フェローテックマテリアルテクノロジーズと朝日ラバー、相互製品の販売特約店契約を締結

■やわらかいサーモモジュール『F-TEM』を共同開発した両社で、多様な分野の製品開発において新たな可能性を提案

 フェローテックホールディングス<6890>(東証スタンダード)グループの国内事業会社である、フェローテックマテリアルテクノロジーズ(FTMT)は3月16日、朝日ラバー<5162>(東証スタンダード)が製造・販売するやわらかいサーモモジュール『F-TEM(エフテム)』、朝日ラバーはFTMTが製造・販売するサーモモジュール(ペルチェ/ゼーベック素子)について、2023年2月に相互に販売特約店契約を締結したと発表。

 FTMTのサーモモジュールと朝日ラバーのゴムの知見を活かし実現した、やわらかいサーモモジュール『FTEM(エフテム)』に加え、FTMTの豊富なサーモモジュールのラインナップを両社が共に販売することで、半導体・バイオ・医療・光通信・光学・自動車・民生と多岐にわたる分野において、顧客の製品開発における新たな可能性を提案し、2027年には10億ドルに達するとされる(出典:Research and Markets)世界のサーモモジュール市場の更なる拡大を図っていく。

■背景と目的

 1980年代より、サーモモジュールとそのアセンブリの開発・製造・販売に取り組み、世界トップシェアを誇るフェローテックと、1970年の創業以来ゴムの無限の可能性を追求し続けている朝日ラバーとが、双方の強みを活かして開発に取り組んできた、やわらかいサーモモジュール『F-TEM』。その『F-TEM』の量産の目途がついたことを機に、両社の培ってきたネットワークを活用し、多岐にわたる分野においてお客さまの製品開発における新たな可能性を、『F-TEM』や各種サーモモジュール製品を起点にご提案していくこととなった。

■契約概要

・海外のグループ会社を含むFTMTが朝日ラバー製F-TEMを、朝日ラバーがFTMT製サーモモジュールを、双方の販売網を駆使して新規顧客開拓と製品の販売、アフターフォローを行う。
・相互に両社の商標の使用を許諾することで、製品の信頼性を確保します。

■直流電流を流すことで温度差が生じるサーモモジュール(ペルチェ/ゼーベック素子)

 サーモモジュールは、ペルチェ素子、または熱電素子とも呼ばれる半導体の電子部品で、コンパクトなヒートポンプ部品として機能する。

 直流電流を流すと、表面から裏面へと熱が移動することをペルチェ効果という。熱の移動により、サーモモジュールの片方の面が冷却されると同時に、反対の面は加熱される。そして直流電源の極性を入れ替えると、この現象が逆転し、逆方向に熱の移動が行われるため、同じ面で冷却/加熱のいずれの目的にも使用できる。その機能によりセンサー・制御器と合わせて使用する事で精密な温度調節も可能となる。

 また、サーモモジュールの表裏面に温度差をつけ、電気の取り出しを可能とすることをゼーベック効果と言う。温度差が大きければ大きい程、取り出す電気も大きなものとなる。

 サーモモジュールは、近年注目されている、環境発電である熱電発電モジュール(ゼーベック素子)として機能する。これは、火力発電や原子力発電のように、水蒸気によりタービンを回す方式ではなく、発電モジュールの表裏面の温度差により直接発電されるため、環境負荷が小さく、熱源を燃焼させる必要もないことから、CO2削減の一環として今後大きな可能性がある。

 サーモモジュールは幅広い業界で使用されており、使用用途も多岐にわたる。半導体分野ではデバイス製造に欠かせない精密温調、バイオ分野ではPCRや成分分析、自動車分野では温調シートの他、Lidar(レーザー光により対象物までの距離の計測や対象物の性質を特定するシステム)やADAS(先進運転支援システム)、光学分野ではレーザーダイオードや高感度CCD(デジタルカメラや光検出器などで使用される半導体素子)の温度制御、民生分野では小型冷蔵庫やイオン発生器、これ以外にもウェアラブル・計測・医療・分析などの分野にも使用されている。

■『F-TEM(Flexible Thermoelectric Modules)』の特長

 FTMTのサーモモジュールを構成する熱電素子を利用し、朝日ラバーが素子配置を工夫してゴムで覆うことで、やわらかいサーモモジュールを実現した。独自の分子接着・接合技術により、曲げた状態でも安定した効果を発揮することができる。曲面に取り付けることができるため、取り付け先の形状に対応することができる。

 また、衝撃や振動に強く、従来のサーモモジュールでは取り付けられなかった使用環境に適合可能。例えば自動車分野では、ドアアームレスト、センターコンソール、座席シート、ヘッドレスト、カップホルダーなどに使用し、快適性と消費エネルギーの効率化を両立させることも可能にする。同様に電動車いすの背もたれ、ひじ掛け、座面やウェアラブルデバイスなどにも、柔軟かつ衝撃や振動に強い特性を活かすことが可能。

 また、熱電発電モジュールとしては曲面に取付け可能なため、配管などの廃熱で発電し、各所で使用されるIoTデバイス用の電源として用いることなども可能。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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