ラバブルマーケティンググループ、インバウンド向けプロモーションと東南アジアのマーケティング支援に強みを持つタイの企業「DTK AD」の株式取得・子会社化

■SNSマーケティング事業の海外展開を本格始動

 ラバブルマーケティンググループ(LMG)<9254>(東証グロース)は3月22日、DTK AD Co.,Ltd.(本社:タイ王国バンコク、代表取締役: 木村 好志、DTK AD(ディーティーケー アド))の発行済み株式の49%を取得し、子会社化することを決定したと発表。これにより同社は、東南アジアをはじめとする海外におけるSNSマーケティング事業や、訪日外国人旅行客(インバウンド)を対象とする、企業のSNSマーケティングやプロモーション活動の支援に本格的に取り組んでいく。

■東南アジアで事業を展開するDTK ADを子会社化の狙い

1)広告市場の成長率は日本の3倍以上、広告市場と人口共に伸び続ける東南アジアへの進出で事業拡大を狙う

 同社は、海外事業の立ち上げと拡大を成長戦略のひとつに掲げている。今回子会社化するDTK ADは、タイに本社を置く、SNSマーケティングやインバウンドを対象としたプロモーションを得意とするマーケティングエージェンシーで、既にシンガポール、香港、ラオスなど複数国で事業を展開し、今後も対象国を広げることを見込んでいる。

 調査会社モードーインテリジェンスによると、東南アジアの2021年から2026年の期間の広告市場の年平均成長率(CAGR)は約15.2%になると見込まれている(※1)。これをもとに、東南アジア主要6ヵ国(タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、シンガポール)の将来の広告市場を推計すると、2026年には350億米ドル以上になり、2021年と比較すると2倍以上の市場規模になる(※2)。なお予測されている東南アジアの広告市場の年平均成長率約15.2%は、日本の広告市場に比べて3倍以上の伸び率となることから(※3)、今後の市場の高い成長が期待できる。

 また人口に関して、東南アジア諸国が加盟するASEANは、ASEANが設立された1960年代以降、継続して人口が増え続けており、2030年には7億2千万人以上になるという推定値が出ている(※4)。人口増加の他、6ヵ国のSNS利用率は平均81.9%という高ポイントであることや継続的な経済成長もあり、今後東南アジアはSNSマーケティング市場の拡大が期待できると考えている。

2)政府は訪日促進施策を計画、今後対インバウンドのプロモーションが活況の見込み

 国土交通省は、2016年に発表した「明日の日本を支える観光ビジョン」でインバウンドを2030年に年間6000万人にするなどの目標を掲げ、訪日誘致に対する施策を多数あげた。2022年10月には「インバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ」で、ポストコロナにおける新たなインバウンド施策を発表。そして今年2月には、2025年までにインバウンド1人あたりの消費額を20万円とする目標案を示している。こうした政府のインバウンド回復への方針や、新型コロナウィルス感染症拡大が世界的におさまりつつあることから、今後はインバウンドが戻り、インバウンドを対象としたプロモーション活動も活発となることが見込まれる。

【参考データ】同社算出による、東南アジアからのインバウンド市場規模

 日本政府観光局から発表された「訪日外国人数」、国土交通省発表の「2019年の訪日外国人1人当たり旅行支出(15万8,531円)」「2025年までの訪日外国人旅行消費額単価:20万円」をもとに同社で算出した「2030年の東南アジアからのインバウンド市場規模」は約1兆4,000億円で、2019年と比較すると、2倍以上の額となった(※5)。これにより、インバウンド向けのプロモーション費用も増大すると予測できるため、その市場を取り込んでいく。(算出方法は末尾に記載)

■DTK ADの強み

1)インバウンドプロモーションの実績

 DTK ADは現地の芸能人・YouTuberからブロガー・ネットアイドルまで3,000名以上のKOL(Key Opinion Leader=インフルエンサー)との独自のネットワークを活かしたインバウンド向けプロモーションの実績が多数ある。

2)アジア地域における日系大手企業のマーケティング支援に継続的実績

 DTK ADはタイを拠点に、シンガポール、香港、ラオスに事業を拡大している。既存顧客からは、他の国でのサポートも要望されており、今後東南アジア全域一括受注ができる体制を想定している。

3)タイに根付いた日本人経営陣

 DTK ADの代表取締役の木村氏は、タイ在住15年で現地の言語や文化にも精通しており顧客からも高く評価されている。

■DTK AD子会社化後の事業展開内容

 今回のDTK ADの子会社化により、東南アジアに進出する企業のマーケティングの支援と東南アジアからのインバウンド需要の獲得の両方を狙うことができると考えている。東南アジアマーケットへの事業展開を可能にすることにより、DTK ADと同社の子会社である株式会社コムニコ双方の顧客に対しアップセル・クロスセルを狙うことで、一層、同社のSNSマーケティング事業のサービスを拡充させることが可能になる。

 将来的には、Web3・AI・DX関連ソリューションの東南アジア展開や、DTK ADを拠点とした東南アジア各国におけるM&Aや事業提携を行うことも考えていくとしている。

(注釈説明)

※1 参照:モード-インテリジェンス「東南アジアの広告市場-成長、トレンド、COVID-19の影響、および予測(2023-2028)」

※2 市場調査会社スタティスタが発表した「2022年における東南アジア地域の広告市場レポート」及び調査会社モードーインテリジェンスによる「東南アジアの広告市場」の2021年~2026年のおける年平均成長率(CAGR)により広告市場を算出。
参照: VIETJO東南アジア広告市場の22年売上高、ベトナムが5位伸び率は域内2位

※3 参照:株式会社電通グループ「世界の広告費成長率予測(2022~2025)」

※4 参照:国際機関日本アセアンセンター「ASEAN情報マップ」

※5 算出方法
2019年の「約6,000億円」:「2019年訪日外国人数」の総数の中で「東南アジア主要6ヵ国」からの訪日人数は3,833,765名。この人数に「2019年の訪日外国人1人当たり旅行支出(15万8,531円)」の「15万円」をかけ、2019年の東南アジアからのインバウンド市場規模は約6,000億円と算出。

2030年の「約1兆4,000億円」:国土交通省が掲げる2030年の訪日外国人旅行客目標人数は6,000万人。2019年の「訪日外国人数」総数の中で「東南アジア主要6ヵ国」からの訪日人数が占める割合は12%。6,000万人の12%は7,214,903人となり、この人数に国土交通省が掲げる「2025年に向けた訪日観光の主な目標案」の「訪日外国人1人当たり旅行支出」の「20万円」をかけて2030年の東南アジアからのインバウンド市場規模約1兆4,000億円を算出。

※6 1タイバーツ=3.90円、2023年3月20日時点での為替レートで換算している。

(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■更新前のスーパーコンピュータの約4倍の計算能力  富士通<6702>(東証プライム)は2月21日…
  2. ■両社の資源を有効活用しSDGsに貢献  伊藤忠商事<8001>(東証プライム)グループのファミリ…
  3. ■純正ミラーと一体化し、左後方の視界を広げる  カーメイト<7297>(東証スタンダード)は、純正…
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■投資と貯蓄の狭間で・・・  岸田内閣の「資産所得倍増プラン」は、「貯蓄から投資へ」の流れを目指し…
  2. ■「ノルム(社会規範)」解凍の序章か?植田新総裁の金融政策正常化  日本銀行の黒田東彦前総裁が、手…
  3. ■「日経半導体株指数」スタート  3月25日から「日経半導体株指数」の集計・公表がスタートする。東…
  4. ■投資家注目の適正株価発見ツール  日銀の価格発見機能が不全になる可能性がある中、自己株式取得が新…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る