フジクラは製造装置の制御に深層強化学習の実装を検証し有効性確認、人工知能の活用による製造工程の効率化に期待

■熟練技術者の減少と技術の空洞化を補うと期待される技術

 フジクラ<5803>(東証プライム)は3月20日、実際の製造装置の一部の制御に、人工知能(AI)の一種である深層強化学習を実装する概念検証(※1)を行い、その有効性を確認したと発表。この成果を3月22日の「NVIDIA GTC 2023」(※2)で発表する。

■AIの技術やノウハウを独自に蓄積して、製造工程上の制御装置でAI活用を検討

 同社は2015年にAIの研究をスタートし、2018年には画像を認識できる識別型AIを外観検査に適用させ、当社グループ会社の製造工程に導入している。これにより、検査工数の削減や生産効率の向上などが実現できた。

■この活用により人や従来のプログラムを上回る速度と精度を確認

 さらに、同社はAI活用候補として、装置の自動制御へのAI導入を検討してきた。実際に製造工程で使用されるレンズの焦点を合わせる調心装置にAIプログラムを実装する形式で概念検証を実施したところ、AIが人や従来の制御プログラムよりも高速で高精度な動作を行えたことが確認できた。

■製造装置の制御技術で確認されたAIの有効性を世界有数の国際カンファレンスで発表

 AIによる機器の制御は類似の事例が少なく、他の製造工程での応用も期待されることから、適用の有効性が確認できた意義を「NVIDIA GTC 2023」で発表することとなった。
近年、熟練技術者の高齢化により、将来の技術力低下が懸念されている。これを防ぐことは製造業にとって喫緊の課題であり、同社は引き続き、社会課題の解決に向けた技術開発を進めていくとしている。

【「NVIDIA GTC 2023」】
・発表日時:2023年3月22日(水)午前10時~11時(日本時間)
・登壇者:生産システム開発部AI開発グループ長・秋山達勇

※1 概念検証
 目的の達成や課題の解決に対して、提案する新しいコンセプト(概念)や技術が本当に有効なのか、あるいは実現可能なのかを、開発に先立って明らかにする検証のこと。

※2 NVIDIA GTC
 世界大手の半導体メーカーである米国のNVIDIA社が開催する、開発者向けグローバルAIカンファレンス。今回の深層強化学習の学習にはNVIDIA DGXシステムを、推論にはNVIDIA RTXを利用し、迅速な開発と展開を実現。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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