【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インタースペースは15年9月期純利益を増額、下値固め完了して出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 インタースペース<2122>(東マ)はアフィリエイト型のインターネット広告事業を主力としている。15年9月期は営業減益予想だが、8月11日に純利益予想を増額修正した。株価は下値固めが完了し、16年9月期の収益改善期待で出直り展開だろう。

■アフィリエイト型インターネット広告事業が主力

 アフィリエイト(成果報酬)型のインターネット広告事業を主力として、メディア広告などのメディア運営事業も展開している。

 インターネット広告事業はアフィリエイトサービス「アクセストレード」を中心に事業展開し、携帯電話ショップをネットワーク化した店舗アフィリエイトサービス「ストアフロントアフィリエイト」も日本最大規模の店舗ネットワークに成長している。

 8月10日には、ネイティブ広告に対応したコンテンツ・ディスカバリー・ネットワーク「X-lift(クロスリフト)」のサービス開始を発表した。掲載面のデータを独自アルゴリズムにより解析し、メディア内の関連記事やX-liftによる関連広告を表示させることが可能になる。

 メディア運営事業では、日本最大級のママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」の月間ユニークユーザー数が15年5月に300万人を突破した。また女性向け恋愛ゲームなどのソーシャルアプリや、コンテンツなども展開している。

 なお8月11日にメディア運営事業の子会社more gamesの株式売却を発表した。ソーシャルメディア事業を取り巻く事業環境が厳しいため、同社の一部事業を当社へ譲り受けた後、現在同社と協業事業を行っているアルファストリームに当社が保有する全株式を譲渡(9月25日予定)する。

 メディア運営事業は利益貢献が高いメディア広告に体制変更を進め、投資バランスを見直してアフィリエイト事業を中心に収益改善を図る方針だ。

 中期経営目標数値としては売上高250億円、営業利益15億円を目指し、重点戦略としてインターネット広告事業では国内アフィリエイトシェアの獲得と収益性向上、メディア運営事業ではメディア広告の強化と収益性向上、海外事業では各国のメディアネットワーク確保などを推進する方針を掲げている。

■アライアンス戦略を積極展開

 アライアンス戦略を積極推進して、13年10月モバイル広告ネットワーク事業の米アーキ社と戦略的業務提携、13年11月O2Oマーケティングソリューション事業のモギー社と資本業務提携、13年12月中国の子会社ISUCが中国最大のアフィリエイトネットワーク「億起発(イーチーファー)」を提供するEMAR(イーマー)社と業務提携した。

 14年5月クーポン情報メディア「クーポンランド」運営のサイファ社に出資、14年7月クラウドソーシングサービス「ランサーズ」運営のランサーズ社と業務提携、14年8月スマートフォンアプリ向け動画広告配信ネットワーク「AppVador」運営のアップベイダー社と資本提携、14年12月子会社more gamesがサイバーエージェント<4751>とネイティブアプリ版恋愛ゲームで業務提携した。

 15年5月にはアイモバイルが運営する、ふるさと納税専門サイト「ふるなび」と連携し、アドウェイズ<2489>と共同で、日本発のふるさと納税アフィリエイトサービス「ふるなび」を開始した。

 海外では14年11月インドネシア大手ポータルサイト「detik.com」と業務提携、14年12月ベトナム最大級のモバイル広告ネットワークを提供するMWORK社の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。

 15年5月には、MWORK社とベトナムに合弁会社インタースペース・ベトナム(当社出資比率49%)を設立した。インターネット市場の成長が加速するベトナムでインターネット広告サービスを展開する。

 15年7月にはインドネシアの子会社が、インドネシアで最も人気のあるニュースポータルサイト「viva.co.id」を運営するPT Viva Media Baruと独占業務提携し、「viva.co.id」内のブログネットワーク「Vlog」に対して、海外版アフィリエイトサービス「ACCESSTRADE」を提供すると発表した。

■15年9月期は減益予想だが純利益を増額、16年9月期の収益改善期待

 8月11日発表の今期(15年9月期)第3四半期累計(10月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比16.5%増の142億77百万円、営業利益が同70.0%減の1億93百万円、経常利益が同68.5%減の2億03百万円、純利益が同96.4%減の12百万円だった。

 セグメント別に見ると、インターネット広告事業は売上高が同22.5%増の137億40百万円、営業利益が同55.0%減の2億89百万円だった。金融・eコマース・サービスカテゴリーが好調に推移して大幅増収だったが、人件費の増加で減益だった。なお海外事業(中国、インドネシア、タイ、ベトナム)については、インドネシア、タイで順調にクライアント数が増加しているようだ。

 メディア運営事業は売上高が同48.3%減の5億37百万円、営業利益が95百万円の赤字(前年同期は2百万円の利益)だった。主力の「ママスタジアム」は15年5月に月間ユニークユーザー数が300万人を突破するなど好調に推移したが、ソーシャルゲームにおける新規ゲームのリリース延期など厳しい状況が続いた。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(10月~12月)42億53百万円、第2四半期(1月~3月)48億53百万円、第3四半期(4月~6月)51億71百万円、営業利益は第1四半期20百万円、第2四半期91百万円、第3四半期82百万円だった。

 通期の連結業績予想については、連結子会社more gamesの株式売却により約2億50百万円の法人税等の軽減が見込まれるため、8月11日に前回予想(5月12日に減額修正)に対して純利益を増額修正した。

 修正後の連結業績予想は、売上高が前期比11.0%増の186億30百万円、営業利益が同58.5%減の3億23百万円、経常利益が同57.0%減の3億40百万円、そして純利益が2億79百万円増額して同9.7%減の3億48百万円とした。配当予想(11月11日公表)は前期と同額の年間8円(期末一括)としている。予想配当性向は15.6%となる。

 インターネット広告事業で金融・eコマース・サービスカテゴリーが引き続き好調に推移するが、インターネット広告事業における大手媒体との連携強化に伴う媒体に対する支払報酬の増加、メディア運営事業における恋愛ゲームの売上減少、さらに新サービス開発に向けた人材投資や海外展開などの先行投資負担などで減益予想だ。

 通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.6%、営業利益が59.8%、経常利益が59.7%、純利益が3.5%である。利益進捗率が低水準だが、メディア運営事業の子会社more gamesにおける人員整理(同業他社への転職先紹介で30名が15年5月末に退職)によって、第4四半期(7月~9月)は約10百万円/月の人件費削減が見込まれる。また純利益は法人税等の軽減で達成見込みだ。

 15年9月期は大幅減益予想だが、主力のインターネット広告事業は増収基調だ。そして16年9月期は、インターネット広告事業における新規サービス「X-lift(クロスリフト)」拡販による利益率改善、メディア運営事業におけるソーシャルゲーム縮小および子会社more games株式売却によるコスト改善、低コストで広告収益効果が期待できるキュレーションメディアのリリースなどで収益改善が期待される。

■株価は下値固めが完了して出直り

 株価の動きを見ると、900円近辺でのモミ合いから下放れる場面があったが、8月10日の安値790円から切り返す展開となった。下値固めが完了したようだ。

 8月20日の終値910円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円46銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS406円20銭で算出)は2.2倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破した。また週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線と26週移動平均線を突破する動きだ。下値固めが完了し、16年9月期の収益改善期待で出直り展開だろう。

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