■新線開業効果や配当増も見逃せない
今週の当特集は、電鉄株に注目することにした。大型連休中もテレビ、新聞では再三再四、帰省・Uターンラッシュや行楽地での賑わいが報道されていた。きょう8日に新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置付けが、5類に引き下げられてこのリオープン(経済活動再開)に拍車掛かり、鉄道事業の輸送人員がさらに回復するうえに、インバウンド関連需要や一部電鉄株では新線開業効果も加わるなど事業環境はフォローとなっており、そこに政策支援としては鉄道駅バリアフリー料金制度による運賃値上げがオンするのである。
すでに大型連休前に3月期決算を発表した電鉄株は、前期業績が期中の上方修正値を上ぶれて黒字転換・V字回復して着地し今期業績も続伸を見込み、年初来高値を更新する銘柄が目立っている。今週に決算発表を予定している後続組を含めて「Buy in May」の順張りにチャレンジし上値追いを期待したい。
■リオープン、インバウンド需要、新線開業効果など好事業環境
電鉄株は、リオープン、インバウンド需要、新線開業効果、バリアフリー料金の値上げと好事業環境が続くだけに業績の高変化も著しい。そのなかでイビデンと同様の株価パターンとなったのは、東武鉄道<9001>(東証プライム)である。今2024年3月期純利益は、前期比2.3%減益と減益転換を見込んだが、前期純利益が、今年2月の2回目の上方修正値を上ぶれ291億7900万円(前々期比2.16倍)とV字回復したことを手掛かりに連休の谷間に年初来高値まで買い進まれた。このほか決算発表済みの電鉄株では、前期に黒字転換した京成電鉄が、今期純利益を前期比23.7%増と予想し、同じく相鉄ホールディングス<9003>(東証プライム)が前期3.7倍増益、今期50.4%増益予想、小田急電鉄<9007>(東証プライム)が、前期3.3倍増益、今期54.2%増益予想、南海電気鉄道<9044>(東証プライム)が、前期3.6倍増益、今期24.5%増益予想などとなり、年初来高値を更新した。このうち相鉄HD、小田急は今期配当の増配を予定している。
残りの電鉄各社も今週末、来週に決算発表を予定しており、すでに先取りして年初来高値を更新している西日本鉄道<9031>(東証プライム)、阪急阪神ホールディングス<9042>(東証プライム)、神戸電鉄<9046>(東証プライム)、名古屋鉄道<9048>(東証プライム)、京福電気鉄道<9049>(東証スタンダード)、山陽電気鉄道<9052>(東証プライム)などの決算発表日の業績ガイダンスが要注目となる。また民営化株ではJR東日本<9020>(東証プライム)とJR東海<9022>(東証プライム)が、前期黒字転換した純利益を今期それぞれ前期比38.1%増益、13.9%増益と予想し、配当も増配意向にある。
■バリアフリー料金値上げでホームドア関連株にもビジネスチャンス
電鉄株の高人気が続くようなら、その政策関連人気を支える鉄道駅バリアフリー関連株にも出番が回るはずである。料金値上げに踏み切った各社は、それぞれ年限を限って具体的な整備計画を策定しホームドアの導入を進めることになるからだ。ホームドア設置実績のあるナブテスコ<6268>(東証プライム)、高見沢サイバネティックス<6424>(東証スタンダード)、日本信号<6741>(東証プライム)、京三製作所<6742>(東証プライム)などが浮上する。このうち日本信号と京三製作所は、半導体不足による案件の次期繰り越しなどで目下集計中の前3月期業績を下方修正したが、日本信号は、電鉄各社のバリアフリー料金値上げをテコに年初来高値を更新しており、それぞれ5月10日、12日に予定している決算発表時の業績ガイダンスが要注目となる。またホームドア整備工事の東鉄工業<1835>(東証プライム)やホームドア用床板のスパンクリートコーポレーション<5277>(東証スタンダード)も、関連人気を高めよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)