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アイフリークモバイルは調整一巡、24年3月期も収益拡大期待
- 2023/4/12 09:10
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アイフリークモバイル<3845>(東証スタンダード)は、電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開し、成長戦略としてブロックチェーン技術を活用したNFTコンテンツ分野にも注力している。なお4月7日には絵本アプリ「森のえほん館」において、元バトミントン日本代表選手で現在は一般社団法人Woman‘waysの代表理事を務める潮田玲子氏監修の絵本「ちょっと聞いて大事な話~女性の体と心~」を配信開始した。23年3月期は営業増益予想としている。コンテンツ事業ではユーザー獲得に向けた投資、CCS事業では専門領域に特化したエンジニアの育成などを推進する。積極的な事業展開で24年3月期も収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して年初来安値圏で軟調だが、こども関連のテーマ性も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。なお5月15日に23年3月期決算発表を予定している。
■コンテンツ事業とコンテンツクリエイターサービス事業を展開
携帯電話・スマートフォン向けコンテンツ企画・開発・配信のコンテンツ事業、WEBコンテンツ制作・システム受託開発および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開している。中長期的にはCCS事業を基盤として、コンテンツ事業の収益化によって持続的成長の実現を目指す方針だ。
22年3月期のセグメント別売上高構成比はコンテンツ事業が11%、CCS事業が89%、利益構成比(全社費用等調整前営業利益)はコンテンツ事業が21%、CCS事業が79%だった。
■コンテンツ事業は電子絵本アプリや知育アプリなど
コンテンツ事業は、デコメ・絵文字・スタンプ・壁紙などのデジタル素材「デココレ」を主力として、電子絵本アプリや知育アプリ「あそびタッチ」などの低年齢層向けファミリーコンテンツ、オリジナル絵文字やグループチャットを搭載したウォレットアプリ「Challet」も展開している。なおデジタルコンテンツについては、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」によって約1万人の外部登録クリエイターを組織化し、20万点以上のデジタル資産を有している。
絵本アプリ「森のえほん館」は500冊以上の作品を収録し、累計130万ダウンロードを記録している。3月17日には「森のえほん館」のITリテラシー絵本シリーズ9作目として、永田浩一氏作の人気絵本作品「おしたらおしまい」のシリーズ9作目「しんじてたのに、なぜ?(サイバーセキュリティ・ネットリンチ)」の配信を開始した。4月7日には絵本アプリ「森のえほん館」において、元バトミントン日本代表選手で現在は一般社団法人Woman‘waysの代表理事を務める潮田玲子氏監修の絵本「ちょっと聞いて大事な話~女性の体と心~」を配信開始した。
22年12月には、子会社アイフリークスマイルズが運営するYouTubeチャンネル「Popo Kids(ポポキッズ)」で配信している絵本動画が、トーハンが運営する全国書店ネットワーク「e-hon」内に新たに設置されるコーナー「読み聞かせ動画から広がる絵本の世界」に提供開始された。
23年1月には、絵本を読んで語学学習ができるアプリ「なないろえほんの国」の一部機能の無料開放を開始した。定期購読すれば単語帳機能やシール帳機能などの追加機能が利用可能になり、より学習に特化したアプリとして利用できる。
4月10日には、小学校低学年向けの計算学習アプリ「九九のトライ」iOS版のリニューアルを実施したとリリースしている。
■CCS事業はWEBコンテンツ制作・システム受託開発など
CCS事業は、WEBコンテンツ制作・システム受託開発および人材派遣を展開している。21年1月に孫会社ファンレボの全株式を譲渡、21年2月に子会社アイフリークGAMESを吸収合併、21年6月に子会社リアリゼーションを吸収合併して運営体制を効率化した。
22年9月にはIT技術者の確保に向けて、グラングループ(グランディール、グランソル、グランデュオの3社)から技術開発部門の一部を譲り受ける(事業譲受開始22年10月1日、事業譲受終了22年12月中予定)と発表した。多様な人的資本を確保し、IT技術者集団としてより強固で効率的な事業体制の構築を推進する。
22年10月にはNHN JAPANグループのNHN テコラス社が提供する「テコラス パートナープログラム」に参画した。NHN テコラス社は日本に12社しかないアマゾン ウェブ サービス(AWS)の最上位プレミアティア サービスパートナーとしてAWSを中心としたITインフラ総合支援サービスを提供している。NHN テコラス社が提供する多様なサービスを活用することでビジネス拡大を推進する。
■NFTコンテンツ分野も注力
成長戦略としては、CCS事業を基盤にコンテンツ事業の収益化を目指す方針としている。重点施策として、コンテンツ事業におけるユーザー数の拡大、20万点以上のデジタルコンテンツ資産の有効活用、CCS事業における人材確保、専門領域に特化したエンジニアチームの育成、協業先の開拓などを推進する。さらに次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野も注力している。
20年9月にはミャンマーの新興通信事業者GALAXIA社と、ミャンマーにおけるモバイルコンテンツサービス分野およびシステムインテグレーション分野で業務提携した。20年10月にはRPA導入コンサルティングサービスのITSO社と業務提携、20年11月にはITエンジニア育成EdTechサービスのヒートウェーブと業務提携、20年12月にはAI CROSS社とセールスパートナー契約を締結した。
21年10月には、UUUM<3990>の子会社で次世代ブロックチェーン技術を活用したデジタルトレーディングカード専門のNFTマーケットプレイス「HABET(ハビット)」を運営するFORO社(現NUNW社)と、戦略的業務提携契約を締結した。そして21年11月にはFORO社が運営するNFTマーケットプレイス「HABET」を活用し、クリエイター向けNFT出品支援プログラム「CREPOS NFT 支援プログラム」第1弾を本格始動した。
22年2月には有信アクロス(大阪府吹田市)と障がい児向け知育アプリ提供事業に関する業務提携に向けた基本合意書を締結した。有信アクロスは全国219ヶ所で放課後等デイサービス「ウィズ・ユー」をフランチャイズ展開するとともに、児童発達支援も行っている。そして10月4日には具体的内容として、知育アプリに特化したタブレットのリース事業「知育アプリ提供サービス」の開始を発表した。
22年3月にはJリーグクラブ「ジュビロ磐田」を運営するジュビロとサポーティングカンパニー契約を締結した。同クラブのマスコットキャラクターが登場する電子絵本を共同制作する。
22年6月にはアーティストのためのXRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」を運営するPsychic VR Lab社と、メタバース・VR・AR・MR技術を包括する「XR領域」において、アーティスト/クリエイターの発掘・育成支援を目的とする連携を開始したと発表している。メタバース事業領域への新たな取り組みとして「CREPOS」クリエイターに向けた特別講義を提供する。
なおHashPort社とのNFT分野における新たな取り組み開始(21年12月発表)に関しては22年9月に解消を発表した。
23年2月には日本のe-Sports業界における受託事業に特化したウェブサイト開設を発表した。ゲーム関連事業が有するノウハウを活用したe-Sports関連サービス(イベント企画・運営・配信・機材貸出・スタッフ派遣等)の提供を通じて、e-Sportsの発展に貢献する方針としている。
23年3月には「CREPOS」人気クリエイター6名との新たなNFTコレクション「CREPOS Creators NFT Collection」の抽選販売を開始した。購入した作品の「CREPOS」クリエイターに、世界に一つだけのイラストをオーダーできる権利が付いたNFTである。
■23年3月期営業増益予想、24年3月期も収益拡大期待
23年3月期連結業績予想は売上高が22年3月期比12.9%増の29億64百万円、営業利益が4.9%増の1億70百万円、経常利益が21.8%減の2億02百万円、親会社株主帰属当期純利益が24.4%減の1億91百万円としている。配当予想は22年3月期と同額の3円(期末一括)としている。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比1.4%減の19億28百万円、営業利益が53.5%減の61百万円、経常利益が45.6%減の1億18百万円、親会社株主帰属四半期純利益が38.7%減の1億15百万円だった。
コンテンツ事業におけるXR領域(メタバース、VR、AR、MRなど)への先行投資の影響などで減益だったが、概ね計画水準だったとしている。なお売上総利益は8.9%減少して5億74百万円、販管費は3.0%増加して5億12百万円となった。
コンテンツ事業は売上高が3.8%減の2億05百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が88.5%減の7百万円だった。デジタル絵本アプリの新作配信、トーハンが運営する全国書店ネットワーク「e-hon」への絵本動画の提供などの施策を推進した。利益面は、XR領域で活躍するクリエイター育成に関する取り組み(所属クリエイターおよび「CREPOS」に登録する約1万人のクリエイター向けにVR・ARクリエイターを目指すオンラインスクール「NEWVIEW SCHOOL ONLINE」を提供)など先行投資の影響で減益だった。
コンテンツクリエイターサービス事業は売上高が1.1%減の17億22百万円、セグメント利益が1.6%増の2億44百万円だった。受注率および稼働率が比較的高い水準で推移し、販管費見直しも推進した。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が6億24百万円で営業利益が22百万円、第2四半期は売上高が6億23百万円で営業利益が12百万円、第3四半期は売上高が6億81百万円で営業利益が27百万円だった。
通期予想は据え置いている。コンテンツ事業では、ユーザーの獲得や継続率の向上のための投資、育児をするママパパをターゲットとしたベビーテックサービスの提供などを推進する。コンテンツクリエイターサービス事業では、RPA、メタバース(VR/AR)、データサイエンス、ゲーム等の専門領域に特化したエンジニアの育成などを推進する。積極的な事業展開で24年3月期も収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は地合い悪化も影響して年初来安値圏で軟調だが、こども関連のテーマ性も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。4月11日の終値は130円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS10円72銭で算出)は約12倍、前期推定配当利回り(会社予想の3円で算出)は約2.3%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS40円65銭で算出)は約3.2倍、そして時価総額は約23億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)