三菱電機はSiCパワー半導体の生産体制強化に向け新工場棟を建設

■従来計画から倍増し2021年度から2025年度でパワーデバイス事業へ2600億円を投資

 三菱電機<6503>(東証プライム)は3月14日、SiC(※1)パワー半導体の生産体制強化に向けた新工場棟の建設をはじめ、パワーデバイス事業において2021年度から2025年度までの累計設備投資を従来計画(※2)から倍増させ、約2600億円を投資すると発表。

 同社は、世界初(※3)となるSiCパワーモジュールのエアコンや高速鉄道車両への提供など、家電、産業機器、鉄道車両分野でSiCパワーモジュールの市場をリードしている。また、長年に亘ってスクリーニング技術などの高性能・高信頼性の作り込み技術を蓄積してきた。

 近年、脱炭素社会の実現に向けた世界的な省エネ志向が高まっており、特にSiCパワー半導体は、電気自動車向け需要の拡大に伴い急速な市場拡大が見込まれるとともに、低損失・高温度動作・高速スイッチング動作等が求められる様々な応用分野において更なる市場の広がりが見込まれている。これらはGX(Green Transformation)実現への貢献が期待されている。

 同社は今回、この市場拡大に対応するため、SiCウエハについて約1000億円を投資して新工場棟の建設と設備増強を実施する。この新工場棟は、熊本県泗水地区に有する拠点を活用し、大口径化(8インチ)に対応するとともに、最先端の省エネ性能を有するクリーンルームを導入し、徹底した自動化によって高い生産効率を実現する。また、市場の旺盛な需要に対応するため6インチウエハ製品の生産設備も増強し、さらなる事業拡大を目指す。

 この他、約100億円を投資してパワー半導体の後工程の新工場棟を福岡地区に建設する。同地区内に点在する組み立て・検査工程を集約する。設計・開発から生産技術検証までを一貫して行う体制を構築し、製品開発力を向上させる。市場ニーズに合わせた製品のタイムリーな量産化を実現する。

■SiC 8 インチウエハ新工場棟の概要

●所在地:熊本県菊池市泗水町住吉1576-1
●生産品目:SiCパワー半導体製品
●担当する生産工程:ウエハプロセス工程(前工程)
●稼働開始:2026年4月予定
●環境・省エネ対策等:
・省エネ性が高い製造装置や超高効率空調システム、徹底した排熱利用など最先端の省エネ性能を有するクリーンルーム
・全フロアに免震構造を採用して事業継続性を向上

※1 SiC:Silicon Carbide(炭化ケイ素)
※2 従来計画は約1,300億円。
※3 エアコン:2010年8月24日広報発表時点において。同社調べ
 高速鉄道車両:2013年3月26日広報発表時点において。同社調べ

■三菱電機のパワー半導体事業について

 同社は、カーボンニュートラルなどの社会課題解決による持続可能な社会の実現に向け、パワーデバイス事業を重点成長事業の一つと位置付けて、自動車、家電、産業機器、鉄道車両向けなど幅広い応用分野で大幅な省エネ化を実現するパワー半導体製品を提供している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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