クリーク・アンド・リバー社は24年2月期増収増益・連続大幅増配予想

(決算速報)
 クリーク・アンド・リバー社<4763>(東証プライム)は4月6日の取引時間終了後に23年2月期連結業績を発表した。日本クリエイティブ分野や医療分野の好調が牽引し、成長に向けた戦略投資を吸収して過去最高業績だった。配当は上方修正して大幅増配とした。そして24年2月期も増収増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお新中期経営計画を発表するとともに、配当性向を従来の20%水準から30%水準に引き上げて、24年2月期も連続大幅増配予想としている。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが戻り高値圏だ。好業績や大幅増配を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■23年2月期は過去最高、24年2月期増収増益・大幅増配予想

 23年2月期連結業績(収益認識会計基準適用で売上高に影響)は、売上高が22年2月期比5.6%増の441億21百万円、営業利益が16.0%増の39億56百万円、経常利益が17.0%増の40億02百万円、親会社株主帰属当期純利益が人材確保等促進税制適用も寄与して30.4%増の28億99百万円だった。日本クリエイティブ分野や医療分野の好調が牽引し、戦略投資を吸収して過去最高業績だった。

 なお収益認識会計基準適用により、日本クリエイティブ分野の電子書籍取次事業およびライセンス販売代理人事業で売上高の総額表示を純額表示に変更、請負事業で完成基準から進行基準に変更している。この影響額として、従来方法に比べて売上高が19億19百万円減少、売上原価が20億51百万円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益がそれぞれ1億31百万円増加している。旧基準による売上高は10.1%増の460億40百万円だった。営業利益以下への影響は軽微だった。

 日本クリエイティブ分野は、売上高が3.1%増の303億59百万円(旧基準では9.6%増収)で営業利益(調整前)が10.9%増の27億49百万円だった。ゲーム・WEB関連のプロデュース事業が好調に推移し、新規事業投資(メタバース関連等)やDX投資を吸収した。

 韓国クリエイティブ分野は、売上高が0.3%減の34億58百万円で営業利益が16百万円の損失(22年2月期は0百万円の利益)だった。TV局への派遣稼働数が減少したが、収益回復に向けて体制再構築を進めている。

 医療分野は売上高が18.6%増の52億26百万円で営業利益が54.1%増の13億39百万円だった。医師マッチングシステム「民間医局ポータル」による成約件数増加も寄与して医師紹介やイベント「レジナビFair」が好調に推移し、新規事業(クリニック経営支援)投資を吸収した。

 会計・法曹分野は売上高が9.4%増の23億06百万円で営業利益が34.4%増の1億59百万円だった。紹介事業や事業承継サービスが伸長した。

 その他事業(新規事業合計16社)は、売上高が16.8%増の27億69百万円で営業利益が2億75百万円の損失(同32百万円の損失)だった。新規設立・グループ化子会社が6社と投資段階の事業が多いため全体として営業損失が拡大した。売上面は16社のうち5社が増収(5億60百万円増収)で、5社が減収(1億80百万円減収、うち1社は連結除外)だった。営業利益は16社のうち4社が増益で、IT子会社は下期に黒字化した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高113億71百万円で営業利益16億87百万円、第2四半期は売上高109億63百万円で営業利益8億24百万円、第3四半期は売上高108億90百万円で営業利益8億09百万円、第4四半期は売上高108億97百万円で営業利益6億35百万円だった。医療分野の収益は上期偏重(特に第1四半期偏重)という季節特性がある。

 成長に向けた戦略投資としては、日本クリエイティブ分野におけるC&Rクリエイティブスタジオのメタバース化、生産性向上に向けたDX化、新卒採用・研修の強化(22年4月入社実績160名に対して、23年4月入社299名)、および子会社新規設立・グループ化(6社)などを推進した。なお23年1月にテレビ番組企画・制作のシオングループを子会社化した。

 24年2月期の連結業績予想は、売上高が23年2月期比13.3%増の500億円、営業利益が13.7%増の45億円、経常利益が12.4%増の45億円、親会社株主帰属当期純利益が3.5%増の30億円としている。日本クリエイティブ分野を中心に各セグメントが好調に推移し、成長に向けた戦略投資を吸収して増収増益予想としている。

 日本クリエイティブ分野は売上高が18%増の358億円で営業利益(調整前)が13%増の31億円、韓国クリエイティブ分野は売上高が横ばいの34億60百万円で営業利益が0百万円の利益(23年2月期は16百万円の損失)、医療分野は売上高が8%増の56億40百万円で営業利益が5%増の14億円、会計・法曹分野は売上高が11%増の25億60百万円で営業利益が19%増の1億90百万円、その他は売上高が34%増の41億円で営業利益が50百万円の損失(同2億75百万円の損失)の計画としている。

 新中期経営計画では、最終年度26年2月期の計画を売上高605億円、営業利益56.5億円、営業利益率9.3%としている。売上高・営業利益の着実な成長とともに、利益率の向上を目指す方針だ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

 なお23年2月期の配当は4月6日付で期末4円上方修正して、22年2月期比7円増配の27円(期末一括)とした。配当性向は20.7%となる。さらに新中期経営計画では、24年2月期より配当性向を従来の20%水準から30%水準に引き上げることとし、24年2月期の配当予想は23年2月期比14円増配の41円(期末一括)とした。連続大幅増配で予想配当性向は30.4%となる。

■株価は上値試す

 株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが戻り高値圏だ。好業績や大幅増配を評価して戻りを試す展開を期待したい。4月6日の終値は2214円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS135円04銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の41円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS637円32銭で算出)は約3.5倍、そして時価総額は約509億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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