業分野のアジア展開も推進
中期成長戦略として、事業戦略では不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、投資戦略では企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。
付加価値創造事業分野のアジア展開では、新たな事業ドメインとして医療・健康など「日本において高い付加価値を誇る事業分野のアジア展開のサポート」を推進する方針だ。
20年12月には中国・海南太禾控股集団と戦略提携した。海南省・紅旗国際健康産業タウンプロジェクトを推進する。そして21年2月には、中国・海南太禾控股集団の子会社である中国・海南太禾健康産業と合弁会社設立に向けた契約を締結した。中国・海南太禾控股集団との戦略提携の一環として、紅旗国際健康産業タウンへの日本企業の誘致、日本製先端医療機器・医薬品・サプリメントなどの中国への導入・販売支援等を事業目的とする。
21年9月には、健康コンサルティング会社の中国・広東泛華藍十字健康管理公司と、医療健康サービス分野における戦略提携で覚書を締結した。広東泛華藍十字健康管理公司の親会社である中国・泛華金融ホールディングスグループの顧客に対して、訪日健康診断・先進医療治療・医療ツーリズム等のコーディネートサービスを計画している。日本の高水準の医療健康サービスを提供する。
財務戦略では、資本市場を活用した資金調達の検討、財務レバレッジを利用した不動産投資の実施、配当戦略では利益水準に応じた安定的配当の実施、トータル・シェアホルダー・リターン(TSR)等の指標の検討を実施する。なお21年1月には指名・報酬委員会の設置を発表した。コーポレートガバナンスの一層の充実を図る。
■22年12月期営業黒字転換、23年12月期は営業利益横ばい予想
22年12月期の連結業績(2月6日付で下方修正)は、売上高が21年12月期比2.1%減の24億90百万円、営業利益が48百万円の黒字(21年12月期は3百万円の赤字)、経常利益が42百万円の黒字(同4百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が55百万円の黒字(同21百万円の赤字)だった。
前期の1棟収益マンション販売の反動や、中国・上海のロックダウン影響があったが、コスト削減効果も寄与して営業黒字転換して着地した。なお特別利益に違約金収入(埼玉県三郷市の物流事業用地販売に係る賠償金)34百万円を計上した。
不動産販売事業は埼玉県三郷市の物流事業用地の引き渡し完了などにより売上高が7.5%増の11億26百万円でセグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)が12.5%増の72百万円、不動産管理事業は売上高が2.8%増の5億79百万円で利益が31.2%増の1億45百万円、不動産賃貸事業は売上高が中国・上海ロックダウンに伴う稼働停止などにより4.8%減の3億91百万円だが利益が経費削減などにより4.7%増の87百万円、不動産仲介事業は売上高が中国・上海ロックダウンに伴う稼働停止などにより24.3%減の3億91百万円で利益が10.8%減の88百万円だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が4億03百万円で営業利益が34百万円の赤字、第2四半期は売上高が6億21百万円で営業利益が6百万円の赤字、第3四半期は売上高が8億43百万円で営業利益が38百万円の黒字、第4四半期は売上高が6億23百万円で営業利益が50百万円の黒字だった。第3四半期、第4四半期は営業黒字が定着した。
23年12月期の連結業績予想は、売上高が22年12月期比27.6%増の31億77百万円、営業利益が0.3%増の48百万円、経常利益が4.5%増の44百万円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%減の32百万円としている。
セグメント別売上高計画は、不動産販売事業が45.5%増の16億38百万円、不動産管理事業が7.6%減の5億35百万円、不動産賃貸事業が13.3%増の4億43百万円、不動産仲介事業が34.3%増の5億25百万円、投資事業が35百万円としている。
中国・上海ロックダウンの影響が和らぐことも寄与して大幅増収・営業利益横ばい予想としている。重点戦略として横浜エリアを中心とした不動産管理・販売、タワーマンション等の大型物件の斡旋、中国における仲介件数・管理受託件数の増加などを推進するとしている。コスト面では本社オフィス縮小に伴う賃借料削減も寄与する見込みだ。収益改善基調を期待したい。
■株主優待制度は毎年6月末・12月末の株主対象
22年1月に株主優待制度「ASIAN STARプレミアム優待倶楽部」の新設を発表した。毎年6月末および12月末の50単元(5000株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じた優待ポイントで食品や電化製品などの商品に交換できる。22年6月末対象から実施(詳細は会社HP参照)した。
■株価は急伸
株価は安値圏でのモミ合いから上放れの形となり、さらに急伸して昨年来高値を更新している。目先的には乱高下の可能性もあるが、基調転換して上値を試す展開を期待したい。2月24日の終値は139円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1円69銭で算出)は約82倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS88円49銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約27億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)