エスプールは23年11月期1Q大幅減益だが計画水準、通期大幅増益予想据え置き

(決算速報)
エスプール<2471>(東証プライム)は、4月4日の取引時間終了後に23年11月期第1四半期連結業績を発表した。コールセンター業務スポット案件の反動減や先行投資の影響などで減収・大幅減益だが、概ね計画水準だったとしている。そして通期の増収・大幅増益予想を据え置いた。期初時点で上期は減収減益予想だが下期に大幅増収増益を見込み、通期ベースではビジネスソリューション事業の好調が牽引して増収・大幅増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調に変化はないだろう。株価は地合い悪化も影響して安値圏だが売り一巡感を強めている。目先的には第1四半期の減収・大幅減益を嫌気する可能性もあるが下値限定的だろう。

■23年11月期1Q大幅減益だが計画水準、通期大幅増益予想据え置き

23年11月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比6.6%減の60億89百万円、営業利益が32.5%減の4億52百万円、経常利益が31.9%減の4億54百万円、親会社株主帰属四半期純利益が35.4%減の2億88百万円だった。コールセンター業務スポット案件の反動減や先行投資の影響で減収・大幅減益だったが、概ね計画水準だったとしている。

セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上高が25.3%増の24億99百万円、営業利益が9.8%増の5億33百万円だった。

障がい者雇用支援サービスの売上高は8.2%増の11億60百万円だった。設備販売は一部が第2四半期にずれ込んだため減少したが、ストック型となる主力の運営管理費が順調に伸長し、全体として概ね概ね計画水準で着地した。新規開設農園は屋外1施設、設備販売は計画の100~150区画に対して108区画だった。第1四半期末時点の農園数は38施設、顧客数は523社(新規12社、解約0社)、管理区画数は6319区画(22年11月期末は6211区画)、就業者数は3159名(同3105名)、定着率は92%(同92%)となった。

ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上高は12.6%増の3億62百万円(内訳はEC通販発送代行が12.9%増の3億32百万円、物流センター運営が8.1%増の30百万円)だった。低採算案件整理や業務改善の効果で収益力向上が進んでいる。さらに8月の新センター開設に向けた営業も強化している。採用支援サービスOMUSUBIの売上高は42.1%増の1億75百万円だった。コロナ禍行動制限緩和に伴って飲食業を中心に求人数が回復基調となっている。

新規事業の広域行政BPOサービスの売上高は2.2倍の3億51百万円だった。新規に3拠点を開設し、BPOセンターが14拠点、うちスマートカウンター併設が7拠点となった。オンライン窓口導入はサービス開始から半年で58自治体・200台となった。自治体からの引き合いが強くハイペースでの拠点開設が続いている。環境経営支援サービス(ブルードットグリーン)の売上高は69.1%増の1億72百万円だった。環境情報開示の重要性の高まりを背景に、上場企業を中心に取引が拡大している。

人材ソリューション事業は売上高が20.5%減の36億15百万円、営業利益が40.6%減の3億21百万円だった。主力のコールセンター業務の売上高は前年のスポット案件の反動で22.8%減の30億94百万円だった。販売支援の売上高は10.5%増の3億49百万円だった。売上減少に歯止めがかかった。

通期連結業績予想は据え置いて、売上高が22年11月期比6.1%増の282億88百万円、営業利益が17.1%増の36億20百万円、経常利益が15.3%増の35億96百万円、親会社株主帰属当期純利益が34.2%増の24億27百万円としている。売上高は11期連続、営業利益は8期連続で過去最高更新を目指す。親会社株主帰属当期純利益については特別損失一巡も寄与する。配当予想は22年11月期比2円増配の10円(期末一括)としている。連続増配予想で、予想配当性向は32.5%となる。

ビジネスソリューション事業の計画は、売上高が26.5%増の129億08百万円、営業利益が24.4%増の36億35百万円としている。売上高の内訳は、障がい者雇用支援サービスが19.7%増の69億円(運営管理費が35.0%増の40億58百万円、設備販売が8.0%増の23億36百万円、人材紹介料が14.6%減の5億06百万円)で、ロジスティクスアウトソーシングサービスが10.2%増の14億75百万円、採用支援サービス「OMUSUBI」が8.4%増の6億35百万円、広域行政BPOサービスが2.1倍の19億円、環境経営支援サービスが25.2%増の9億円としている。

障がい者雇用支援サービスは新規開設が9農園(屋外5、屋内4)で、設備販売は1440区画(第1四半期100~150区画、第2四半期510~560区画、第3四半期240~290区画、第4四半期490~540区画)の計画としている。法令順守のもと、障がい者の「雇用の安定」と「キャリアアップ」が実現できる環境の構築に取り組む。ロジスティクスアウトソーシングサービスは事業拡大に向けて千葉県流山市に新センターを開設し、守りから攻めへの転換を推進する。採用支援サービス「OMUSUBI」は経済活動正常化とともに売上回復を見込み、AIによる自動応募受付サービスなど、センターの生産性改善も進展する見込みとしている。広域行政BPOサービスはBPOセンターの積極開設(13~15拠点の計画)によって売り上げ倍増を目指す。環境経営支援サービスはコンサルティング業務が牽引する見込みだ。

人材ソリューション事業の計画は、売上高が4.7%減の158億円、営業利益が2.9%減の16億20百万円としている。売上高の内訳は、コールセンター業務が5.9%減の136億円、販売支援が4.8%増の13億円、その他が2.3%増の9億円としている。下期からの本格回復を見込み、全体として保守的な計画としている。

第1四半期は減収・大幅減益だったが、概ね計画水準だったため通期増収・大幅増益予想を据え置いた。期初時点で、上期は人材ソリューション事業の減収や広域行政BPOサービスの先行投資の影響などで減収減益予想(売上高が前年同期比3.2%減の132億27百万円、営業利益が10.1%減の14億07百万円、経常利益が11.1%減の13億95百万円、親会社株主帰属四半期純利益が6.6%減の9億63百万円)だが、下期に大幅増収増益(売上高が前年同期比16.0%増の150億60百万円、営業利益が45.0%増の22億12百万円、経常利益が41.9%増の22億円、親会社株主帰属四半期純利益が91.0%増の14億65百万円)を見込み、通期ベースではビジネスソリューション事業の好調が牽引して増収・大幅増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調に変化はないだろう。

■株価は売り一巡

株価は地合い悪化も影響して安値圏だが売り一巡感を強めている。目先的には第1四半期の減収・大幅減益を嫌気する可能性もあるが下値限定的だろう。4月4日の終値は601円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円73銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS94円14銭で算出)は約6.4倍、そして時価総額は約475億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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