【株式市場特集】消費関連の最出遅れ株、サードパーティー銘柄ともいうべき食品・水産物の卸売株に注目

 今週の当特集は、リオープン(経済再開)、リベンジ消費関連の最出遅れ株、サードパーティー銘柄ともいうべき食品、水産物の卸売株に注目することにした。その代表は、昨年来高値追いを続けたトーホー<8142>(東証プライム)と東都水産<8038>(東証スタンダード)である。新型コロナウイルス感染症の収束で行動規制も緩和され、リオープン関連株が幅広く底上げに転じ、裁量余地の大きい旅行・外食などにもリベンジ消費が高まり、この消費拡大が卸売株にも波及し両社株が、ともに業績続伸予想と業績の上方修正を発表したことがカタリスト(材料)となった。

 主力銘柄の高人気が続けば乗り換えの動きも出て下値を確認する展開も想定されるが、これから5月のゴールデンウイーク、夏のバカンスシーズンを控えるなか、リベンジ消費が本格消費へと本格的にグレードアップし、卸売株の業績や株価を支える可能性もあり、下値は「先憂後楽」のチャンスとしてマークしたい。

■高値追いのトーホーを先頭に業績上方修正・増配銘柄が相次ぐ

 トーホーは、期中に3回も上方修正した前2023年1月期の純利益を今年3月に売却した子会社の事業整理損失や海外子会社の減損損失などで一転して下方修正しネガティブ・サプライズとなったが、今2024年1月期純利益は、この損失一巡で20億円(前期比98.7%増)とV字回復を予想、21年ぶりに過去最高を更新し、さらに今期配当を年間60円(前期実績35円)への連続増配を予定することが今年3月に入っての高値追いにつながっている。

 足元の2月、3月にトーホーと同様に昨年来高値を更新した食品卸売株は、コード番号順にあげると久世<2708>(東証スタンダード)、ヤマエグループホールディングス<7130>(東証プライム)、尾池産業<7481>(東証スタンダード)、加藤産業<9869>(東証プライム)と続き、野菜直売所の農業総合研究所<3541>(東証グロース)、酒類専門店のやまや<9994>(東証スタンダード)も、同様の株価推移を示した。このうち久世、ヤマエGHD、尾池産業が業績上方修正・増配組で低PER・PBR水準にあり、加藤産業、やまやは今期業績が減益予想にあるが、直近の四半期業績はこの減益予想の通期予想業績に対して高利益率で着地した。

■業績上方修正・増配で昨年来高値更新もPBRはなお1倍割れ

 水産物の卸売株でも東都水産が、今年2月に目下集計作業中の2023年3月期業績を上方修正し、純利益が8期ぶりに過去最高を更新することを手掛かりに昨年来高値6990円まで約4割高した。それでもPERは11倍台、PBRは1.2倍と市場平均を下回っており、高値でスピード調整中である。同社株と同様に今年2月、3月に昨年来高値を更新した同セクター株は、コード番号順にあげると大水<7538>(東証スタンダード)、中央魚類<8030>(東証スタンダード)、横浜丸魚<8045>(東証スタンダード)と続き、このほか水産株の極洋<1301>(東証プライム)、冷凍食品の横浜冷凍<2874>(東証プライ)、養殖事業のヨンキュウ<9955>(東証スタンダード)も、昨年来高値更新銘柄である。

 このうち極洋、中央魚類が業績上方修正・増配組で、大水、横浜丸魚が好調な四半期決算を背景に増配を発表した。またヨンキョウは、20億900万円を投資し新養鰻場の増設を計画している。PER評価は6倍台の極洋から17倍台のヨンキュウまでバラツキがあるが、PBR評価はいずれも1倍を下回っており、バリュー株人気の高まりも見込まれる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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