【話題】「ChatGPT」がもたらすビジネスチャンスとリスク

■会話型AIの新たな可能性、多分野で活躍する一方で問題点も指摘

 ChatGPTは、米新興企業OpenAIが開発した人工知能(AI)チャットボットで、質問に対して自然な言葉で文章を生成することができる。2022年11月に公開されて以来、多くのメディアやユーザーによって紹介され、認知度が急速に高まっている。また、多様な分野で活用する企業も急増しており、その高い性能と汎用性が注目されている。しかし、こうした状況の中で、事実と異なる回答や悪用の危険性などの問題も浮上しており、利用する際には注意が必要である。

■ChatGPTの特徴とメリット

 ChatGPTは、OpenAIの大規模言語モデルGPT-3.5・GPT-4を基に構築されており、幅広い分野の質問に詳細な回答を生成できるだけでなく、クリエイティブな活動やプログラミングなども行える。また、会話内でのユーザーの過去の入力を記憶しており、個人に最適化された対話を提供できる。さらに、攻撃的・欺瞞的(ぎまんてき)な回答の生成を避ける仕様となっており、人間と自然な会話ができる。多くの企業や研究機関により様々な応用分野で活用されている。

■多様な活用例、ビジネス・教育からエンタメ分野まで

 ChatGPTは、ビジネス・教育からエンタメまで多様な分野で活用され、連日、連携サービスのニュースリリースを発表する企業が増加している。教育分野では、学生が宿題やレポートを作成する際に質問したり、フィードバックを受けたりすることができる。また、MBAの入試テストに合格するレベルの回答を生成することも可能である。プログラミングやデバッグのスキルを持っており、開発者の助けになることもある。エンターテイメント分野では、音楽や小説や脚本などの作品を生成することができる。また、セラピストとしても利用できる。

 ビジネス分野では、業務の自動化、議事録作成、ライティング支援、データ分析など多くの連携サービスが発表されている。コンサルティング、チャットボット、カスタマーサービスやマーケティングなどに導入することで、顧客満足度や売上を向上させることができる。業務改革や生産性の向上を図るために、正社員や契約社員・アルバイトなどを対象にChatGPTの利用料を補助することで、従業員に積極的な活用を促進する企業も増えている。

【連日掲載されているChatGPT連携サービスなどの関連記事】

・LIFULL、国内不動産ポータルサイト初となる「ChatGPT」の技術を活用した「AIホームズくんBETA LINE版」の提供を開始(2023/4/28)
・ジオコードは買い気配のままストップ高、『ChatGPT』活用でヘッドウォータースとの連携を好感(2023/4/26)
・日清食品HD、独自開発した対話型AI「NISSIN-GPT」をグループ社員3600人に向け公開(2023/4/25)
・ココナラ、ChatGPTを活用した出品者の支援機能「AIアシスタント機能(β)」をリリース(2023/4/24)
・システムインテグレータはIDEA GARDENの全AI機能に「GPT-4」を適用、「アイデア貢献ポイント」で全員参加型の新規事業アイデア創出・育成を支援(2023/4/24)
・シンクロ・フード、「飲食店ドットコム」が生成型AIを活用したサービスを開発、CTO直下に「GPTプロジェクトチーム」を新設(2023/4/21)
・メタップスグループ、GPT-4をベースにしたAIコーディング支援ツール「GitHub Copilot X」を社内の全エンジニアを対象に導入(2023/4/20)
・MRI、GPTによるレポート自動作成機能を持つWebサーベイAI「ロボリサ」を提供、誤情報を検知・削除し、レポートの信頼性を向上(2023/4/20)
・パシフィックネットは対話型AIアシスタント「PCNET-GPT」をグループ全社員向けに5月から運用を開始(2023/4/20)
・大和証券は対話型AIの「ChatGPT」を導入、全社員約9000人を対象に利用を開始(2023/4/18)
・ヘッドウォータースはGPTモデルを活用したAIプログラミングアシスタント「GitHub Copilot for Business」の全社導入を開始(2023/4/13)

■ChatGPTの懸念材料、事実と異なる回答や悪用の危険性

 ChatGPTには課題も多い。まず、時によって事実とは異なる回答を生成することがある。これは、インターネット上の情報をそのまま信じてしまうためである。また、2021年以降に発生した出来事や一部の著名人については知識が不足していることもある。

 さらに、悪用される可能性もある。例えば、不正な研究論文やマルウェアを作成したり、個人情報や機密情報を盗み出されたりすることがある。これらの問題は、学習データや報酬モデルにアルゴリズム的バイアスが含まれていることや、学習履歴や内容が公開されていないことにも起因している。

 また、個人情報保護法などの法的規制にも抵触する可能性がある。例えば、イタリア政府はChatGPTの個人情報収集に関してEU一般データ保護規則に違反していると指摘し、ChatGPTへのアクセスを禁止した。

 ChatGPTは、人工知能の進化を象徴する存在となっている。その高い性能と汎用性は、多くの分野で活用される可能性を秘めている。しかし、その一方で、様々な問題やリスクも抱えており、利用する際には、そのメリットとデメリットを十分に理解し、適切に対処する必要があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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