【編集長の視点】ゼリア新薬は続落も2Q業績上方修正を見直しバイオ関連株買いが再燃余地
- 2015/8/21 10:45
- 編集長の視点
ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、54円安の1723円と4日続落して始まっている。前日20日の米国ニューヨーク・ダウ工業株平均が、358ドル安と急続落するなど世界的な株安が続き、きょう21日の日経平均株価が、395円安と3日続落してスタートする相場環境下、同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ、同社は、今年8月5日に今3月期第1四半期(1Q)決算の開示に合わせて、今期第2四半期(2Q)累計業績の上方修正を発表しており、見直して逆行高思惑を高めバイオ関連株買いが再燃する展開も想定される。テクニカル的にも、25日移動平均線水準での三角保ち合いにダメ押し感を強めており、上放れ期待を強めよう。
■対スイスフランの為替差損をカバーし主力製品の売り上げが拡大
2Q累計業績は、売り上げを期初予想の据え置きとしたが、営業利益、経常利益を各1億円、純利益を3億円引き上げ、売り上げは310億円(前年同期比2.9%増)、営業利益は16億円(同29.8%減)、経常利益は11億円(同50.9%減)、純利益は11億円(同48.0%減)とし、利益は、連続減益率を縮小させる。主力商品の潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が、国内で順調に伸び、コンシューマーヘルスケア事業で主力の「ヘパリーゼ群」が、積極的なテレビCM展開で売り上げを拡大、今年1月にスイス中央銀行が、スイスフランの対ユーロ為替上限レートを撤廃して多額の為替差損が発生したが、収益性の高い主力製品の続伸や経費の効率的な使用により利益が上ぶれ、純利益は、今期通期で見込んでいた投資有価証券売却益を1Qに前倒しして計上したことで上ぶれ幅を拡大する。
3月通期業績は期初予想に変更はなく、売り上げ650億円(前期比6.5%増)、営業利益40億円(同49.3%増)、経常利益35億円(同26.3%増)、純利益30億円(同17.3%増)と見込み、増収増益転換する。同社の業績は、前期に消費税増税前の駆け込み需要の反動減や昨年4月の薬価改定の影響、2013年6月に発売した機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築の遅れなどから下方修正が続いたが、今期は、「アコファンド」への医療機関の認知度も高まっているうえに、早くも2Q累計業績を上方修正しており、業績トレンドが大きく変わったことを示唆している。
■25日線での三角保ち合いにダメ押し感を強めて逆行高特性発揮も
株価は、年初来高値2146円から前期業績の再下方修正で1842円まで調整、今期業績の増益転換予想を買い直して1900円台を回復、全般相場急落とともに年初来安値1656円と突っ込んだが、2Q累計業績の上方修正で1919円までリバウンド、25日移動平均線での値固めを続け、きょう21日を含めたこのところの4日続落で三角保ち合いにダメ押し感を強めている。バイオ関連の逆行高特性発揮で一段の戻りを試そう。(本紙編集長・浅妻昭治)