巴工業は23年10月期1Q増収・営業増益、通期2桁減益予想だが上振れ余地

(決算速報)
巴工業<6309>(東証プライム)は3月14日の取引時間終了後に23年10月期第1四半期連結業績を発表した。全体として増収・営業増益だった。機械製造販売事業は国内官需が低調で減収減益だったが、化学工業製品販売事業の好調が牽引した。なお経常利益は営業外の為替差損益悪化で減益、四半期純利益は前期計上の固定資産売却益の剥落も影響して減益だった。通期予想は据え置いた。海外事業の拡大などで増収を見込むが、先行投資に伴う販管費の増加などを考慮して2桁減益予想としている。ただし第1四半期の営業利益が順調だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏だ。地合い悪化の影響で上げ一服の形となったが、第1四半期増収・営業増益や低PBRを評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年10月期1Q増収・営業増益、通期2桁減益予想だが上振れ余地

23年10月期第1四半期連結業績は売上高が前年同期比11.7%増の111億28百万円、営業利益が5.7%増の5億58百万円、経常利益が1.6%減の5億55百万円、親会社株主帰属四半期純利益が43.4%減の3億90百万円だった。

全体として増収・営業増益で着地した。機械製造販売事業は国内官需が低調で減収減益だったが、化学工業製品販売事業の好調が牽引した。なお経常利益は営業外の為替差損益の悪化(前期は為替差益2百万円、今期は為替差損36百万円)で減益、親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の固定資産売却益4億56百万円の剥落も影響して減益だった。

機械製造販売事業は売上高が5.6%減の18億15百万円、営業利益が3億01百万円の赤字(前年同期は36百万円の赤字)だった。国内民需および海外向け機械が伸長したが、国内官需向け機械や装置・工事、さらに部品・修理が全般的に伸び悩んだ。なお売上高の内訳は、需要先別には官需合計が32%減の5億88百万円、民需合計が8%増の4億94百万円、海外合計が21%増の7億32百万円、製品別には機械合計が28%増の4億36百万円、装置・工事合計が36%減の1億50百万円、部品・修理が9%減の12億27百万円だった。

化学工業製品販売事業は、売上高が15.9%増の93億12百万円、営業利益が52.1%増の8億60百万円だった。大幅増収効果で大幅増益だった。なお製品別売上高は、合成樹脂関連が樹脂および製品の好調で18%増の13億73百万円、工業材料関連が4%減の14億37百万円、鉱産関連が建材・自動車用途向けの好調で23%増の14億62百万円、化成品関連が塗料・インキ用途向けの好調で10%増の21億23百万円、機能材料関連が半導体用途向けの好調で53%増の14億07百万円、電子材料関連が半導体用途向けの好調で14%増の14億15百万円、その他が9%増の93百万円だった。

通期連結業績予想は据え置いて、売上高が22年10月期比3.9%増の473億80百万円、営業利益が10.9%減の29億49百万円、経常利益が13.2%減の29億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が前期計上の特別利益の剥落も影響して23.3%減の20億40百万円としている。配当予想は22年10月期比3円増配の56円(第2四半期末28円、期末28円)としている。連続増配予想で、予想配当性向は27.4%となる。

機械製造販売事業は、海外事業の拡大などで売上高が19.8%増の136億10百万円だが、先行投資に伴う販管費の増加などで営業利益が2.6%減の8億80百万円の計画としている。化学工業製品販売事業は、売上高が好調だった前期の反動などで1.4%減の337億70百万円を見込み、前期抑制した将来の成長に資する営業開発関係の販管費増加も影響して営業利益が14.1%減の20億60百万円の計画としている。

23年10月期は、全体として海外事業の拡大などで増収を見込むが、先行投資に伴う販管費の増加などを考慮して2桁減益予想としている。ただし第1四半期の営業利益が順調だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は上値試す

株価は戻り高値圏だ。地合い悪化の影響で上げ一服の形となったが、第1四半期増収・営業増益や低PBRを評価して上値を試す展開を期待したい。3月14日の終値は2400円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS204円44銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の56円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3446円27銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約253億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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