【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トーソーは第1四半期赤字を嫌気した売り一巡、0.5倍近辺の低PBRに見直し余地

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トーソー<5956>(東2)はカーテンレール・ブラインド類の大手である。株価は第1四半期(4月~6月)が赤字となったことで、戻り高値535円から505円まで急落したが、その後は切り返しの動きを強めている。500円近辺が下値支持線の形だ。0.5倍近辺の低PBRに見直し余地があり、第1四半期の赤字を嫌気した売りが一巡して下値支持線から切り返し展開だろう。

■カーテンレール・ブラインド類の大手

 カーテンレールやブラインド類の大手で、室内装飾関連事業を主力として、ステッキなど介護用品事業も展開している。

 中期戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、高付加価値商品の拡販、新商品開発のスピードアップ、ホテル・商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、海外売上高の拡大、原価低減や総費用低減、新規領域としての介護用品事業の拡大などを掲げている。

 なお円安に伴う原材料価格上昇に対応して、15年7月6日受注分からカーテンレールおよび関連部品の価格改定を実施した。

■第1四半期は赤字だが、16年3月期通期は増収増益予想

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)53億10百万円、第2四半期(7月~9月)55億38百万円、第3四半期(10月~12月)53億38百万円、第4四半期(1月~3月)62億81百万円、営業利益は第1四半期9百万円、第2四半期2億25百万円、第3四半期1億04百万円、第4四半期4億67百万円だった。

 また15年3月期の配当性向は30.4%だった。ROEは14年3月期比1.2ポイント上昇して3.2%、自己資本比率は同3.0ポイント上昇して52.7%となった。

 7月31日に発表した今期(16年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.9%増の48億93百万円で、営業利益が1億69百万円の赤字(前年同期は0百万円)、経常利益が1億65百万円の赤字(同6百万円の赤字)、純利益が1億05百万円の赤字(同3百万円の赤字)だった。

 セグメント別の売上動向を見ると、室内装飾関連事業は消費増税後の落ち込みからの回復が遅れて同8.2%減の48億03百万円、その他事業はステッキを中心とした介護関連用品の販売活動強化で同13.4%増の89百万円だった。

 通期の連結業績予想は前回予想(5月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比4.6%増の235億円、営業利益が同11.8%増の9億円、経常利益が同12.2%増の8億80百万円、純利益が同44.9%増の5億円としている。純利益は前期計上した厚生年金基金解散損失引当金繰入額の一巡も寄与する。配当予想は前期と同額の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)で予想配当性向は21.0%となる。

 15年3月期は住宅関連市場における消費増税の反動影響が長期化して減収営業減益だったが、16年3月期は消費増税の影響一巡、営業強化、高付加価値製品の拡販、製品価格改定などの効果で増収営業増益予想だ。継続的なコスト削減や生産性向上策も寄与する。収益は改善基調だろう。

■株価は調整一巡してモミ合い上放れの動き

 株主優待は毎年3月31日現在の株主に対して実施し、1単元(100株)以上所有株主に対して1000円相当の優待品、10単元(1000株)以上所有株主に対して3000円相当の優待品を贈呈する。また環境保全活動の一環としてインドネシア共和国における「植林活動への寄付」も設けている。

 株価の動きを見ると、7月31日の取引時間中に発表した第1四半期の赤字で戻り高値535円から505円まで急落した。ただしその後は切り返しの動きを強めている。売りが一巡したようだ。

 8月13日の終値512円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円59銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1091円41銭で算出)は0.5倍近辺である。

 週足チャートで見ると500円~530円近辺でボックス展開のようだ。上値は重いが下値も500円近辺が支持線の形だ。0.5倍近辺の低PBRに見直し余地があり、第1四半期の赤字による売りが一巡して下値支持線から切り返し展開だろう。

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