【アナリスト水田雅展の銘柄分析】協立情報通信は利益確定売り一巡、マイナンバー対応関連の受注本格化も期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 協立情報通信<3670>(JQS)はソリューション事業とモバイル事業を展開している。株価は7月の年初来高値から反落したが利益確定売り一巡感を強めている。マイナンバー対応関連の受注本格化も期待され、16年2月期業績予想増額の可能性を評価して切り返し展開だろう。

■法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開

 法人向けソリューション事業(情報通信システムソリューション、会計情報ソリューション、情報活用教育ソリューション、情報活用レンタルソリューション)、およびモバイル事業(法人向けモバイルソリューション、ドコモショップ6店舗運営)を展開している。

 企業のICT(情報通信技術)化実現に向けて、NEC<6701>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、NTTドコモ<9437>、サイボウズ<4776>、日本マイクロソフトなどパートナー企業の製品・サービスを融合し、情報通信インフラ機器の販売だけでなく、システム構築から導入・保守・運用・教育までをソリューションとして提供している。

 ソリューション事業では、情報通信システムソリューションでNECの構内交換機(PBX)、会計情報ソリューションでオービックビジネスコンサルタントの「奉行シリーズ」をベースとして、中堅・中小企業向けを中心に情報インフラ、情報コンテンツ、情報活用支援(プラクティカルユース)の3分野を統合した経営情報ソリューションを、ワンストップサービスで提供していることが強みである。

 さらに常設デモスペースの体感型フューチャーラボ「情報創造コミュニティー」において、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。

 モバイル事業では、NTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューションを展開している。

■16年2月期業績の会社予想は増額の可能性

 15年2月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)15億47百万円、第2四半期(6月~8月)14億43百万円、第3四半期(9月~11月)13億66百万円、第4四半期(12月~2月)14億10百万円、営業利益は第1四半期1億02百万円、第2四半期88百万円、第3四半期24百万円、第4四半期52百万円だった。年度末の3月が含まれる第1四半期の構成比がやや高くなる傾向もあるようだ。

 また15年2月期の配当性向は30.1%だった。ROEは14年2月期比7.3ポイント上昇して22.3%、自己資本比率は同3.0ポイント上昇して42.2%だった。

 今期(16年2月期)の非連結業績予想(4月10日公表)は、売上高が前期比5.0%増の60億56百万円、営業利益が同11.9%増の3億01百万円、経常利益が同11.1%増の3億02百万円、純利益が同16.8%減の1億81百万円としている。

 純利益は前期計上した特別利益の移転補償金が一巡して減益見込みだが、増収効果で減価償却費増加などを吸収して2桁営業増益・経常増益見込みだ。セグメント別の計画はソリューション事業の売上高が同5.0%増の17億72百万円、営業利益が同14.5%増の1億88百万円、モバイル事業の売上高が同5.0%増の42億84百万円、営業利益が同7.8%増の1億13百万円としている。

 ソリューション事業では、WindowsXPサポート終了に伴うPC入れ替え需要の反動減が一巡し、交換機やサーバーのリプレース需要の顕在化、公共系大型案件やセキュリティ対策案件の増加などで受注が回復傾向を強めている。15年2月期末の受注残高は前年同期比11.7%増加して2億49百万円となり、さらに16年2月期第1四半期末の受注残高は同49.7%増加して2億44百万円となった。

 パートナー企業との共創展開(共同営業やセミナー・イベントの共同開催)の効果で情報創造コミュニティーへの大手企業の新規来場が増加基調であり、15年夏の「Windows Server 2003」サポート終了に伴う移行案件も増加しているようだ。さらに人事・給与システムのバージョンアップ・機能追加など、16年1月開始のマイナンバー制度対応案件も期後半に受注が本格化しそうだ。

 モバイル事業では、タブレットとフィーチャーフォン等との「2台持ち」提案の強化、好採算の副商材販促の強化、法人サービスの強化などを推進する。人員再配置などの施策も寄与して営業損益は改善基調だ。

 配当予想については創業50周年記念配当5円を落として、同5円減配の年間50円(期末一括)としている。予想配当性向は33.0%となる。継続的かつ安定的な配当の実施を基本方針として、配当水準については業績連動による適正な配当とともに、業績悪化時も一定水準を維持するとしている。

 第1四半期(3月~5月)は売上高が前年同期比10.0%増の17億01百万円、営業利益が同33.7%増の1億37百万円、経常利益が同36.3%増の1億38百万円、純利益が同34.9%増の86百万円だった。モバイル事業は代理店手数料体系改定による手数料収入の減少、店舗移転に伴う減価償却費の増加、DS三郷インター店改装費、広告宣伝費の増加などで減益だったが、利益率の高い案件が増加しているソリューション事業の好調が牽引した。

 そして通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が28.1%、営業利益が45.5%、経常利益が45.7%、純利益が47.5%である。年度末の3月が含まれる第1四半期の構成比が高い収益構造(15年3月期の第1四半期構成比は売上高が26.8%、営業利益が37.9%)だが、それを考慮しても進捗率は高水準である。通期業績の会社予想は増額の可能性が高いだろう。

■ストック型モデルの強化で高収益化目指す

 企業のICT投資需要は「クラウド」「モバイル」「セキュリティ」をキーワードとして高水準に推移することが予想されるため、中期的に法人向けソリューション提案力向上によって付加価値提供へのシフトを加速する。

 ストック型収益モデルを強化して利益率を一段と向上させる方針であり、中期経営計画では目標値として17年2月期売上高76億20百万円、営業利益7億04百万円を掲げている。中期的に収益拡大基調で一段の高収益化も期待される。

■株価は7月高値から反落したが利益確定売り一巡

 株主優待制度については、毎年2月末時点で500株以上~1000株未満保有株主に対して島根県仁多郡産コシヒカリ「仁多米」2kg(1500円相当)、そして1000株以上保有株主に対して同5kg(3700円相当)を贈呈する。

 株価の動きを見ると、急伸した7月27日の年初来高値2699円から反落して水準を切り下げたが、2100円台で下げ渋る動きとなり、利益確定売り一巡感を強めている。

 8月19日の終値2169円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS151円41銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は2.3%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS886円03銭で算出)は2.4倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。サポートラインを確認したようだ。指標面に割高感はなく、16年2月期業績予想増額の可能性を評価して切り返し展開だろう。

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