ソフトクリエイトホールディングスは調整一巡、24年3月期も収益拡大基調

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ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大を推進している。23年3月期は増収増益予想としている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人件費や広告宣伝費の増加を吸収する見込みだ。さらに24年3月期もクラウドサービスの拡大などで順調な利益の積み上げが予想される。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお基準日23年3月31日(効力発生日23年4月1日)で1株を2株に分割した。株価は地合い悪化も影響して上げ一服の形となったが調整一巡感を強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開

ITソリューションサービスを展開する持株会社である。22年3月期のセグメント別売上高(22年3月期からセグメント区分変更、収益認識会計基準適用後)は、ECソリューション事業が115.8億円(ECサイト構築パッケージ「ecbeing」が79.4億円、デジタルマーケティングが27.2億円、ECクラウドサービスが9.2億円)で、ITソリューション事業が96.4億円(セキュリティ・インフラ構築が46.0億円、ITパッケージが17.6億円、ITクラウドサービスが16.5億円、IT機器が16.3億円)だった。セグメント利益(全社費用等調整前経常利益)は、ECソリューション事業が31億22百万円、ITソリューション事業が24億01百万円だった。

なお収益認識会計基準適用の影響で、従来方法に比べて売上高が71億09百万円減少、売上原価が70億97百万円減少している。特にIT機器が影響を受けている(収益認識会計基準適用前の21年3月期実績は56.6億円)が、利益への影響は軽微である。

ECソリューション事業は、連結子会社ecbeingのECサイト構築パッケージ「ecbeing」の販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることが強みとして、中~大規模顧客向けを中心に国内ECサイト累計構築実績は1500を突破している。市場シェアは14年連続1位(出典:富士キメラ総研「2021年ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査」で市場シェア43.6%)である。22年3月には「ecbeing」の20年の年間流通総額が6000億円を突破した。国内ECサイト構築業者としてNO.1の流通額である。

22年2月には連結子会社のecbeingが、海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。システム面での連携を強化し、より付加価値の高い中国市場向けソーシャル越境EC事業の実現を目指す。22年11月にはecbeingが、レビューマーケティングプラットフォーム「ReviCo」を展開する新会社ReviCoを設立した。

ITソリューション事業は、自社開発サービス「SCクラウド」、不正アクセス端末検知・遮断システム「L2Blocker」、連結子会社エイトレッド<3969>が展開するワークフローシステム(パッケージ型「AgileWorks」、クラウド型「X-point Cloud」)、連結子会社ソフトクリエイトのシステムインテグレーション・IT機器販売を主力としている。

連結子会社エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は22年10月に4000社を突破した。そしてクラウド型「X-point Cloud」は、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。23年3月にはテクノ・システム・リサーチの2022年SaaSワークフロー市場データにおいて、従業員数別メーカーシェア100人未満カテゴリーおよび100人以上1000人未満カテゴリー、売上高別メーカーシェア100億円未満カテゴリーおよび100億円以上1000億円未満カテゴリーでシェアNO.1を獲得したと発表している。またスマートキャンプのBOXIL SaaS AWARD Spring 2023 ワークフローシステム部門においてGood Serviceを受賞したと発表している。

■クラウドサービスの拡大を推進

成長戦略としてクラウドサービスの拡大を推進している。クラウドサービスの売上高は18年3月期8.2億円、19年3月期11.9億円、20年3月期15.3億円、21年3月期19.3億円(ECクラウドサービスが6.1億円、ITクラウドサービスが13.2億円)と拡大基調である。

さらに独自開発のクラウドサービス(ECクラウドサービス「メルカート」、ビジュアルマーケティング「visumo」、レビュー最適化ツール「Revico」、「サイトミライズ」、オムニチャネル分析ツール「Sechstant」など)の拡販にも注力している。22年11月には新製品としてPC情報管理クラウドサービス「Survey Eyes」を開発・発売開始した。

22年3月期第1四半期時点の合計導入社数は、ECクラウドサービス分野の「メルカート」が84社、「visumo」が335社、「Revico」が48社、「サイトミライズ」が106社、「Sechstant」が30社、ITクラウドサービス分野の「SCクラウド」が454社、「X-point Cloud」が847社、「L2Blocker」が181社となっている。21年6月には、インスタグラムの写真を自社サイトに活用する「visumo」のソリューションが、トヨタ自動車公式サイトに採用されている。22年5月には「Revico」の国内導入実績が100サイトを突破した。

■23年3月期増収増益予想、24年3月期も収益拡大基調

23年3月期連結業績予想は売上高が22年3月期比10.5%増の234億60百万円、営業利益が2.7%増の41億40百万円、経常利益が2.5%増の42億65百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が4.5%増の24億70百万円としている。配当予想(22年10月21日付で第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正)は22年3月期比10円増配の50円(第2四半期末25円、期末26円)としている。3期連続増配となる。

増収増益予想としている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人件費や広告宣伝費の増加を吸収する見込みだ。

第3四半期累計は、売上高が前年同期比14.0%増の178億60百万円、営業利益が7.5%増の33億81百万円、経常利益が9.8%増の35億68百万円、親会社株主帰属四半期純利益が11.8%増の21億12百万円だった。

積極的な先行投資で人件費や広告費が増加したが、ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大して増収増益と順調だった。経常利益(前年同期比3.2億円増益)の要因分析は、売上総利益増加で+7.5億円、人件費増加で▲3.6億円、広告費増加で▲0.9億円、研修費増加で▲0.2億円、その他経費減少で+0.4億円だったとしている。

セグメント別に見ると、ECソリューション事業は売上高(外部顧客への売上高)が14.7%増の99億13百万円で利益(全社費用等調整前経常利益)が9.7%増の27億51百万円だった。ECサイト構築パッケージ「ecbeing」やECクラウドサービス「メルカート」などの売上が拡大した。ITソリューション事業は売上高が13.2%増の79億47百万円で利益が13.1%増の17億58百万円だった。セキュリティ・インフラ構築関連や、子会社エイトレッド<3969>のワークフローサービス「X-pointクラウド」などの売上が拡大した。

売上高の内訳は、ECソリューション事業ではECサイト構築(ecbeing)が69億円、デジタルマーケティングが21億円、ECクラウドサービスが9億円、ITソリューション事業ではセキュリティ・インフラ構築が39億円、ITクラウドサービスが14億円、ITパッケージが13億円、IT機器販売が13億円だった。

四半期別に見ると、第1四半期は売上高が54億96百万円で経常利益が8億83百万円、第2四半期は売上高が60億58百万円で経常利益が12億55百万円、第3四半期は売上高が63億06百万円で経常利益が14億30百万円だった。ストック売上の拡大により、四半期別でも収益拡大基調となっている。

通期の連結業績予想は据え置いている。売上面は需要が高水準に推移して2桁増収予想としている。利益面は、製品機能強化のための開発費の増加、知名度向上のための広告宣伝費の増加、積極的な人材採用に伴う採用費の増加など先行投資を考慮して小幅増益にとどまる予想としている。ただし保守的な印象が強い。

第3四半期累計の進捗率は売上高が76.1%、営業利益が81.7%、経常利益が83.7%、親会社株主帰属当期純利益が85.5%と高水準だった。通期会社予想は上振れの可能性が高く、さらに24年3月期もクラウドサービスの拡大などで順調な積み上げが予想される。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回

株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。なお株式2分割(基準日23年3月31日、効力発生日23年4月1日)に伴って、株主優待を23年9月末対象から増額(詳細は会社HP参照)する。

■株価は調整一巡

株価(23年4月1日付で株式2分割、1株当たり数値は遡及修正後)は、地合い悪化も影響して上げ一服の形となったが調整一巡感を強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。4月13日の終値は1726円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS97円31銭で算出)は約18倍、前期推定配当利回り(会社予想の25円で算出)は約1.4%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS518円46銭で算出)は約3.3倍、そして時価総額は約476億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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