【どう見るこの株】ケイティケイは上値試す、23年8月期2Q累計大幅増益で通期上振れ余地
- 2023/4/10 10:03
- どう見るこの株
ケイティケイ<3035>(東証スタンダード、名証メイン)は、リサイクルトナーを中心にリサイクル商品等を販売するサプライ事業、複合機の販売・保守を中心に中小企業のDXを支援するITソリューション事業を展開し、事業活動を通じてサステナビリティ経営を推進している。23年8月期は増収増益予想としている。4月4日に発表した第2四半期累計連結業績は計画を上回る大幅増益で着地した。そして株主優待制度の新設も発表した。通期会社予想に上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は第2四半期累計業績や株主優待制度新設を好感して年初来高値圏だ。指標面の割安感も評価材料であり、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■リサイクルトナー等のリサイクル商品販売が主力
リサイクルトナーを中心にリサイクル商品、OAサプライ商品、文具事務用品などのオフィス関連商品やオフィス家具を販売するサプライ事業、複合機の販売・保守を中心に中小企業のDXを支援するITソリューション事業を展開している。
グループは同社、および連結子会社5社(文具卸売等の青雲クラウン、OA機器販売等のSBMソリューション、ロジスティック・倉庫業のキタブツ中部、OA機器販売等のエス・アンド・エス、22年3月に子会社化したデジタルマーケティング・EC支援等のイコリス)で構成されている。
22年8月期セグメント別売上高(顧客との契約から生じる収益)構成比はサプライ事業が83%、ITソリューション事業が17%、営業利益(全社費用等調整前)構成比はサプライ事業が85%、ITソリューション事業が11%だった。
主力のリサイクルトナーは、顧客から預かった使用済みトナーカートリッジ等を、徹底した品質管理(単品再生履歴管理)のもとに、長野県駒ケ根市の自社工場でリユースリサイクル(再生加工)し、元の顧客に届ける独自の「リパックシステム」を採用している。なおリサイクル商品で即納を希望する顧客に対しては、作り置き在庫から出荷するプールタイプで対応している。
販売面では、企業向け(BtoB)ではWEB発注システム「はっするネット」やITソリューション商品専門通販サイト「はっするネットPlus」を活用し、個人・SOHO向け(BtoC)のリサイクル商品通販サイト「ケイティケイRepac★store」も運営している。
■中期経営計画(22年8月期~24年8月期)
長期ビジョンに「Change the office mirai」を掲げ、中期経営計画Growth Plan(22年8月期~24年8月期)では、基本方針として、成長軌道への転換、ビジネスの立体化、ストックビジネスの進化を推進している。
成長軌道への転換では、ペーパーレス化でトナー・文具等のサプライ用品市場は縮小傾向だが、経営基盤を強化しつつサプライ事業の収益性を維持し、サプライ事業で得たキャッシュ等の経営資源をITソリューション事業へ重点投入して成長を加速する。そして、会社を成長軌道に乗せて「Change the office mirai」の実現を目指すとしている。
ビジネスの立体化では、全国約1.5万社(販売店含む)の顧客基盤を活かし、グループ連携を強化して、リサイクルトナー、文具・事務用品、ITソリューションのクロスセルを推進する。
ストックビジネスの進化では、基盤事業としているサプライ事業は顧客からの定期継続受注が期待できるストックビジネスであり、成長事業と位置付けるITソリューション事業も物販のみにとどまらず、複合機を起点とする提案型ビジネスの展開を推進し、さらに継続課金型の保守サポートやサブスクリプションサービスにも注力して安定収益の得られるストックビジネスへの進化を目指すとしている。
最終年度24年8月期の目標値には売上高190億円、営業利益5億20百万円、経常利益6億円、ROE10.0%以上を掲げている。セグメント別の目標は、サプライ事業の売上高が149億円で営業利益が3億20百万円、ITソリューション事業の売上高が41億円で営業利益が2億円としている。株主還元については、連結配当性向30%を目途に、成長に向けた投資との調整を図りつつ、安定的な株主還元を実施する方針としている。
■サステナビリティ経営
サステナビリティへ経営の取り組みとしては、21年9月に策定したサステナビリティ基本方針を「事業活動と経営戦略の中心にSDGsの理念を据え、持続可能な社会の実現に貢献してまいります」として、リサイクルトナー等リユース・リサイクル(リサイクル商品をサステナブル商品として再定義)による環境貢献、ITソリューション事業による中小企業のDX支援、人材育成・ダイバーシティ・経営基盤強化を推進している。
なお20年10月には「長野県SDGs推進企業」に登録、22年1月には「愛知県SDGs登録制度」に登録、22年5月には「名古屋市SDGs推進プラットフォーム」および「なごやSDGsグリーンパートナーズ」に登録・認定された。
■スタンダード市場の上場維持基準適合に向けた計画書
22年4月に実施された東京証券取引所の市場区分見直しに伴って東証スタンダード市場に移行したが、その後22年8月20日時点において流通株式時価総額がスタンダード市場の上場維持基準に適合しない判定結果となったため、22年11月7日付で「上場維持基準適合に向けた計画書」を公表している。
中期経営計画Growth Planの最終年度となる25年8月を計画期限として、中期経営計画で掲げた戦略の着実な遂行による業績向上と持続的成長の実現、株主還元の充実、コーポレートガバナンスやIR活動の強化による情報発信の充実、さらに流通株式比率向上など各種取組を推進し、企業価値の向上(時価総額の増大)に努めるとしている。
■23年8月期増収増益予想、2Q累計大幅増益で通期上振れ余地
23年8月期(22年8月21日~23年8月20日)連結業績予想は、売上高が22年8月期比2.3%増の176億円、営業利益が6.4%増の4億30百万円、経常利益が3.6%増の5億20百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.1%増の3億25百万円、EBITDA(当期純利益+法人税等+支払利息+減価償却費+のれん償却費)が6.9%増の6億44百万円としている。配当予想は中間配当を実施し、22年8月期比1円増配の15円(第2四半期末7円50銭、期末7円50銭)としている。予想配当性向は25.0%となる。
セグメント別には、サプライ事業は売上高が1.0%増の144億40百万円で営業利益(全社費用等調整前)が2.4%減の8億11百万円、ITソリューション事業は売上高が9.0%増の31億60百万円で営業利益が41.3%増の1億41百万円の計画としている。サプライ事業では原材料価格高騰に対して工場の生産性向上や価格改定を推進する。ITソリューション事業では複合機販売の強化とサポート体制の構築、クロスセルの拡大、サプライ事業からの異動を含む人員増強と人材育成を推進する。
第2四半期累計(22年8月21日~23年2月20日)は、売上高が前年同期比4.1%増の86億39百万円、営業利益が27.3%増の1億90百万円、経常利益が24.6%増の2億51百万円、親会社株主帰属四半期純利益が15.3%増の1億54百万円、EBITDAが29.9%増の3億14百万円だった。
計画(売上高85億円、営業利益1億80百万円、経常利益2億35百万円、親会社株主帰属四半期純利益1億45百万円、EBITDA2億96百万円)を上回る大幅増益で着地した。
売上面では環境衛生商品の需要減速やペーパーレス化によるリサイクル製品市場縮小が影響したが、ITソリューション事業の成長が牽引した。利益面では原材料価格高騰に対する販売価格改定効果や生産性向上による原価低減効果も寄与した。売上総利益率は1.9ポイント上昇した。営業利益の前年同期比40百万円増益の要因分析は、原価低減やITソリューション事業の成長が+2億41百万円、人件費・荷造運賃・のれん償却の増加が▲2億円だったとしている。
セグメント別にみると、サプライ事業は売上高が0.9%減の69億12百万円で営業利益(全社費用等調整前)が8.4%増の4億円だった。売上面は、新型コロナ感染症に関する環境衛生商品の需要減速、ペーパーレス化によるリサイクル製品市場縮小の影響などで伸び悩んだが、販売価格改定や生産性向上の効果などで営業増益を確保した。ITソリューション事業は売上高が30.7%増の17億26百万円で営業利益が106.0%増の79百万円だった。グループ全体で複合機販売に注力し、22年3月に子会社化したイコリスのEC事業も寄与して大幅伸長した。
四半期別にみると、第1四半期は売上高が41億30百万円で営業利益が75百万円、第2四半期は売上高が45億08百万円で営業利益が1億14百万円だった。
通期予想は据え置いている。第2四半期累計の進捗率は売上高49.1%、営業利益44.3%、経常利益48.3%、親会社株主帰属当期純利益47.4%、EBITDA48.9%だが、期初時点で下期偏重の計画としている。第2四半期累計が計画を上回る大幅増益だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主優待制度を新設
23年4月4日に株主優待制度の新設を発表した。毎年8月20日現在の20単元(2000株)以上保有株主を対象として株主優待ポイントを贈呈(優待内容は詳細決定後に発表予定、会社HP参照)する。23年8月20日対象から実施する。
■株価は上値試す
株価(23年1月20日より貸借銘柄に選定)は、第2四半期累計業績や株主優待制度新設を好感して年初来高値圏だ。指標面の割安感も評価材料であり、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。4月7日の終値は471円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円11銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS670円56銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約27億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)