カナモトは23年10月期第1四半期減益だが通期増益予想据え置き

(決算速報)
 カナモト<9678>(東証プライム)は3月3日の取引時間終了後に23年10月期第1四半期連結業績を発表した。公共投資を中心に需要が堅調に推移して増収だが、将来を見据えた人財投資による販管費の増加などで減益だった。ただし通期の増収増益予想を据え置いた。災害復旧・防減災・老朽化インフラ更新など国土強靭化関連工事で需要が堅調であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお従業員の健康確保やワークライフバランスの改善を図り、より働きやすい職場環境を目指すため、3月21日により人事制度を改定して4週8休へ移行すると発表している。株価は2月の直近安値圏から切り返して戻り歩調だ。目先的には第1四半期の減益を嫌気する可能性もあるが下値限定的だろう。

■23年10月期第1四半期減益だが通期増益予想据え置き

 23年10月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比5.9%増の495億08百万円、営業利益が6.5%減の30億96百万円、経常利益が6.9%減の32億67百万円、親会社株主帰属四半期純利益が16.1%減の17億38百万円だった。

 売上面は公共投資を中心に需要が堅調に推移して増収だが、減価償却費の負担増加や将来を見据えた人財投資による販管費の増加などで減益だった。

 建設関連事業は売上高が5.8%増の451億10百万円、営業利益(調整前)が8.3%減の26億61百万円だった。需要面では公共投資が底堅く推移し、民間設備投資も回復の動きが見られ、建機レンタル需要は全体として堅調さを取り戻した。中古建機販売についてはレンタル用資産の運用期間延長を図りつつ、適正な資産構成の維持に向けた売却を進めて53.5%増収だった。その他事業は売上高が7.4%増の43億百万円、営業利益が5.8%増の3億04百万円だった。鉄鋼関連、情報関連、福祉関連とも堅調に推移した。

 なお季節要因として、売上高は第4四半期(8~10月)から第1四半期(11月~1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2~4月)および第3四半期(5~7月)は減少する傾向がある。

 通期連結業績予想は据え置いて、売上高が22年10月期比5.3%増の1980億円、営業利益が5.8%増の140億円、経常利益が2.3%増の141億円、親会社株主帰属当期純利益が0.7%増の84億円としている。配当予想は22年10月期と同額の75円(第2四半期末35円、期末40円)としている。

 不透明な状況が続くが、全体として建設機械レンタル需要が緩やかに回復することを見込み、先行投資による費用増を吸収して増収増益予想としている。災害復旧・防減災・老朽化インフラ更新など国土強靭化関連工事で需要が堅調であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は下値限定的

 22年12月9日発表の自己株式取得(上限110万株・20億円、取得期間22年12月12日~23年4月21日)については、23年2月28日時点で累計取得株式総数が65万5900株となっている。

 株価は2月の直近安値圏から切り返している。週足チャートで見ると、26週移動平均線がサポートラインの形となって戻り歩調だ。目先的には第1四半期の減益を嫌気する可能性もあるが下値限定的だろう。3月3日の終値は2300円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS228円57銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3571円98銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約891億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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